「鋼鉄くらげ」さんのページ

総レビュー数: 292レビュー(全て表示) 最終投稿: 2007年10月28日

「少女漫画に出てくる男性主人公はイケメンである」という、ある意味では不文律にも似た既成概念であり固定観念を、真正面からぶち壊していった意欲作です。

思えばこの作品。終始実直なストーリー展開で、どちらか一方が浮気をしたり他の異性を好きになったりだとか、そういう浮ついた話の一切無い、実に一本気に満ちた、男気溢れる物語だったなと、そんなことを思います。

普通、付き合ってからの話の展開としてありがちなのが、喧嘩して一度別れてしまうだとか、他の異性を好きになって二股関係のような状況になってしまうだとか、そういう、何かしら「その人以外の人を好きになってしまうような展開」みたいなものがある場合が多いものなのですが、この作品に限っては、そういう浮ついた展開みたいなものは(最後以外)ほとんど全くありませんでした。

ただ、もう少し欲を言えば、主人公剛田猛男の親友砂川にも、もう少し良い思いをしてほしかったなという気持ちもあります。しかし、あくまでこの作品において彼の役割は童話「泣いた赤鬼」でいう「青鬼」という立場そのものだったのでしょう。

作品のカテゴリーとしては少女漫画ですが、一般的にイメージするほど少女漫画強さは無く、かなりあっさりとして読みやすい作品になっているので、少女漫画に対して苦手意識を持っている人たちに対しても安心して薦められる作品になっていると思います。

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[投稿:2018-02-02 18:42:21] [修正:2018-02-02 19:04:53] [このレビューのURL]

どうにもアニメの進行具合がちぐはぐな感じがするというか、歯切れの悪い印象を受けたので、実際のところ原作ではどうなっているのかと気になって、試しに自分がアニメで観た部分くらいまで原作で読んでみました。

なるほど。確かにこれは(アニメスタッフの方々には申し訳ないのですが)原作の方が読んでいて面白い作品です。というのも実際に原作を読んでみて感じたのが、この作品は、そのコマそのコマごとの一枚絵でその描写を見せるタイプの作品で、モーション、つまり動きとして物語を伝えるタイプの作り方をしていないような印象を受けたからです。その顕著な例が、原作で見開きとして使われているような、アニメとして表現するには少し難しい描写の細かいシーン、あるいは登場人物の心情描写をメインとした伝達構成が難しいシーンなどが、その代表例として挙げられると思います。

ただ物語自体は面白いので、アニメがいまいちだと感じた人は、ぜひ原作を読んでみてほしいと思っています。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-12-23 18:29:19] [修正:2017-12-23 18:55:41] [このレビューのURL]

石黒正数という作家の人間性をこれ以上なく色濃く反映させた作品です。

とりあえずこの作品を読んでおけば、石黒正数という人物がどういう物語を作ることが好きな人間なのか、あるいはどういうキャラクターを作ることが好きな人間なのか、更にはどういう価値観、倫理観、思考回路、物事に対する嗜好などを持った人間なのかということをつぶさに知ることができる、ある意味、作者自身の心の有りようを丸裸にしたような作品です。

ではこの作品はどういう作品なのかというと、それはとても不思議な作品で、日常ものだと言うこともできるし、サスペンスやミステリーだと言うこともできる。あるいはSF作品と言うこともできるかもしれない。つまりは作者自身が今どういう物語を描きたいかによって、その時々の作品全体のカラーが全く別のものに変わってしまうという、非常に多様性に富んだ作品です。

ただ、それでも今回評価点を7点に留めたのは、全16巻のうち後半の何巻かは、かなり話の内容がマンネリ化してきて、初期の頃のような面白みが減ってきた印象を受けたためです。個人的に、この作品は原作第2巻の、タイトルと同名のエピソード「それでも町は廻っている」が本当の最終回だったと思っています。

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[投稿:2017-10-06 19:29:12] [修正:2017-10-06 19:29:12] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

※このレビューは物語の核心部分まで踏み込んだネタバレレビューとなりますので、未読の方はご注意ください。

サンデー史上最長のラブコメ作品として、足かけ13年もの間連載を続けていたこの作品。

しかしそうは言っても、自分はこの作品を連載開始当初から、ずっと読んでいたわけではありませんでした。というのも、その記念すべき第1話(と第2話)の内容が信じられないほどつまらなくて、そこで一度、この作品を読むのをやめていたからです。しかし、コミックス第4巻第6話の回で連載開始以来、初めての再巻頭カラーとなり、試しに読んでみたその回の内容が思った以上に面白かったので、そこからこの作品に対して徐々に興味や関心を持つようになっていった、という感じです。

