「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

[ネタバレあり]

世にも珍しいソーラーカー漫画。この題材への関心は震災から原発云々もあり、現在の方がさらに高まっているのは読む価値をあげているかと。絵は「アイシールド」から相変わらず上手いですね。地味な物語を魅せるものにしています。
最初主人公の説明をナレーションでダラダラとやっている時は不安になりましたが、次第に引き込まれて行きました。

特に主人公とヒロインの関係が自動車事故の被害者、加害者と分かってからが本番でドラマ性と中核が出来たと思います。「アイシールド」にいた一部灰汁があって不愉快な人物が居ないことは好感が持てますし、青春的な雰囲気が高まりました。テンポが良く曇天プリズムというタイトルにもピッタリと符号する展開には地味に驚いたり。地味なんですけど相当に計算された手堅い良作だったかと。

欲を言えばソーラーカーの魅力は感じましたが、もっと薀蓄が豊富でも良かったなというところですかね。エピローグも写真だけでちょっとあっさり気味でした。しかし全2、3巻漫画では間違いなくおすすめ出来る作品です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-10-24 08:51:30] [修正:2015-10-25 09:43:01] [このレビューのURL]

単行本2冊の尺的に是非アニメ映画をやって欲しいなと思わせるだけの独特な作品。画風が良く安定しているし、内容も謎のゲーム的なラビリンス脱出ものとしてSF、ゲームネタ、伏線を絡めて良くまとまっています。変人ゲームオタク主人公礼香と対照的な常識人庸子のコンビが良かった(容姿が皮肉にも礼香が可愛く庸子がドブスなのも興味深い)。密漁者や「彼ら」の掘り下げが薄く、舞台装置なところはありますが、テンポや尺を考慮するとやむなしでしょうか。主人公礼香のバグとも言える発想が劇中では役立ちながらも、社会には馴染めない人種という悲哀も良く描けていたかと(彼女の容姿と性格がかわいいのがそれが際立つ仕組みに)。これをご都合的に社会にねじ込むラストにしかったのも好印象でした(このラストを最初に決めていたというのが帰着点がしっかりして綺麗に終われた要因だと思われる)。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-09-17 22:19:12] [修正:2015-09-17 22:20:04] [このレビューのURL]

獣医を題材とした医療漫画。獣医版ブラックジャック。獣医系漫画ではおそらく随一ではという情報量、分かりやすさがあり(人間との比較を述べるシーンも多く人間医療理解にも役立つ)、ほぼ一話完結でそれを交えた後味の良い物語を提供して行きます。

画力も可愛いキャラ絵ながらそれなりに高く、シンプルにどんどん上達(意外にキャラの描き分けが上手く、多数のゲストキャラを含め絵で見ただけで区別出来るほど)。主人公ドリトルを獣医はビジネスと言い切る人間(キャラ的にブラックジャクのそっくりさん的ですが)に据えた故の、ときに厳しいペット業界の実態、環境、ペットを通した人間描写など説得力があります。

前半は定番オチに強引に運ぶ一面があり、食傷気味になる部分がありましたが、後半は周辺キャラが増えて来て、題材を拡げてオチは同じようでも一話完結のレベルが格段に向上してきました。

最終巻で謎だった主人公の過去を種明かしして、綺麗に話をまとめて終わるところも好印象。総合的に近年研究までカバーした獣医漫画最高の作品であろうと思いますが、強引にだろうがペットを治療して、飼い主自身の問題までを救うというさすがに同じようなオチが多すぎる部分(特に前半は繰り返し。この辺本家ブラックジャック、美術品ブラックジャック的なギャラリーフェイクは工夫が上手い)だけは残念なところでした。全20巻が結構長く感じてしまいますから。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-08-21 05:43:54] [修正:2015-08-21 05:43:54] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

野球は好きなのに野球漫画はあまり読まない。どうしても嘘臭く作りもの感が拭えない。そんな自分でもこの作品は満足出来るほど、理論と実践のバランスが良く作りこまれていた作品だと思います。主人公がプレイヤーではなく監督の異色作品なのですが、それだからこそ理論・戦略・戦術・頭脳戦要素が非常に多いです。

それでも心理戦漫画にありがちな誰かが最初から全てを読み切っていたとかになる訳じゃなく、予想外の展開が起こり、その度に策を練り直す作業をするのでリアル感があがりましたね。采配の要素があっても、それが全てじゃない力勝負に委ねる限界も描かれており、野球の奥深さが描けていたと思います。試合のパターンも多彩で大量先制してから、追い上げられて最後はヒヤヒヤとか他スポーツ漫画じゃ滅多に見られないものがあったりします。

