「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

三国志の方が原作が演義なだけに史実要素が薄いのに対して、秦滅亡から漢樹立まで描いた本作は史実重視、長さも短か過ぎず、長すぎず20巻程度で綺麗に終わっているという点でこちらの方が完成度が高いと思います。横山漫画特徴のやや淡々としている雰囲気、キャラの描き分けの甘さという欠点はあるにせよ、情報量やテンポが良い流れの持って行き方は素晴らしいです。ある程度項羽と劉邦には予備知識があったのですが、それでも勉強になる箇所がたくさんありました。同じ題材を扱った熱い漫画である「赤龍王」とすべての点で対照的なので両方読んだ方が良いかと思います。どちらか1つならば両方読んだ今となっては情報量でこちらを推したいです。項羽と劉邦の両雄だけではなく周辺人物の活躍描写が全然違うレベルですから。劉邦のその後(赤龍王はラスト1ページで示唆はしている)は描いていませんが、後日談的な同じ横山作品の「史記」も読んでみたいと思うほどの作品だったです。

ナイスレビュー: 3

[投稿:2014-11-05 01:47:11] [修正:2014-11-05 01:47:11] [このレビューのURL]

ラーメン発見伝の続編であり、舞台を主人公を代えた作品。発見伝のライバル芹沢を上司にすることで前作の経営面での話が
より重視されています。相変わらず芹沢のキャラが素晴らしい。名言は前作以上に深いと思いました。前作では古典的ラーメンを馬鹿にする描写もありましたが、今作ではそこへの評価を改めて(リアルタイムで復活があったようなので)温故知新というメッセージ性を発しているなど現時点での最新情勢にアップデートされています。前作のやや「美味しんぼ」と被る部分を脱却して完全に独自の漫画になっているのではないかと。
ただ主人公ゆとりのキャラが藤本に比べると遺伝才能(親が料理有名人)変人という感じでなかなか好感が持てる要素がなかったのが残念。連載中は面白く感じにくかったのも今思えばその辺が原因かなと。一気読みだと後半の成長を感じる部分に感心したりもしたのですが(性格も常識を身につけて行って突っ込み役になることも増える)。あと女性キャラの顔の描き分けが出来ていないのは前作から引き継ぎ欠点ですが、主人公が女性なので余計気になってしまいました。途中から顔が奇形めいたシーンになる箇所(多分雑に描いた)がありそこも気になりましたし。
連載中はチラ見くらいだったのですが完結後一気読みして面白み
を十分に感じました。全11巻で前作より少ない巻ですが綺麗に話を纏めています。本作をもって発見伝は完結と言っても良いと思います(実際ラストだけは発見伝と繋げてさらりと感動させるので)。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-10-18 03:40:18] [修正:2014-10-18 03:40:18] [このレビューのURL]

長期連載が終わった今だからこそ魅力があるSF伝奇バトル漫画。「クロノクルセイド」よりも世界観の作り込みはかなりあがっていると思います。膨大な伏線をやや複雑になりながらもほぼ回収されました。魅力に乏しい主人公、相変わらず随所に臭さが過剰な描写がありますが。画力・画風は相変わらず素晴らしいです。ヒロインも良ツンデレですし。総合的には前作を超えた名作だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-10-03 10:59:49] [修正:2014-10-03 10:59:49] [このレビューのURL]

前にレビューしてくれている方がほぼ纏めてくれている状態ですが、それで作品を知り全巻読んで楽しめたのでまず感謝したいです。一編完結の各地冒険話と世界規模の大きなストーリー、ギャグとシリアス両方のバランスが良くて素晴らしいです。絵柄が古いのにあまり感じずに親しみやすいこと(女傑主人公モカは作中美少女扱いされませんが絵的にかなり可愛い)も特徴ですね。話も画力も最初からどんどん向上して最後にピークを迎える現在でも珍しい漫画かと。全17巻(読み切り作者短編飛ばせばもっと短い)と中だるみ的なのはほぼ有りません。第一部完的な終わり方ですがここでも区切りが出来ているのでここからもし劣化しても「ここで読むのやめたら(続きはないものとしても)大丈夫」と言いやすいのも利点。同誌掲載の「マップス」は知っていてもこの作品は知らなかったのですが、良い意味で似たような作品でした。続編以降も是非読んでみようと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-08-29 13:19:30] [修正:2014-08-29 13:19:30] [このレビューのURL]

8点 JIN -仁-

タイムスリップ幕末医療漫画。
歴史漫画としての側面は幕末は他の漫画でも扱っているわけですが、この漫画の素晴らしさは偉人中心にならずに当時の風俗を医療の観点から詳しく解説しているところですね。ここはこの漫画だけってほどに勉強になります。あと手術シーンと監修が複数いる解説がこの漫画は分かり易く、見やすいです(今まで見た医療漫画では一番)。手術シーンが連発ですが当時の人々が苦しんだバリエーション豊かな題材をとりあげているところにも評価点かと。ダラダラと行かずに全20巻という適度な長さで幕末をちゃんと描き切って話を畳んだところも良いですね。
欠点は結末含めてSF漫画としてはかなり強引だったと思います。タイムスリップ原理は謎ですし、ラストの主人公についても解釈が別れるのではというくらい難解です。あと坂本龍馬が主人公の他漫画に出てくる良くいる悪友ポジで、「おーい竜馬」を読んでしまっているだけに魅力ないなあと思ってしまいました。総じて話が面白く読んでタメになるレベルの高い漫画だったのは間違いないです。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-08-20 07:02:48] [修正:2014-08-23 05:51:03] [このレビューのURL]

8点 石の花

[ネタバレあり]

