「gundam22v」さんのページ

総レビュー数: 644レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年12月06日

漫画家になるまでの作者実録漫画は他にもありますが、かなり底辺に位置する独自性、葛藤など心理描写、同じ底辺の周囲に対するシニカルな分析と意外な作者のバイタリティとか見るべきものがある作品。下手にもみえる絵ですが表現力と読みやすさはあります。

笑いの要素がほとんどないのが残念ですが、上記のバイタリティでなんとか欝作品にはならないギリギリのラインを保っています。奥さんとの関係は現実だからこその驚きがありました。あれだけ振り回されストーカー扱いされ、何度も関係切れたかなの繰り返しや危機があったのに最後は落ち着くことが出来たことは事実は小説より奇に近いものがあります。

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[投稿:2016-04-23 02:21:46] [修正:2016-04-23 02:21:46] [このレビューのURL]

「マンガで分かる心療内科」の心理学部分に焦点当てた学園版的な作風。作者が専門家ではないのですが、よく勉強している感じで、心理学ウンチクにギャグを絡めて面白かったです。絵がやや雑なシーンが散見しますが、この作風なら許容は出来ます。サブキャラが増えて、ノリが良くなり、人情的な話も入ったりして、さらに面白くなって来たところで終わったのが残念でしたね。あと数巻は続いて欲しかったです。あとがきで作者が再開への未練から最終話という表記をしなかったところに続編への期待を持ちたいと思います。

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[投稿:2016-04-15 21:13:01] [修正:2016-04-15 21:13:01] [このレビューのURL]

頭モジャ女子高生(このモジャは強いて必要な設定だったのか。癖ある絵だが可愛いルックスが描ける作者なのに、人気的にこれでさらに狭めてしまった感じ)の探偵漫画。本当に一話完結物語をほぼ徹底しながら、週刊連載で日常の謎から警察と協力するような事件、感動からブラックな話まで様々な話を提供したのは大したものだと思います。隠れた名作と考える「フランケンふらん」の作者だけに独特の上手さがある作品です。他の探偵漫画と違い現実的な調査に重点を置いて、最近の作品らしくネットやSNSをフル活用しているところが特徴がありました(金田一、コナン的な正統派作品風探偵キャラを皮肉る話がそれを示唆している。この話は特に印象に残った)。欠点としては強引に一話に押し込んでしまった感じの説明的な感の話も散見すること、大筋としての宿敵メカニック事件があまり盛り上がらず駆け足で終わったところです。全体としては様々な面白いネタを扱う一話完結良作だったと思います。

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[投稿:2016-03-26 03:12:22] [修正:2016-03-26 03:12:22] [このレビューのURL]

タイトル通りの出オチと言えば出オチなんですけど、最初の衝撃は凄いです。吃音をテーマにしていますが、作者自身の体験もあり、かなり現実感のある描写で勉強になりました。強引に治さなければという方向ではなく、それも自分だから向き合いながら生きていこうというオチも良かったです。普遍的な改善が困難な短所全体に当て嵌めたいという作者の意図も的確でした(本編だけでなくあとがきに感銘を受けたので是非読んで欲しいほど)。

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[投稿:2016-02-25 03:09:11] [修正:2016-02-25 03:09:11] [このレビューのURL]

ネット上でもポツポツ宣伝されていて、絵柄はかわいいながらも丁寧。一話完結で読みやすく、魅力あるヒロイン高木さんとのやりとりが楽しめる作品。第一印象はかなり面白いと思いましたが、それだけに終始していますし、3巻にしてもうマンネリ感も出つつあります。話をそろそろ畳むか、何らかの手段で展開を変えるか分岐点にあるのではと思います。

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[投稿:2016-02-23 00:11:28] [修正:2016-02-23 00:11:28] [このレビューのURL]

「ピコピコ少年」シリーズが面白かった人にはこの作品も薦められると思います。ゲームネタ関係ない押切先生の売れない漫画家時代の話で絵柄が今と違い粗く、ゲームで発散していた爽快感はほぼありませんが、味がありセンスの感じる自虐エッセイです。俺クオリティ(突然不幸が降ってくる)の連続にはときに笑ってしまいました。これ単体でいきなり読むのには向いていませんから、まずはピコピコ少年を読んで相性を確認した方が良いかもしれません。

