「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

北海道開拓史を題材に一人の男の人生を大河ドラマ的に描く作品。なかなか描かれないマイナーかつ死語になっている感もある日本の暗部たるアイヌ問題などを絡めつつ、現在に至っては希少性がさらに増す漫画。エンターテイメント要素も豊富で主人公シュマリのアクションも見どころ。主人公シュマリが偽悪家どころか本当に好き勝手やっていて悪事も行っているところも独自性があるかと(ブラックジャックは偽悪家みたいなもんなので)。

物語の部分、部分はキャラの心情がどうも分からない唐突さ、男女関係で縺れたり迷走しかかってるな感は感じながらも、逆に生々しさや先が読めない感を高めており、時代が変遷するにつれて立場が動いて重厚さを感じられる描写になって行ったと思います。だからこそ読み進めれば面白みが沸く作品であり、最後が特に綺麗に感動的に締められた部分も含めて手塚作品の中でも隠れた良作だと思います。

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[投稿:2015-04-14 23:33:08] [修正:2015-04-14 23:33:08] [このレビューのURL]

事実を題材としたフィクションとしての歴史漫画(当然全部史実じゃない)の水準に十分に達しているであろう1968年を題材とした漫画。名前は仮名ながらもモデルにかなり近い人物が登場。それぞれの事件を事実部分を細かく拾いながら創作で掘り下げたり、リンクさせたりする描写が上手かったです。ヨーコが二人出てきて永田洋子はこっちなのかと後半で驚かされたところもありました。永山事件の死刑執行がかなり遅れた情状面の難しさも漫画を読めばイメージできるところもありましたし。3億円事件も実際の事実から独自の展開で考察して面白かったです。絵柄もスッキリして綺麗ですし、石川啄木の詩を混ぜながらの格好つけた暗さがある青春物語的でもありました(性描写が多いが不快さが軽減される)。犯罪者だらけですが、唯一現在華々しく活躍する北野武を想起する人物を主要キャラとして出してそれが一段と面白くしたと思います。彼をかなり創作部分で犯罪に関与している感じで描きつつも、魅力的なキャラなのがギリギリで訴えられないレベルで留まったのかなというほど思い返せば際どい物語でした(今の時勢だとこういうのさらに描けないかもしれない)。

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[投稿:2015-04-14 20:53:26] [修正:2015-04-14 20:53:26] [このレビューのURL]

世にも珍しい歌舞伎業界を扱った漫画。画力と演出はなかなか素晴らしいもので、歌舞伎知識や業界の裏みたいなのも描かれており、勉強になった作品です。ただ李園の血統絶対主義を批判的に描いていた一方で、主人公も結局そういう産まれだから芸が上手いというモヤモヤした感覚。その勝手なヤンチャぶりが激しく作中で芝居壊しと呼ばれる台本無視を連発して、かなり引く部分があったのも事実です(脚本への敬意皆無でアドリブの域ではない)。この辺がまだ抑え気味で初期ストリートで色々やってた頃が一番面白かったかなと。打ち切りされてしまうほど人気が厳しかったのも納得です。題材のマイナーさはあんまり言い訳できないかなと思います。それでも長所が勝り、安定した話作り、打ち切りで第一部完ですがさほど尻切れ感はなく話を一応畳んだことは評価したいです。一読の価値がある良作だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-03-23 23:50:39] [修正:2015-03-23 23:50:39] [このレビューのURL]

超有名で今も武名が轟く武田信玄亡き後、それを勝頼が継いでたった10年で滅んでしまった衝撃的な事実。普通のドラマでは信玄死亡、途中で長篠敗北・武田滅亡とあっさりになりがちな行間を描いた稀有な作品です。結果論から導かれる通俗的な勝頼が暗愚で無能だったからという部分を否定しながらも、美化擁護というほどの演出にはなっていない(武将として信長や家康が恐れる優れた部分を描きながら、跡目を継いでも身内を纏めたり、抑え込めず勝機を逃したり、改革を先送りにしている部分などは可哀想の一言では済まない)ところには中立性を感じて評価出来ます。他は横山漫画の長所や短所を含めて同じですが題材の良さに個性を感じる作品です。展開に考えさせられつつ実質戦うことさえも出来ないでドミノ倒しみたいに武田が滅んで行く終盤の物悲しさは心に来るものがありました。

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[投稿:2015-02-28 20:27:31] [修正:2015-03-01 06:54:19] [このレビューのURL]