さて、今でこそ冗長で退屈な展開ばかりが続いていた「ハヤテのごとく!」ですが、初期の頃(具体的にはアテネ編が始まるまで)は本当に面白いエピソードが多かったように思えます。ただし、自分はこの作品を他人に薦めようとは全く思いません。その理由は、主に次の二点です。

1 序盤がとにかくつまらなくて、原作第1巻の第1話からその面白さを見出して物語を読み続けていくことは、はっきり言って難しいと考えるから。(物語が本当に面白くなるのは、主要キャラが揃い始める4巻目以降だと考えるから)

2 作品として本当に面白いのは、原作第4巻から第17巻のアテネ編が始まる前までのほんのわずかの短い期間だけで、あとはあってもなくてもどっちでもいいような、大して面白くもない話ばかりが延々と続く「ダメな長期連載の典型例」のような作品になってしまっているから。

実際のところ、この作者は「物語」を描くことにはあまり向いてないタイプの作家だったんじゃないかと思っています。より正確に言えば、「物語」を組み立てていく上で重要となる「構成力」があまりにも上手くないタイプの作家だったんじゃないかと思っています。

「ハヤテのごとく!」の中でも評判が良くないシリーズの代表例として挙げられる「アテネ編」ですが、つまるところ、その面白くない原因は話のテンポの悪さ、あるいはシリーズ構成の不完全さに原因があると思っています。要は、見せ方をもう少し工夫して、きちんとテンポよく話を展開させていけば、もっと面白いシリーズになったかもしれない、ということです。

話の構成が不完全で、テンポが悪くてつまらない話になっているものは何も「アテネ編」だけではありません。「4月3日のエピソード」、「G・W編」、「同人誌編」など、1話完結していないシリーズ物は、はっきり言って、そのほとんど全てが面白くありません。そしてそのどれもが、もう少し話の構成や見せ方を工夫すれば今の半分か、あるいは3分の1程度で終わらせることができるだろうと思えるようなエピソードばかりです。それだけ、無駄なシーンやコマ割りで、尺というか話数を稼ぎまくっています。

人気が出たことであぐらをかいてしまったのか、あるいは忙しすぎて一つひとつの物語に傾注するような時間が無くなり、描くだけでも精いっぱいな状況になってしまったのか。本当のところは何も分かりませんが、それにしても、初期の頃の面白い作品を作りたいという作品に対する熱意のようなものが、後半の頃にはすっかり影をひそめてしまったような感じがしました。

では、実際のところ、物語が無事に完結したことで自分はこの作品を一体どのように評価しているのかと言えば、はっきり言って、消化不良。おそらく、まだ描き足りないエピソードはあったものの、ある程度の区切りとして、やむなくここで物語に幕を閉じた。そんな印象を持っています。

そう考える根拠というか理由は、文化祭イベントと誕生日イベントのスルー。その中でも特に誕生日イベントのスルーが一番大きな理由です。

以前作者は、この作品に対して、この作品は何月何日に何のイベントを行なうのかという予定表を既に明確に決めていて、それに沿って物語を進めている、みたいなエピソードをどこかで読んだ記憶があるのですが、だとすれば主要キャラの登場人物であるハヤテやナギ、マリアの三人の誕生日(11月11日、12月3日、12月24日)に何か大きなイベントが予定されているのは必然で、そのエピソードを語ることなしに物語が終わることは正直あまりに不自然だなと(連載が終わりそうな頃から)常々思っていました。しかもこの誕生日の並びと、原作第9巻第4話のエピソード、そしてこの物語が12月24日から始まったことを総合すれば、この作品は「12月24日から始まり、翌年の12月24日で終わる一年間の物語であり、マリアさんの誕生日である12月24日に、物語の根幹に関わる何か重要なエピソードが用意されている」ということは、火を見るよりも明らかなことだったんですが、その話を語ることなしに物語が最終回を迎えてしまうというのは、どう考えても不自然なことですし、やはり何か他の不本意な力が働いてしまったのではないかと邪推してしまいます。

結局のところ、マリアさんの正体は○○○○○だった訳ですが、その事実の重大性を考えると、もう少しまだ何かいくつか語るべきエピソードがあったんじゃないかなと、そんなことを思います。

