「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

「狼の口」という関所オムニバス形式物語から反抗と攻略戦、その背後勢力との決戦まで描いたスイス独立を題材にした歴史漫画。絵がやや固く粗さがある、重苦しく救われない展開が多い(良いキャラがあっけなく死ぬ)くらいしか気になる部分はなかったですね。後者はだからこそ重みがあるとも言えます。上記の最初は「歴史漫画なの?」ってところから次第に移り変わって行く過程が素晴らしいです。先がどうなるのかと飽きさせずに引き込まれました。エログロ(アニメ的画風なので過剰には気にならない)、アクション、駆け引き要素も豊富。壁に相応しい存在感を放つ悪役代官との決着、黒幕的存在との決戦でのカタルシスも高く、全8巻ながら過不足なく描き切ったと思います。最近の完結歴史漫画では手放しで薦められる作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-01-03 03:29:39] [修正:2017-01-03 03:29:39] [このレビューのURL]

9点 BECK

音楽漫画最高峰という評も多い名作。主人公ユユキが歌うシーンの表現と迫力が評判ですが、使いどころは意外に抑えているところに工夫を感じます(他の演奏者やユユキはギターのみというシーンも多い)。
音楽漫画としてのウンチクは説明がほぼないですが、音楽の魅力など本質は伝わって来ます。比重としては青春漫画な感じですが、ギャグが笑えるように基本明るいのが特徴。友情(良い奴が多い)、恋愛(ヒロインがかわいい)、グッと来る話を混ぜながら(苦しい中支えてくれる人達には特に感動)、話を展開して、34巻の長編ですが熱量は維持して、綺麗に収束させましたと思います。
サクセスストーリーながら他作品にはそうそうないほど、苦労や失敗が目立ち、最後の大成功に説得力がありました。連載中なら中だるみ的に感じたかもしれない下積みだったので、完結後一気読みで良かったなと思います。要因である業界のリアルみたいなのは、現在はステマという言葉があるほどより増している感じなので、良いところ突いてるなと思いました。
気になったのは序盤はさすがに絵に癖以前に下手さが目立つのと(次第に最後まで向上する)、話は綺麗に終わったもののエピローグをキャラ立ちしていた脇キャラ達中心にもっと見たかったですね。このサイトでも既に高い評価ですが、自分も一票を投じたいと思います。一昔前の作品ですが、現在でも十分読むに値する作品です(むしろ一気読み出来るのが大きい)。


ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-09-28 01:53:09] [修正:2016-09-28 01:53:09] [このレビューのURL]

原作以外の「レミゼラブル」じゃ最高の出来ではないかと思うほどの作品。漫画媒体の魅力を存分に活かしているので、原作とも別次元で競えるのではと思います。作者の連載作を全部読んでいますが、もともとの安定した実力に加えてキャラ描写、画力、演出全ての面で成長が感じられました。現在の最高傑作だと思います。みなもと先生の同漫画化作品を読んで先に大まかに把握したのが今となっては惜しいほど(あれはあれで楽しめたしギャグはともかく上手く要約してたんだなと再確認は出来たが)、全8巻で忠実かつエピソードが豊富、ダレた感じもないまま円満に終われた感じで綺麗に完結しています。古典名作をこのような形の質量で漫画化というのがもっと広まって欲しいと漫画好きとしては願います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-07-23 11:46:03] [修正:2016-07-23 11:46:51] [このレビューのURL]

輪廻転生を題材に長年に渡る主人公、ヒロインの宿縁(宿敵的)を描いた作品。まず「惑星のさみだれ」では痛いキャラやノリが目立ったものの、こちらではそれは抑えられています。本筋が中心なので目立たずに済んだというか。そして何よりストーリーが全6巻と思えないほど壮大です。

過去、現在、未来それぞれの時代や場所を舞台(編)として、リンクさせて行く手法で唸らされました(感覚的に「火の鳥」の猿田などに近い)。特に現世の主人公以外の登場人物達も舞台ごとに配置しつつ、未来の世界を過去生とする時の円環を利用したのが効いたなと。後半やや霊学というSF的な説明調が増えてテンポを削いだなと思うところ、最後に本筋と関係ない部分で少し謎を残したところはありましたが、全てを現在に集約して、輪廻転生というものに肯定的な深みを感じつつ余韻を残した畳み方は見事でした(握手のシーンは感動)。最近「さみだれ」の方は一時の高いネット評も落ちている感じですが(批判も目にするようになった)、こちらの作品の方はそういう人にも薦められるのではと思えるほどの作品でした。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2016-07-08 00:20:03] [修正:2016-07-08 00:20:03] [このレビューのURL]