試合以外にも理論的な練習、学校人物の周辺関連の話も面白く、高校野球の表層じゃないシビアな舞台裏を描きながら、バランス良く話が進んだと思います。主人公のポッポ監督がダントツでキャラが立っていましたが、他キャラも派手さはありませんが、個性はあったと思います。浦沢直樹氏に兄弟弟子らしく、作風や絵が良く似ていますが、画力もあり作品が必要以上に汗臭い感じにはならないで個人的には良かったです。ただこういう漫画の仕方ないところですが、全国大会行ってからは因縁・伏線などに乏しく、会場から動かずにゲストキャラと連戦状態になったので熱量が落ちたかなという感じはありました。ただそこでしか描けないものだってたくさんあったのでよく粘ったとは思います。

全44巻と非常に長いですが読み応えがあり、面白さも安定して綺麗に完結した珍しい長編漫画です。野球・心理戦漫画として最高峰の面白さがあります。ただ野球ルールくらいは一応は知っていて、観戦出来るくらいの最低知識は必要でしょうね。それくらいの知識があれば、物語を楽しみつつ野球通レベルまで引き上げてくれるかと。個人的にはもっと有名になっていても良いのではと思うほどの近年漫画の名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-05-30 13:22:29] [修正:2015-06-13 19:15:32] [このレビューのURL]

9点 CLAYMORE

同作者の「エンジェル伝説」時代より画力は連載中格段にあがって行きながら、独自のファンタジー世界観に合致しています。あの当時からのシリアス面でのグッと来る描写、熱い描写はこっちでも健在で、ダークファンタジーの中希望の灯を感じる根は王道という素晴らしい作品です。バトル漫画でもありますが、迫力があって描き込みが多いのに見やすいのも助かります。ストーリーの最初は「評判ほどか?」という感じですが、テレサ編衝撃の結末から一変します。そこから出発したと言って良いほどで魅力的な仲間達、話の広がり、随所になされる豊富な伏線の回収など目が離せませんでした。少しはダレかけましたが一気読みだと大丈夫なレベルでした。これだけ過酷かつ色々あっても、終盤が秀逸展開(主人公以外がラスボスを倒すのに喜びを感じる意味でも凄い)かつ大団円なのも読後感が良かったです。連載がとても長かったですが(13年程度はやや長すぎ感はあるが)絵はスタミナ切れしない、話も綺麗に纏まるという意味で少ない作品です。ここでの評価が高いのにも納得で自分もまた一票を投じたい名作だと思います。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-03-13 05:01:26] [修正:2015-03-13 05:01:26] [このレビューのURL]

平安時代を舞台に探偵ものとして菅原道真と在原業平をコンビに据えた作品。史実でもこの二人が親友だったというのはこの作品で知ったところで驚きました。無愛想で頭がキレる道真とチョイ悪渋いオヤジとして描かれる業平の掛け合いが楽しい。時代考証の専門家が付いているので、リアルな雰囲気が良く出ているところも長所。絵柄はあまり好みではないが画力の高さも感じます。ただ一つ一つの事件がこの時代の限界という部分もあって、毎回人を犯人とするとどうしても地味になってしまっているのは残念な部分。だからこそ2巻で藤原摂関家との権力闘争要素も加えようとして来ていますが、史実でも分かる通りに敗れて終わってしまう部分なので扱いの難しさをどう乗り切るのか今後に注目したいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2014-12-14 16:18:24] [修正:2014-12-14 16:18:24] [このレビューのURL]

フランス革命を扱った現在でも唯一の長編名作漫画
少女漫画らしく恋愛の分量は多いながら(ちょく
ちょく恋愛パートに行く)、この作品の凄さは
歴史漫画としての要素が傑出して、この時代を扱う漫画
として唯一のものと言えるからではないか。
読み易さ、わかり易さ、詳しさ、史実としての公平さ(マリー・
アントワネットが主人公格だから美化要素はあるにしても、
彼女の非難されるべき部分もちゃんと描いている等)がありつつ、主人公のオスカルら架空人物を絡めながらの娯楽性も
しっかりしていて、悪い歴史漫画にありがちな事実並べてる
だけには決してなっていないのが大したものかと。
フランス革命を学ぶだけではなく、イメージ
し肉付け出来る漫画ならではの素晴らしさは普遍
だと思います。