現在においても題材になっていない第二次世界大戦の旧ユーゴスラビアでの顛末を漫画として描いた話。史実を基にしてキャラに魅力があり、先に気になる群像劇的な体裁をとっており、強制収容所の中までしっかり描かれている辺りは凄いです。複雑なこの地方で行った内部紛争を誘発させるナチスのしたたかさ、台頭を産んだ要因などをしっかり解説されており勉強になりました。その辺のゴタゴタや収容所での顛末などで人間の醜さを描いており、絶望と闘いながら、ひたすら生きようとする登場人物達への感情移入度は高まります。ただ最後は多分打ち切りだったのかもなというほど、急に勝ってしまい、勝ったという実感ないまま後日談を纏めて終わったかな感があります(金塊持った爺さんなんか未消化も良いところでしたし)。最終話で後味の悪い勝利を描いてましたが、勝利自体の実感が薄かったのは戦争ものとしてはどうだったかなと(戦いは負けてばかりの印象しかない)。
『アドルフに告ぐ』とは似た雰囲気の作品と言えばそうですが、あちらがヒトラーがユダヤ人という明らかにおかしいオチやラストシーンはこちらが感動や美しさがあっただけに、総合的には良かったかなと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2014-05-28 05:12:13] [修正:2014-05-28 05:12:13] [このレビューのURL]

障害者はじめ不自由な少女達を人体改造してテロリスト集団と戦うイタリアでの話。と書くと暗い上にバトルだらけと思われますが、独自の世界観で人間ドラマを群像劇的に描く話が中心になります。それが序盤は淡々としていて、悪く言うと何をやろうとしているのか分からない状態。それが完全に中盤くらい(人物紹介がキャラごとに冒頭に書かれる巻数くらいから)からキャラが立ち、世界観が深まり、それぞれの目的が見えて来て、全体の描写に巧みさが出て化けて来ます。
そこからは勢いが落ちないで綺麗に終わったのが素晴らしいです。序盤も無駄じゃなく終盤への様々な伏線になっていることも判明します。画力も同様に序盤は拙いがどんどん向上して美麗になり、ドンパチの少なさも終盤の戦いでしっかり補完。現実イタリアの南北問題など情勢も終盤になると勉強になってしまうというのは大したものかと。総合的には名作クラスだと思います。

ただ問題は序盤の一話完結的な淡々話ですね。それも異国情緒は出せているので辛うじて自分は切らなかったですが。そして
終盤に繋げる伏線のようなものなので、二度目読みすると相当違うのではという意味では構成がしっかりしているかと。序盤でこりゃ無理だと感じた人でもその後に期待して我慢して良い作品だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-04-04 17:59:49] [修正:2014-04-05 11:50:05] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

前作からと内容面は一緒。面白さの質は出来不出来が多少振り幅
が増した感じ。でも面白い話は業界の核心にシリーズ頂点で突っ込んで行く部分があり前作以上でした。前作からシリーズ通して藤田先生絡みの話はあんまり面白くなかったと思います。後述の傑作選でもほとんど除かれていてその通りだなと(からくりサーカスを知っていてもでしたから、知らない人にとっては余計にでしょうね)。

前作シリーズから見ている人にとって、前作最終話で死亡したかのようで、後味悪そうなヒーローというキャラのその後がちゃんと描かれているのは救いでした。ただ、今作最終回でそれまで否定して来たパクり行為を肯定することを編集から言い含められて、格好悪い炎尾燃で終わるのがなんか違うなあと思っていたら(話自体はそこそこ面白いが)、連載を止められた事情を含めて後に出版された傑作選で真最終回があり、そっちの方が相応しい出来かつ格好良い炎尾ですっきり終わるので納得でした。差し替えの事情も漫画で描かれていて、漫画界の業界の厳しさが本当に理解出来ます。値が張りますが傑作選まで含めての評価で長期渡って、それなりに安定して面白く、まずまず綺麗に終わった良シリーズだったと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-03-20 09:28:22] [修正:2014-03-20 09:33:24] [このレビューのURL]

古い漫画ですがかなり面白くて驚きました。
一話完結の漫画家漫画なんですが、完全にこれは出る漫画間違えてるだろキャラ揃いの良い意味で昭和の熱血モノ。
絵柄もそんな感じなので一々笑えてしまう。笑わせようとして
いないシーンでも所謂シリアスなギャグになっています。

かといって現在にも通じるであろう漫画家の仕事ぶりや真実、主人公炎に代弁させる作者なりのメッセージについては本気で描かれているのが凄いですね。絵柄の古さは別に画力は相当高いかと。この作品は一巻で完結ですが、ここから新シリーズに移行して長編になったのも納得です。引き続き読んで行きたいと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-03-15 05:06:09] [修正:2014-03-15 06:51:17] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

序盤は中年主人公黒沢の悲哀を描いたあるあるネタギャグ漫画
でたまに滑りながらもまあ面白いくらいでした。
しかし、それ以降対不良のバトル漫画になってからは盛り
あがって来て、テンポ良く一気に読めました。

ただのバトル漫画じゃなく、強さのみならず
弱さを持った主人公(肉体的にも精神的にも。これがバランスが良いです)、随所に繰り出されるギャンブル漫画でも評価される福本節が相まって、独自の
世界観が出せていたと思います。絵柄はかなり癖あれど画力
自体はある方なんじゃないでしょうか。ただ女性の顔の描き方
は下手だなとは思いますが。

終盤はそのメッセージ性に感動すら覚えました。ただ黒沢が
感動的ながら死亡するというのがこれもまた衝撃的かつ綺麗に
終わったと思ったのに、実は生きてましたで最近続編が始まったのは蛇足感が否めないかと。本作だけ読んでいれば知らないで済む事情なので自分の中ではこれで綺麗に終わったと思って
おきます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2014-03-06 23:14:24] [修正:2014-03-06 23:14:24] [このレビューのURL]

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