「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

ナイチンゲールの伝記もの&うしとら的な怪奇設定を合わせた
黒歴史館第二弾作品。藤田先生が月光条例で迷走してるなと思っていたので読むのを迷いましたが、見事な復活的な作品だと思います。ナイチンゲールの伝記要素が強くて、怪奇バトルが脇になったところはありますが前者が素晴らしいです。

ナイチンゲールに知識がほぼないので彼女の偉大さに驚きましたし、展開もどうなることかとハラハラしました。やや単行本が分厚いのも全2冊ながら分量が豊富で各々キャラ立ちが出来ていました。ラストも感動的で総合的に前作よりかなり上だったと思います。画も申し分なく力が入っており、先生の気合を感じました。ただ欲を言えばバトルにもう少し存在感があればとは思う面はありましたが。黒歴史館シリーズ第三弾にも期待したいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-25 16:07:04] [修正:2015-08-25 16:07:04] [このレビューのURL]

タイトル通り仏師を題材とした漫画ながらフィギュア製作要素も扱った作品。仏像・フィギュア知識を丁寧に盛り込みながら堅苦しさがなく、ギャグがかなり笑えて、地味ながら話の質も高く良作だったと思います。絵が上手いのも良かったです。「美味しんぼ」や「ギャラリーフェイク」みたいな一編完結の楽しい業界系漫画としてまだまだやれそうだったのに、題材が題材のためかおそらく打ち切りだったのが残念ですね。一応最後は一番言いたいテーマを語って終わってはいますが。キャラ達のその後がもっと見たかったなと思いました。作者の他作品にも興味が湧きましたし、未読の人にはおすすめしたい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-07-28 02:01:07] [修正:2015-07-28 02:01:07] [このレビューのURL]

東日本大震災があった今だからこそ余計に価値があがる漫画だと思います。災害パニック漫画ですが、原作者が理系専門家兼小説家なので説得力のある考証で、巻末にある解説を合わせて相当に勉強になります。おそらくこの手の漫画で一番深いのでは。かといって漫画としても成り立っており、少し古いキャラデザながらも一定の画力、続きが気になるストーリー展開、タイトルに繋げる結論など見所があります。

ヘタレながらいざという時に頑張る主人公とその契機となるヒロインの描写、微笑ましい関係も良かったです。本編3巻、外伝(オムニバス)と後日談の1巻、でダラダラせずちゃんと終わっているところも良かったと思います。

ただ主人公周辺だけはご都合が続く訳ですが(災害漫画の必然かも)、読むのが苦痛な鬱漫画だけになったかもしれないから、否定しませんが擁護要素はあると思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-07-06 18:54:42] [修正:2015-07-06 18:54:42] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

既に有名作品だと思いますが、それだけのものがある
と思います。デブリという宇宙ごみに注目した設定が
斬新ですし、主人公が宇宙ごみ処理仕事から
木星開拓宇宙飛行士を目指す中での哲学的な
話も「ここ(地球)も宇宙なんだ」とか
言って一瞬「え?」っとなった後で「おお」と感銘
を受けたりしました。画力も力があり最初は粗い
ですが、徐々に整って行きます。色んな話が盛り込まれて
全4巻ですが不足を感じないほど密度が濃かった
です。愛に関しては賛否両論のようですが、1人で生きて
1人で死んで満足な人もいるだろうと思う点では1つの
主張に過ぎないと思いますが、1つの立場としては筋が通って
いた方かと。対論としてロックスミスという主人公の
ラストでの主張にも否定的な人物もいましたし(彼の
エピソードも印象的。アニメ版にはない)。

アニメでも結構知られている作品のようですが、やはり原作の
方が良いと思いました。向こうにある軽すぎて、悪ノリ
ではという話がこちらにはありませんし(オリキャラ
使ってのオフィスコメディや恋愛話)、向こうでクライマックスに持って来て焦点当てたテロとの戦いが愛という
言葉で切り捨て的に後味がやや悪いのが、こっちではすぐに単発話で終わって、紹介に留まり尾を引かず粗が目立ってませんから。

そういう意味でもアニメしか見ていないという人、短い
漫画で面白い作品を探している人にも特にお薦めの作品
だと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-06-28 12:01:16] [修正:2015-06-28 12:01:16] [このレビューのURL]