絵柄も少女漫画的なものながら画力は高く、個人的には癖が少なかったですね。オスカル、マリー・アントワネットらは普通に美しく思えますし。フランス革命時代と思えばイメージにも
一致するのも有利な点でしょう。欠点を感じたのはアクションシーン、合戦の迫力が足りずにそこが盛り上がらない点でしょうか。そこは時代を感じた部分です(当時の画力水準はあるでしょうが)。あとは恋愛パートで詩のようにしつこく耽美部分があり、そこは食傷してしまいました。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2014-03-16 05:39:40] [修正:2014-03-16 05:39:40] [このレビューのURL]

美少女(とても人間じゃない外見だが)ドクターがブラックジャックと笑うセールスマンと藤子SF短編のブラックな話
などの要素を感じる一話完結物語です。要素は一杯入ってるが
こんな作品見ないなという逆の目新しさがありました。

画力は高いですし、グロ演出は凄いですし(人に
よっては欠点かも)、毎回話の質が高く風刺が効いたオチは
唸るものが多かったです。結構真面目にSF医療漫画を
やっていて、薀蓄解説や手術シーンは盛り上がります。

全8巻で多分打ち切りな感じですが話はまとめていますし、
仮面ライダーを風刺したネタがやたら続いた辺り潮時
だったかなとは感じました。結果的に面白さが最初から最後まで
続いた近年の隠れた良作かと。表紙が完全に詐欺なのであれだけ
はなんとかして欲しいところでしたね。読んでない人でグロ
も大丈夫だと自認する人は是非読んで欲しい作品です。
表紙裏の絵が作品を象徴する雰囲気だったり、後日談を語る
おまけ漫画がついていたり細かいところにもニヤリとできました。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-02-10 06:31:50] [修正:2013-02-10 06:31:50] [このレビューのURL]

美術品を扱うブラックジャックと言われるとなるほど
って思う作品。でも話の質は高く30巻超えるのに
飽きずに読めて面白さは本家にも劣らないと思います。
薀蓄は勉強になりますし、変にガチガチ説明しないで要点
だけ言うのも良いですね。

個人的にキャラがもっと丸いこと(ヒロインは
こっちの方がずっとかわいい)、不条理な話が少ない
(バットエンドはありますが妥当な結果)という点で本家
より好きですね。

最後のエピソードがオチ含めてちょっと暗かったこと、
画力はあるのに絵が明らかに雑になる場面が目立つことが減点ポイントでしょうか。

漫画賞を獲得した作品だけあってそれに見合った名作だと思います。連載は随分前ですが美術薀蓄やバブル後の不景気な世相
とか未だに風化していない点も読みやすいかと。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2013-01-19 16:26:40] [修正:2013-01-19 16:26:40] [このレビューのURL]

推理要素は少ないですし、「地道は近道なり」という作中
の言葉通りに地道な探偵活動(違法行為
もやってますが、実際にやってる探偵もいる
でしょうし)に終始する探偵漫画です。

だから派手さはないですが、そこは主人公変人貧乏
探偵妻木をはじめ
キャラの個性で補っています。
ギャグ(犯人の顔には吹くのが多い)や掛け合いが面白く、
ゆるりとした独特の世界観を作っている
ので読んで行く度に愛着が持てる作品です。
実は最初は妻木のキャラに引いたんですが、読んでいくと好き
なキャラになりましたし。

派手さがない事件群ですが多様性はあるのと話作りは上手いので
次の事件はどう来るのだろうと飽きさせません。
探偵業の薀蓄知識についても作者がちゃんと調べていて、挿入
して来るので勉強になったりもします。

助手で妻木に好意を寄せるヒロイン涼子さんが最初から最後
まで可愛いですし、彼女とのラブコメが筆休め的に
入って進展して行くのも
良かったですね。濁さずこっちもオチが綺麗につきました。

全15巻でダラダラせずに、最後に関しては本当に綺麗に纏まって読後感が非常に良い漫画でした(実質ラスト事件の後日談と軽い
事件を同時やる辺りがにくいです)。
画力も基本的にある方だと思います。

気になったところとして途中の巻でちょっと絵が雑になって
いました。作者が体が丈夫じゃないとあとがきに書いてた
通りに、絵柄も変遷して安定しなくてそれが透けて見えるような感じはちょっと嫌でしたが。
しかし、総じて隠れた良作漫画だと思いますし、面白い漫画探してて読んでない人には是非読んで欲しいと思います。



ナイスレビュー: 2

[投稿:2012-11-03 14:30:31] [修正:2012-11-03 14:31:58] [このレビューのURL]

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