日本独自の暦を作り出した渋川春海にスポットを当てた話。
有名ではない人物ですが、その奇特かつ静謐に見えて起伏のある人生に惹きつけられました。

原作小説が様々な賞を受賞して、映画化もされて一時騒がれた作品。現在は沈静化している中で漫画連載は続いて昨年末完結。その原作付属の強みと円満終了出来た感じの珍しい作品で素晴らしい出来です。原作に足した掘り下げ部分も巻末あとがきで毎回原作者から褒められているくらい関係が良好なのもこの作品が力作な証かと。漫画としてのクオリティが高く、算術や天測が頻繁なだけに表現の強みがあります。

春海のキャラが妙に弱々しく見える部分が特に序盤は多くイライラしましたが(ここが唯一の欠点かも)、読み進むにつれて成長することで、その部分も彼の謙虚さや優しさとして受け入れられるものになりました。歴史もの特有の時代推移により、中盤から終盤に特に強みがある作品なので、完結した今こそこの漫画版もさらに評価されても良いのではと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-01-08 19:40:04] [修正:2016-01-08 19:40:04] [このレビューのURL]

1話完結が基本の職業物語で最初から最後まで面白いです。
画力が最初からあって多少崩れますが最後まで
高いまま。キャラデザも親しみやすいです。
内容がサービス業の薀蓄の解説だけじゃなく、人の生き方
、人と人との関わり方まで触れる内容まで進んで哲学にも
入っていて読んでいて刺激を感じました。
この辺に関しては他の薀蓄系と違い考えを変えるだけで良いので即効性もあります。
話も最初はオチが読みやすいのからちょっとした捻りが加わって、後半の方が熟成感がありました。

最初はただのマスコットヒロインかと見えた涼子が主人公
になって、最上・水無月・朝霧という三者三様の先輩一流コンシェルジュと触れ合い、自分のコンシェルジュ像を確立
するという大きな物語が存在している辺りも読み進めてどんどん面白くなったと思います。最上主人公でヒロイン涼子でスーパーコンシェルジュ話で進んでたらマンネリ傾向になっていた
でしょうが、最上の存在感を抑えて他のキャラ話も交えて
涼子を中心とした良い成長群像劇になったかと。
仲間との協力や雰囲気が良いのでただの職場って感じじゃなくてアットホーム感があったのも良いですね。
雑誌関係で急遽の終了だったようですが綺麗に畳んでいるので
質が高いまま終わったと思います。
付録4コマも結構面白くてキャラ達の掘り下げに貢献していました。

欠点は政治の話になった時に明らかに特定の主張をする
キャラを賛美して(対論は示さない)、その逆は容赦なく貶してる感じだったことです。現実のモデルとなる人をかなり酷似
したまま出しちゃうのでここへの偏り感は残念になりました。作者はブログで炎上事件を起こしたことも
あるらしく勇み足気味らしいですが(ガッシュの作者を誹謗中傷してしまったようですが)。しばらくするとこの手の話をグッと抑えたこと(この漫画の推す某政党が政権交代されるほど不人気だった時事が大きかったと思われる)、それ以外上記の普遍的な価値話は良く出来ていたので欠点は低めに見て、職業もの1話完結型を探している人、特にサービス関係に興味がある人にはオススメしたい漫画です。十分完結しているので第二部的なプラチナム以降は話の内容、質的にも蛇足だと考えます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2013-03-02 18:25:02] [修正:2015-06-22 01:23:52] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

野球は好きなのに野球漫画はあまり読まない。どうしても嘘臭く作りもの感が拭えない。そんな自分でもこの作品は満足出来るほど、理論と実践のバランスが良く作りこまれていた作品だと思います。主人公がプレイヤーではなく監督の異色作品なのですが、それだからこそ理論・戦略・戦術・頭脳戦要素が非常に多いです。

それでも心理戦漫画にありがちな誰かが最初から全てを読み切っていたとかになる訳じゃなく、予想外の展開が起こり、その度に策を練り直す作業をするのでリアル感があがりましたね。采配の要素があっても、それが全てじゃない力勝負に委ねる限界も描かれており、野球の奥深さが描けていたと思います。試合のパターンも多彩で大量先制してから、追い上げられて最後はヒヤヒヤとか他スポーツ漫画じゃ滅多に見られないものがあったりします。