一昔前のホラーパニック漫画ですが、人類の死活命題(本作は食糧)と危険な科学技術について考えさせられる設定は今でも十分に通じるかと思います。時代が変遷して登場人物が変遷する3部構成(10歳、13歳、20歳)ですが、それぞれの話に繋がりと変遷ならではの面白みがあり、全12巻で中だるみなく一気に読み切れる面白さがあります。作者が舞台作家らしくテンポの良さ(現在の漫画ならどれだけ引き伸ばされたか)、たまにハッとするセンスの良いセリフは上手さがあります。

画力はあれど絵柄に癖が強く、年齢に合ってないような老けキャラ達の連発、悪人は見るからに悪人相の少年漫画の悪い意味での定番、キャラ達の年齢設定は地位や行動みるともう5歳はあげても良かったのでは、三部は展開にご都合色が強い、など問題点も感じましたが、チャンピオンの暗黒時代を支えたとの評もあるだけの隠れた名作だと思います。大団円でまとめながら一抹の皮肉を残すオチも印象的で良かったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-06-16 21:54:58] [修正:2015-06-16 21:57:09] [このレビューのURL]

終盤の恋愛絡みで連載中に騒ぎが起こった作品かつ競艇というマイナー競技を題材とした漫画で長いなあというのが読む前の印象だった作品です。最初の6、7巻くらいが競艇学校でレースにはなかなか行きません。これがつまらないことはないのですが、いきなり敷居を感じました。しかしこれがあってこそという作品だったのは間違いないです。

ここでルールと基礎を覚えたことが競艇の奥深さをその後理解できるという格好になり、完全に初心者でも門戸を開くようになりましたから。それからは安定した面白さを保ちました。主人公波多野、ライバル洞口が無双する訳ではなく、それなりに挫折があり(怪我の下りは印象的。古池さんという主人公に物言う師匠がついたのも良かった)、課題を克服しつつ互いに地位が上下するのは面白かったですね。時間をかけてトップレイサーになって行きます。周辺人物達も実力、地位様々ですがそれぞれの活躍を描けていたと思います。

「帯ギュ」に比べると登場人物の人間性に黒さも出ますが、人間臭くて良かったとは思います(本当の腹黒人間はほとんど居ませんし)。終盤はその恋愛絡みは多少縺れましたが、積み重ねて来たのものが活きて実に綺麗に畳んで関心しました。恋愛絡みもありますが、普段はレース・競艇絡みの話が「帯ギュ」に比べると多いです(競艇選手の私生活の厳しさを逆に描けているが、息抜き部分がないとも言える)。浮気と言ってもキス1つしてないし、波多野は最後にはちゃんとケジメをつけた訳で(その選択も人として正しいもの)、人物達が納得する良い落としどころに行き着いて良かったです。振られた青島が行き着いた心情独白には感動しましたしね。なんだかんだで終盤の人間ドラマにも盛りあがりを感じました。

全30巻と長いですが、競艇という独自の世界を正面から描き切った功績は大きいと思います。レースの奥深さ、選手達の舞台裏も分かり敬意を抱けました。ギャンブルなのに不思議な爽やかさもあります。クオリティは同等だと思いますが、個人的な好みは「帯ギュ」以上でした。スポーツ漫画の名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-06-13 14:45:48] [修正:2015-06-13 14:45:48] [このレビューのURL]

8点 エンマ

「ライバル」という低年齢向けとは思えない深くブラックな一話完結物語(掲載誌のせいで知名度低すぎ)。冥界で死者が出過ぎているため、使い魔人形のエンマが色々な時代・場所で死者を増やす罪人を先に殺す行動を行います。絵がまず綺麗でキャラデザが好みだから読みやすかったです。この絵の綺麗さが殺すために骨を抜くという独自の定番罰のエグさが軽減されているのも良かったです。人間ドラマに毎話メッセージが込められており、主人公エンマに関する物語も同時に少しづつ動いて行きます(彼女に苦悩が芽生えてくる)。余韻と切なさを残して終わる一話完結型の定番としてはレベルが高いと思います。落ちも話が進むたびにバリエーションも出てきますし(骨を抜いて殺せない人間が出てきたり)。罪人が純粋悪じゃないことがほとんどで、大害を防ぐには小害は見過ごすしかない的な勧善懲悪じゃないところも面白かったです(ただ根っからの悪人がもっと居ても良いとは思った)。最後は引き伸ばし感がなく、質を保ったまま本筋を畳み、綺麗に終えたところもマイナー掲載の長所だったのではと思いました。あと気になったところは罪人に史実人が出て来る回のそれは面白かったのですが、途中からは史実をほぼ踏まえてなかったです。史書の方が作中は後世のデタラメという設定なんでしょうが、やっぱりそこはエンマを絡めてももっと沿った方がと思いました。総じて今の少年誌には色々な意味で存在し得ない隠れた良作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-05-18 21:39:10] [修正:2015-05-18 21:39:10] [このレビューのURL]