ただ、そうは言っても、これだけの不平や不満、文句を色々と言ってきても、途中のエピソードは面白かったものも結構多かったので、総合評価として4点という評価点を付けました。実際、かなりの思い出補正とファンとしての温情補正が入っています。

それでは最後に、これも月並みになりますが、この作品に対する感謝と労いの言葉を添えて、「ハヤテのごとく!」に対する完結レビューとしたいと思います。

長い間ありがとうございました。そしてお疲れ様でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-07 21:08:04] [修正:2017-07-07 21:46:22] [このレビューのURL]

「侵略!イカ娘」の作者、安部真弘先生の新作漫画ということで結構期待して読んでみたんですが、1巻の時点では正直微妙でした。

と言うのも、とにかく読んでいて地味というか平凡で、物語にも登場人物にも魅力や個性のようなものを感じ取ることが出来ず、記憶にも印象にも残らない退屈な話ばかりを延々とやっているだけなので、正直2巻以降を買うかどうかはあやしいところです。

もっとこう読者に強烈なインパクトを与えるとか、日常物であるにしてもどこかで非日常的な要素を物語の中に組み込むとかして、読者の目を引きつけるような工夫をしていかないと、あっという間にその他大勢の作品群の中に埋没してしまうような気がします。

おそらくこのままでは、近いうちに「侵略!イカ娘2」が始まってしまうのではないかと、そんな危惧の念を抱かざるを得ないような内容でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-04-28 22:50:02] [修正:2017-04-28 22:50:02] [このレビューのURL]

気がつけばシリーズ完結まで6年近くかかったこの作品ですが、まず初めに、シリーズ全体を通して出てきたゲームの個人的面白さを、AからCの三段階で評価してみました。

A:面白かった (8-10点)
壱 だるま こけし うらしまたろう
弐 すなとり じゃんけん 神罰ババ抜き

B:普通 (5-7点)
壱 まねきねこ どきょうそう ぜつぼうたおし
弐 だるま 空中けんぱ あまのじゃく迷宮

C:つまらなかった (0-4点)
壱 しょうべんこぞう
弐 おにたいじ 7×7不思議 あじゃら 三国ドロケイ ラストゲーム

これを見るとあれですね。概ね一つのゲームが長くなれば長くなるほど、自分は「つまらない」と感じるようです。特に7×7不思議、あじゃら、三国ドロケイの三つは本当につまらなかったです。とは言え、全体的には面白いゲームも多かったので、総合的な評価として5点を付けました。

ここからはネタバレです。

改めて全編を振り返ってみると、結局「弐」は「壱」を超えられなかったな、というのが正直な感想です。ストーリーの面でも、キャラクターの面でも。

そもそも自分は別マガで「壱」として連載していた作品を、「弐」として週刊少年マガジンに移籍すること自体に懐疑的で、あまり良い印象は持っていませんでした。まぁやろうとしていたことは良かったと思っています。「壱」と「弐」の登場人物をストーリー上で交差させて、後々同じゲームで戦わせようっていう発想自体は面白そうだとは思うんですけど、ただその交差のさせ方が少々強引というか、無理矢理交差させている感じで、ストーリー上後付け感がハンパなかったのが、いまいち「弐」のストーリー展開に好感を持てなかった最大の理由でした。

実際のところ、今にして思えばこの「神さまの言うとおり」という作品は「うらしまたろう」までがピークだったと思いますし、そこまでが本来の「神さまの言うとおり」という作品の物語だったのではないかと、そんなことを考えます。

もし、この作品を読んでみたいのであれば、「壱」の3巻までで充分だと思います。
そこから先は人気が出てしまったが故の、ただの後付け物語のようなものです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-04-07 23:04:28] [修正:2017-04-07 23:39:38] [このレビューのURL]

なんだかんだで九年近い長期連載作品となった「侵略!イカ娘」ですが、ハタから見るとごく平凡なこの作品が、一体なぜここまで長期連載することができたのかと考えたとき、「その掲載誌が、変わり物だらけの週刊少年チャンピオンだったから」というのが、その理由の一つとして挙げられると自分は考えています。

こう言っては語弊がありそうですが、自分は週刊少年チャンピオンは少し不気味というか近寄りがたい雰囲気を感じていて、ジャンプやマガジン、サンデーなどと比べると、どうしても異質というか、気楽には読みづらい雰囲気が雑誌全体から漂っていて少し苦手でした。