試合以外にも理論的な練習、学校人物の周辺関連の話も面白く、高校野球の表層じゃないシビアな舞台裏を描きながら、バランス良く話が進んだと思います。主人公のポッポ監督がダントツでキャラが立っていましたが、他キャラも派手さはありませんが、個性はあったと思います。浦沢直樹氏に兄弟弟子らしく、作風や絵が良く似ていますが、画力もあり作品が必要以上に汗臭い感じにはならないで個人的には良かったです。ただこういう漫画の仕方ないところですが、全国大会行ってからは因縁・伏線などに乏しく、会場から動かずにゲストキャラと連戦状態になったので熱量が落ちたかなという感じはありました。ただそこでしか描けないものだってたくさんあったのでよく粘ったとは思います。

全44巻と非常に長いですが読み応えがあり、面白さも安定して綺麗に完結した珍しい長編漫画です。野球・心理戦漫画として最高峰の面白さがあります。ただ野球ルールくらいは一応は知っていて、観戦出来るくらいの最低知識は必要でしょうね。それくらいの知識があれば、物語を楽しみつつ野球通レベルまで引き上げてくれるかと。個人的にはもっと有名になっていても良いのではと思うほどの近年漫画の名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-05-30 13:22:29] [修正:2015-06-13 19:15:32] [このレビューのURL]

9点 CLAYMORE

同作者の「エンジェル伝説」時代より画力は連載中格段にあがって行きながら、独自のファンタジー世界観に合致しています。あの当時からのシリアス面でのグッと来る描写、熱い描写はこっちでも健在で、ダークファンタジーの中希望の灯を感じる根は王道という素晴らしい作品です。バトル漫画でもありますが、迫力があって描き込みが多いのに見やすいのも助かります。ストーリーの最初は「評判ほどか?」という感じですが、テレサ編衝撃の結末から一変します。そこから出発したと言って良いほどで魅力的な仲間達、話の広がり、随所になされる豊富な伏線の回収など目が離せませんでした。少しはダレかけましたが一気読みだと大丈夫なレベルでした。これだけ過酷かつ色々あっても、終盤が秀逸展開(主人公以外がラスボスを倒すのに喜びを感じる意味でも凄い)かつ大団円なのも読後感が良かったです。連載がとても長かったですが(13年程度はやや長すぎ感はあるが)絵はスタミナ切れしない、話も綺麗に纏まるという意味で少ない作品です。ここでの評価が高いのにも納得で自分もまた一票を投じたい名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-03-13 05:01:26] [修正:2015-03-13 05:01:26] [このレビューのURL]

9点 銀と金

福本先生得意の頭脳戦・心理戦漫画。初期作ですがおそらく最高傑作では。時事的に古い話題が多いですが本質的な部分は現在
にも通じると思います。
画力は拙いしキャラデザに癖がありますがすぐに慣れて来ま
した。全11巻とは思えない密度やテンポの良さとダブル主人公的な銀さんと森田の魅力こそこの作品の本質だと思います。打ち切りのようですが一区切りしてますし、戦い続ける銀さんと引退した森田のままで居てほしいなと思いますので綺麗な終わり方の範疇かと。個人的に麻雀のルールを知らないので途中の麻雀編を雰囲気
理解だけで終わったのが残念ではありましたが(麻雀を扱う福本
作品は読めないでしょうね)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-10 03:49:31] [修正:2014-08-10 03:50:06] [このレビューのURL]

多くの人が語ってくれていますが、内容面はすごい
です。これだけ話広げて伏線バラまいて回収して全17巻って
ところに凄さを感じます。スケールも
銀河レベルの宇宙戦争を本気
で描き切りました。
画力も相当高いのですが、絵柄と
女性キャラの裸が多いのが癖があります。特にヒロインのリプミラ
の髪型が他の女性キャラ以上に古いなと思われる理由かと。

それでも内容は本当に王道を踏みつつ、先が読みにくく、
伏線や謎はちゃんと解答して、個性あるキャラ・
熱さ・笑い・涙・全てが詰まった
SF冒険漫画として燦然と輝いています。
SF設定も多彩ですが、話に軸をおいて盛り上げるためにのみ道具として簡潔に説明して使うという姿勢もあくまで漫画という媒体においては成功だったのではないかと。

面白い漫画探してるという人には時代の壁がありますが、
読み進めると越えられると思っているので是非読んでみて
欲しいです。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2012-12-08 15:08:52] [修正:2012-12-09 18:44:59] [このレビューのURL]

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