「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

本編を読んでいてファンであることは必須の作品ですが、犯人視点でコミカルに事件を振り返るのがツボで爆笑しました(その配慮でシリアスな動機、背景などは極力カット)。ミステリー事件の粗を上手く利用している感じですね。絵が原作の絵柄が変わる前を意識していてツッコミも絶妙。とりあえず一巻で四事件を扱っていて、今後も続くのは嬉しいのですが、ワンパターンになりそうな感じもあるので注目したいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-11-23 02:34:16] [修正:2017-11-23 02:34:16] [このレビューのURL]

少年時代のとんち話一休さんしか知らない人にとって、衝撃的な一休宗純のその後を含めた一生を描いた作品。青年期以降の奇行や破戒っぷりは凄いものがありますが、本作はそうなる心理過程、時代背景も詳細かつ丁寧に描かれており、「偉人にみせて駄目人間だった」(こういう切り抜き特集が最近増えてる)と嘲笑うようなことはなく、人間臭く一周回って胸に迫る哲学で切り込んでくるような作風。「プラネテス」、「ヴィンランドサガ」の作者が本作に最も影響を受けたと語っていたらしくなるほどと思わせられました。

作者にとって遺作になったことは残念ですが、運命的な余韻も感じました。「石の花」よりも構成はしっかりしている一方で、ややテンポに欠ける教科書的な空気にもなっている(必要性があったとはいえ前述の時代描写)のが欠点ですが、綺麗に話が終わっています。現在文庫、単行本とも入手に厳しいものがあるので、再販されてもっと多くの人が楽に読めればと思うほどの名作です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-09-30 06:25:17] [修正:2017-10-19 18:52:12] [このレビューのURL]

作者にとって最新かつ最長作品。これまでの作者作品の特徴を踏まえつつ、世界の神や異形達を絡めながらのハードボイルドアクション作品(ギャング街風)。特徴としては

1、作者作品では特に絵が見やすい(ただ終盤などに簡素化し過ぎていると思える箇所も)
2、異形のウンチクを話に上手く絡めるだけでなく、作中でもしっかり解説してくれる(今まではやや素っ気無かった)
3、個々の事件を扱う短編と全体の復讐・抗争劇のバランス進行
4、謎や伏線が多くそれについてはほぼ回収して、主人公マッコイの物語としてはちゃんと完結する(終盤真相が明かされる舞台となっているエリア51の問題は何も解決していない)

尖っていたがセンスの塊だった「ジャバウォッキー」、丸くなりつつ総合力の「エリア51」という感じで双璧だと思いますし、どちらか一作なら本作を薦めたいと思える出来でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-09-24 10:52:35] [修正:2017-09-24 10:53:14] [このレビューのURL]

知名度が乏しい作品ですが、オカルティックバトル漫画(グロあり)として力作だと思います。ややクド過ぎると思った箇所もあるものの、マヤ文明関係のウンチクを絡める大胆な作中考察は勉強にもなりました(原作が小説だけはあるなと)。

何より絵が本当に綺麗かつ描き込みが凄いです(作画担当の人が作中に普通に登場して話に絡んじゃうのですが、その人物描写からはとても想像出来ないほどマメさを感じる)。それでいてバトルが見やすく迫力満点なのも評価点。たまに立ち位置が見えにくくなりますが(相関図でも随所に差し込まれると良かった)、様々な勢力が入り乱れての攻防だったのもストーリーに引き込まれ読み応えがありました。日本編とユカタン編からなりますが、ユカタンに行ってからの方が物語がクリアかつ収束して行く感じがあって良かったですね。

雑誌休刊など困難に見舞われて、そのことが作中でも婉曲に愚痴られていますが、執念のネット連載でしっかり完結させたのは大したものだと思います。原作と違う結末らしいですが、救いを残したようで読後感が良かったです。ただそのせいで単行本で読むなら工夫しても後半が文庫になってしまうのが、長所である絵を楽しむことを考えると惜しいなと思ってしまいましたが。いきなり差し込まれるギャグ描写も日本編は分量も多くて違和感がありました(次第に抑えられて良いバランスになった)。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-09-15 20:59:15] [修正:2017-09-15 20:59:15] [このレビューのURL]

慣れるまで多少時間かかりましたが(絵の見にくさはついて回る)、そこから癖になるだけのセンス、上手さのある芸術的とも言える独特な絵。19世紀末の世界史知識を絡めた人間と恐竜人間コンビによるハイセンススパイアクション漫画。

最後が打ち切りめいてるのが残念ですが。ただ作者もあとがきでこれほどの仕事はもう出来ないんじゃないかってほど中盤から最後まで辺りの力作ぶりは凄いものがありました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-08-16 20:42:24] [修正:2017-08-16 20:42:24] [このレビューのURL]

通信業界に革新をもたらした天才スティーブ・ジョブズの伝記漫画。伝記なのに偉人賛美にならずに、ジョブズのクズ言動とされる行為も相当に描かれています(ジョブズ本人がリアルに拘って執筆依頼しているのが彼らしいし特異)。そういうスタンスの原作だから、前の方が仰るようにジョブズ愛は乏しいように感じるかもしれませんが、ヤマザキ氏のジョブズ観や作風にも合っていたのではないかと。ヒット作「テルマエ・ロマエ」で見せた巧さでジョブズがときにフォロー出来ないところもあるにせよ、概ね親しみも感じる変人天才の範疇に収まった気がします。