四国の雄「長宗我部元親」戦国時代を勉強すれば誰もが知っている人物ですが、かといって詳しい人は少ないマイナーな域を出ていない元親を主人公にした作品。絵柄に癖あれど画力、迫力、演出が良くて単なる歴史語りになっていない、概ね史実準拠で話がまとまっているところなどからも学習用要素もあり評価出来るかと。四国から見た信長、秀吉との中央政権とのリンクにはニヤリとするところがあり新鮮な歴史を楽しめます。最近台頭する本能寺四国原因説をほぼ採用しているのも勉強になると思います(実際はあるとしても補助要素くらいかとは思いますが。斎藤利三は本作じゃそれが要因で謀反賛成ですが、史実的には無謀と反対していたようですし)。『センゴク』の主人公仙谷権兵衛の醜態は如何にも悪役なキャラはともかく概ねこの通りなのは事実ですし、知ってはいたものの衝撃です(その後復活したのも知っているからこそ尚驚き)。元親は大河ドラマでも主人公をやれそうな要素たっぷりな人物であり(仙石が要因である息子の死後は暗愚化しますがそのことはエピローグで触れている)、その魅力を描きながらも天下人には届かない限界という部分も描いており、単なる主人公賛美で終わっていないところも素晴らしいかと。歴史漫画として良作であり、作者作品は他にもこの手のが多いようなので読んでみたいと思える出来でした。

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[投稿:2015-02-12 02:34:21] [修正:2015-02-12 02:34:21] [このレビューのURL]

麻酔科医という地味なところに焦点を当てながら医療お仕事漫画として十分な水準に達しています。
画力もそれなりで手術や説明が分かりやすい。医療薀蓄も想像以上に過酷な麻酔医という視点から焦点を当てて、豊富で勉強になるところが多いです。女性主人公ですが嫌味がない可愛い性格なので感情移入出来る部分も良いかと。おそらく最初は1巻完結予定だったのか、そこで話は纏まっているところもあるので興味が薄い人もまず1巻だけという読み方も出来ると思います。そこから連載が続いてい上記の良さは出ているのですが、話が暗に傾く比重が多く1巻の方が楽しく読めていたなと。作者自身もあとがきで苦しみを吐露しており、連載ペースがかなり遅くなっているところが気がかりです。連載8年目ですがようやく5巻が来月に出る予定の模様。もう少し過酷でもそれをネタで笑い飛ばすようなところもあった初期の路線に戻って欲しいなと思いつつ、楽しめているのも確かなので風呂敷を畳んで出来るだけ早期かつ綺麗に終わることを期待しています。

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[投稿:2015-01-31 23:04:58] [修正:2015-01-31 23:04:58] [このレビューのURL]

ドッペルゲンガー現象・タイムスリップを利用して、現在と過去の自分同士をコンビとして自らに罪を着せられた連続殺人事件の謎を解くという物語。SF満載なので推理要素なんてあまりない結論に至るのではと思っていたら、終わってみると本質はミステリー作品だったと呼べるくらい推理部分が丁寧に出来ていました(事件を難解にする登場人物の突飛な心理や行動を、芸術至上主義を芸術家同士の身内事件というところで随所に適用してフォロー出来ている)。
だからこそ上記SF要素が独自のスパイスになった感じでしたし。真犯人発覚時は驚きました。てっきり他未来の自分自身が犯人だろうと匂わせるようなミスリードに自分は乗ってしまいましたから。絵柄に癖がある、終わり方が後味悪いなと思ってしまいましたが、全4巻で過不足を感じずに纏めたところが良かったです。作者にとって初連載らしいですが次回作にも期待します。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-01-22 02:19:49] [修正:2015-01-22 02:19:49] [このレビューのURL]

一話(一篇)完結で絵柄に良い意味で合わないバイオレンス欝系な話を積み重ねながら、人と山のために生きるため銃を撃つクール美少女主人公の掘り下げと山を巡る人間の業が描けている良作漫画です。全3巻で一応畳めていますがあとがきでまだやりたい的なことが書かれており、十分続きが作れるし見たいなと思わせられる作品でした。

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[投稿:2015-01-10 03:42:06] [修正:2015-01-10 03:42:06] [このレビューのURL]

原作(アニメ)未読。原作は1年間やったわりに評判が今一つのようですが漫画版の作画は丁寧ですし、複雑な設定も分かりやすく説明してますし、たった2巻ですが伏線も回収して、少年漫画の王道として綺麗に纏めています。元素知識を豊富に盛り込んで、それをバトルに応用させるというのが独自性がありました。もっと子供向けかと思いきや意外に重い設定もあります。やや文字が多くテンポという意味では良くないところもありましたが、全2巻ものとしてはなかなかの佳作だと思います。

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[投稿:2014-12-26 06:46:34] [修正:2014-12-26 06:46:34] [このレビューのURL]

ゲーム未プレイですがゲーム原作RPGとしてはかなりの良作漫画だと思います。ゲーム未プレイで細部がやや分からない箇所は正直ありますが、おおまかには理解出来ますし、画力の高さには唸るものがあります。実はラスボスにそれなりの大義があったというどんでん返しには驚いたところもありましたし。群像劇的な構成でどのキャラもそこそこ存在感があります。ただ、主人公がラスボスに比べると少年過ぎて未熟だったのが、ややカタルシスに欠けていたのは否めませんし、問題は一旦解決しただけで核心は先送りでした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-12-18 22:16:31] [修正:2014-12-18 22:16:31] [このレビューのURL]

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