しかし、そうした異質の集合体である週刊少年チャンピオンの中で数少ない「普通」の作品として連載していた「侵略!イカ娘」は、異質の中でむしろ逆に「異質」として読者の心の清涼剤的な役割を担っていた。そのことが、週刊少年チャンピオンで長く掲載できた理由の一つだったのではないかと、自分は考えています。

そしてそう考えると、どんなものにも「運」はあるように感じます。(しかしこれは単にマグレや偶然という意味ではなく、運気や運勢、勢いやタイミング、巡り合わせという意味の方が近いです)漫画やアニメ。ゲームに映画。創作物はスピードも大事だと思いますが何よりも時代の運に合うかどうか。ヒットするしないは結局時代を味方につけるかどうかなんだろうなと、色んな創作物の栄枯盛衰を見てきて、今そんなことを思います。

そういった意味でも、「侵略!イカ娘」は時代と雑誌、そしてそのタイミングなど、色々な部分で「運」が良かった作品だったと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-03 22:48:03] [修正:2017-02-03 23:04:19] [このレビューのURL]

「お酒は夫婦になってから」を読み始めて以来、すっかり酒飲み漫画にハマっているんですが、そんな中でこの作品は、自分の中のマイブームと、たまたま書店内で表紙絵を見た際のインスピレーションが奇跡的なベストマッチを果たし、「面白そう」と思い、買って読んでみた作品です。

実際この作品は、内容のようなものはほとんど無く、ただ一組のカップルがお酒のツマミネタのあれこれに関して談義するユルい内容の作品です。ですがそのユルさがまたクセになる、正に酒のツマミのような作品でした。

とは言え、酒飲みの漫画にハマっていると言いつつも、実は自分はお酒やビールなどのアルコール飲料が苦手で正直ほとんど飲めません。なので、どちらかと言うとこの作品に出てくる彼氏さんの気持ちの方がよく分かります。そんな中で酒飲み漫画にハマってしまうのは、おそらく「(実際はお酒が弱いけれども)こんな風にお酒を楽しめる人間になりたい」という願望や憧れの気持ちから来ているものなんじゃないかと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-01-06 23:02:53] [修正:2017-01-06 23:14:35] [このレビューのURL]

最近、書店でのプッシュが凄いので気になって読んでみましたが、思いのほか面白くありませんでした。こう言ってはなんですが、手品ネタにしろ、登場人物にしろ、作品内のギャグにしろ、完全に「だがしかし」の劣化版というか下位互換の印象を受けます。

手品ネタは「だがしかし」の駄菓子ネタの劣化版。
手品先輩はほたるさんの下位互換。
助手くんはココノツくんの下位互換。

全てが中途半端というか劣化版の印象を受ける作品です。

実際売れているようですが、自分は正直、おすすめはしません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-01-06 23:03:33] [修正:2017-01-06 23:03:33] [このレビューのURL]

今から十年前の自分に、平成のとある年に国民的人気アイドルグループが解散して、イギリスがEUを離脱して、こち亀が連載を終了する。更にはジブリ以外のアニメ映画で興行収入100億円を突破する作品が現れて、天皇陛下が生前退位の意向を示す。そんな、途轍もない出来事が立て続けに起こる一年が、近い将来やってくる。

なんて言っても絶対に信じてもらえないだろうと思うくらい、衝撃的な出来事が立て続けに起こった2016年。

正直、前々からこち亀のコミックが何だか分厚いなーとは思っていたのですが、「40周年200巻。そこでこち亀は終了します」という伏線だったとは、さすがに予想外だったと言うほかありません。

さて、そんなこち亀。自分にとってこち亀はそれほど思い入れが無い、というか生まれる前からジャンプで連載していて、物心がついた頃にはもうジャンプに載っていた存在なので、どちらかと言えば慣れ親しんだ友人というよりは、盆や正月などで年に数回顔を見る親戚のおじさんのような存在でした。しかもちょっと苦手なタイプの。

ただ、そうは言ってもたまに掲載されている人情系の話は良い話が多く、古き良き昭和の記憶を感じられるような名エピソードは、多数自分の記憶の中に刻まれています。

まぁ、そうですね。40年前なんていう、自分が生まれる遥か前から連載をしていて、しかも作者のペンネームが当初「山止たつひこ」(6巻まで)だったということを連載が終わってから知ったような人間が、この作品のことをあれこれ言うのは無粋だと思いますので、ただ一言。「お疲れ様でした」と言わせてください。

本当に、お疲れ様でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2016-09-30 23:11:12] [修正:2016-09-30 23:36:17] [このレビューのURL]

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