あとは史実からして強烈な個性(ある種クレイジー)と波乱な人生を送った人なので、忠実に描かれる本作は「テルマエ」と違いパワーダウンせずに最後まで勢いが保たれた印象。全6巻でちゃんとまとまって、ラスト付近には感動すらあります。ジョブズ伝記漫画ではまずこれという作品になるのではと思いました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-19 01:14:46] [修正:2017-07-19 01:14:46] [このレビューのURL]

最近完結した作品ですが面白かったですね。吸血鬼(といっても伝承が盛っているという設定で危険性は大したことない)と人間の共存が軋轢を抱えつつなされている現代世界観ですが、違和感なくそれが受け入れられるような設定と空気感、内包する差別や対応する行政の実態などは現実感があります。加えて猟奇殺人を軸としたミステリー作品なのにどことないユルさやキャラ達のやりとりが個性的で流石ベテラン漫画家だと感心しました。

熱さや緊張感には乏しく地味と言われたら否定出来ない面はありますが、それも持ち味なのかなと。毎巻ごとに区切りはありつつも、ゆっくり核心へと迫って綺麗に畳んだ作品なので、完結した今こそ一気読みが薦められる作品です。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2017-07-09 07:15:14] [修正:2017-07-09 07:16:53] [このレビューのURL]

8点 自殺島

自殺未遂者達を隔離した島で繰り広げられるサバイバル人間ドラマ。絵柄が独特で画力は高いとは言えないまでも、前作「ホーリーランド」にも通じる作劇の上手さ、今回は実体験と猟師への取材から得たサバイバル知識を絡めて読ませるものがありました。前作よりも解説の挿入が自然で読みやすくなっているとも思います。作者独特の語り口や優しさに溢れるメッセージ性には共感出来ました。

人物描写も前作よりも掘り下げていますが、主人公セイが猟師として成長して、グループの生活が安定して、途中からサワダ率いる他グループとの抗争がグダグダになったのが残念ですね。セイがとにかく強すぎるのに決断出来ずに話が続く格好で、サバイバルと呼べるものではなくなりました。結局武力排除になってしまったこともありなんだかなあと。

しかし、ラストの畳み方と読後感は前作よりもスッキリ出来るものがありました。そういう意味でも一気読み向け作品で、全体としては前作より向上した部分もあり(ヒロインが魅力的に機能しているなど)、作者にとってのもう一つの代表作と呼べる良作だったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-06-11 05:53:34] [修正:2017-06-11 05:53:34] [このレビューのURL]

謎、バトル、エロやエグさありのダークファンタジー作品。掲載誌のこともあって、知名度は高くないですが秀作だと思います。高画力でアメコミ風を取り入れた日本寄り融合絵は独特で最も魅力を感じました(バトルが若干見辛いところもあるがこの手の絵にしてはマシな方)。キャラデザも癖が少なくて獣人キャラに嫌味がなく、女性キャラはかわいい。レトロなアメリカ世界観、謎を振りまく話にも引きつけられ、キャラも立っていて特に獣人主人公アレックス刑事の格好良さは特徴的。賑やかし要員に見えたピートが第二主人公的成長を遂げたのも良かったです。

一方でやや難解な二重螺旋をテーマにしたダークファンタジーがほぼ全てなので、刑事である主人公が主体的に捜査するというよりもほぼ振り回される格好だったこと、ヒロインのネクロや関係者が責任をとったとはいえラスボスに転嫁出来ない身勝手な罪が重すぎたこと(よって結末のカタルシスが弱い)、核になって行く獣人差別問題が序盤には感じにくく、終盤の展開がやや唐突に感じたところなど不満点もありました。

しかし、全体として謎や話をしっかり解決して終わったことをはじめ長所が大きく勝ったという印象です。独特かつ一気読み向きの作品なので、未読の人には最近完結した今こそおすすめしたい作品かなと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-06-03 17:58:13] [修正:2017-06-03 17:59:33] [このレビューのURL]

8点 COPPELION

[ネタバレあり]

突っ込みどころはあれど、政治的な風刺も含めて面白いところ突いてたと思いますし、続きが気になりながら最終章込みで全五部構成の長編を読み切れるだけの面白さがありました。

途中で現実の方が漫画に近づくことになってしまったため(逆に良いところ突いてた裏返しだが)、ダークな原子力ディストピア色を後退させてバトル漫画的に。ゴチャゴチャしたり、展開がやや遅いところがありましたが(連載追っていたら大変だったかも)、それはそれで引きつけられて、一気読みだと大分改善されます。

多少粗さあれど特徴と画力があって、萌えとは異なる活き活きとしてかわいさがある制服女子校生達のサイバーパンクアクション漫画。裏腹に老人キャラも多いですが良い味出してたと思います。謎を残したりせず読後感が良い方でちゃんと話を畳んだのも良かったです(それまでの政府暗部を許し過ぎたり、主人公だけ仲間と離れる形になったのは多少引っかかるものはあるが)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-05-13 11:16:30] [修正:2017-05-13 11:25:04] [このレビューのURL]

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