8点 LIAR GAME

頭脳戦漫画としてドラマがヒットしているのもあって有名な作品。興味はあったのですが完結後に読んだ方が良さそうと思い敬遠していました。結果的にそれで良かったと思います(ルールが少し複雑でテンポも途中からは少し良くないので
一気読み向き)。正直最初は絵のレベルの低さ、1回戦のオチが読めまくっていたバトルで拍子抜け感が酷かったです。

しかし次第にゲームの内容・画力も迫力不足という問題は抱えながらも上達して行きました。特にゲームは少数決から終盤に至るまでには独自のゲーム性、駆け引きと逆転の連続で展開の面白さに引き込まれました。単なる個人勝負じゃなく囚人のジレンマ的な団体戦要素があり、その辺の駆け引きは毎回面白かったですね。主人公である直の成長、パートナーの切れ者秋山、オカマだけど「良い女」キャラのフクナガ、ライバルのヨコヤなどキャラも立って来て盛りあげました。心理学的要素を入れた解説も勉強になりました。

しかしライアーゲーム関連のオチはある程度予想出来た部分はあったのですが(なんだかんだでヌルかったですし)、やっぱりラストゲームの盛り上がりの乏しさといい良い締めではなかったなとは思います。投げっぱなしよりはマシ
だとは思いますが。あとカイジ系のゲームと比べると演出、オチとも関連するんですが緊張感をやや欠いてはいます。それでも毎回のゲームのレベルは高く、頭脳戦を代表する漫画という
評価は揺らがないと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2015-05-11 01:53:35] [修正:2015-05-11 01:53:35] [このレビューのURL]

未完ということで知ってはいましたが、読むのを避けていたことを後悔するほど面白い漫画でした。大音楽家「ベートーヴェン」を主人公に扱う伝記漫画。漫画界の巨匠最後の作品だけあって、オリキャラ(フランツ)を相当に絡めて史実じゃない部分(難聴の原因がフランツの行為等。フランツを作中ナレーションでもこのような記録があると史実人のごとく書いているのは誤解を与える箇所なので個人的にはマイナス印象)もありながらも、史実エピソードも交えベートーヴェンを分かりやすく本質を伝えようとしている部分が素晴らしかったです。だからこそ未完ではありますが、趣旨としてはそれなりに充たしている作品ではあるかと。おそらく最後は途中で第九を匂わす箇所が伏線として出て来ていたので、それをもってフランツとは和解するところを帰着点としているような感じでした(ついでにフランツを破滅させるような匂いも感じましたが)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-04-02 02:22:40] [修正:2015-04-02 02:22:40] [このレビューのURL]

「寄生獣」と設定は違いますが、雰囲気が似ていて画力の点ではこちらが上だと思います。狭い人間関係の割に駆け引きがあり先が読めない展開、竹を割った感がある(粘着質ではない)が本質を抉る心理描写などにもその辺を感じます。さりげないギャグ描写も意外に笑えました。主人公側よりも悪役の佐河に独特の魅力があったと思います。ややラストに唐突感がありましたが上手く畳んだ方ではあったかと。無料で現在配信されている「刻々300日後」という後日談を読めばその唐突感があった人物についても多少掘り下げるフォローもされています。まあ全体として止まった世界での限られた少人数の争いという地味めな作品であることは否定しませんが、近年の秀作であることは間違いないです。作者にかなりのセンスを感じたので次回作も期待します。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-02-27 01:59:23] [修正:2015-02-27 01:59:23] [このレビューのURL]

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