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[投稿:2016-02-12 20:21:11] [修正:2016-02-12 20:29:52] [このレビューのURL]

漫画やアニメとして記号化されてないリアルな意味でのケンガイと称される変わり者ヒロインとの恋愛話(主人公が振り向かせるための奮闘話)を描く作品。他の漫画じゃそうそう見れないリアルな意味で変人なヒロインとの関係(主人公同様に突き放されたり、理解出来なかったらショックを受け、気分屋的に喜んでたり懐いて来た時のヒロインには可愛さを感じてしまう不思議さ)、この手の話じゃ珍しく相当な底辺(フリーター同士)であること(派生して周辺の人間関係も面白い)、古典含めた映画趣味で唯一繋がっている状態など独自の面白みがある作品であったかと。残念なのが3巻で心の面じゃヒロインがやっと心開き始めたかな(一応交際は始まるが)という部分や過去に色々あったっぽいのですが、匂わせるだけで掘り下げないで終了してしまったところですかね(打ち切り?)。
続きが読みたかったと思わせるところでは異色の良作でしたが残念な部分でした。

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[投稿:2016-02-10 20:04:32] [修正:2016-02-10 20:04:32] [このレビューのURL]

売れない漫画家が福島原発作業員となり体験談を描いた作品。取材じゃなく実際現場で見てきたことを漫画という媒体でイメージして読めるのは助かります。素人が無理に漫画を書いて伝えようとしている訳ではなく、漫画家ですから技量が伴っています。2012年から2014年までの労働記ですから時事的にも今読んでおいた方が良いでしょうね。読み物としてはそこにはいつもの日常があり、普通の職場である的な作風は、暗い感じがなく前向きなのも助かります(下記のような問題点も孕むが)。

ただ、どうしても作者の一見聞に過ぎないとしても、主張が強くて福島や作業員への間違った偏見(作中でも触れているデマ。他作品の旅行で鼻血なども思い出した)を払拭したいという意図は賛同出来ますが、それを超えて長期滞在・従事など不透明部分を受け入れるかどうかの自己責任には触れず、大丈夫だから放っておいてくれ的なものを出してしまっていることは好意的には見れなかったです。これは一方で作者が批判する偏った主張をする人間と対極的かつ等価な人達のプロパガンダ的なものになり得るものです(実際作者のインタービューを最も紹介しているのがそんな雑誌や団体の方が多い。ちなみに福島在住子供の甲状腺がんの増加については、作者は個人の感想と前置かず、デマだと決めつけていますが、専門家の議論の分かれている論点なので、決めつけの点で逆向きのデマです)。

一方で作品では多重下請け構造の大変さとか、印鑑が作られてどうなってるか分からなかったり、待機が多かったり呼び出しが急だったりとか、放射能の影響も個人の体験談で危険地域で窓を開けても今は平気としているだけ(将来を考慮した放射能への意識が低いと思う)、上から変なこと言うなよとモーニングに忠告圧力があってそのせいか次の仕事がなくて1年半も待たされたこと(仕事に従事するにつれ作者の意見転向が怖いと思われる)、そして個々の労働の大変さも描写してるし、その割に給与が少ない(通算被爆量で短期しか働けず、待機日は5000円のみ)とか不利に読めてしまう現実も隠さず見聞を描いています。一貫してほぼ明るいノリですが読む人にはその辺の不安や闇も伝わってしまう。本作での漫画とインタビューで稼ぐお金があり(中古とはいえ車が買える)、50歳前後で実家暮らしと生活にゆとりがある作者としては、そこを苦しさを感じずに済んだという事情はあるのでしょうが。

個人的には衝撃でした。少なくとも通算100ミリシーベルトを超えれば発ガンリスクが向上するのが通説で命を賭けて働く訳で。十分な金銭面は保証されていると思いましたから。ここは作者の言う他の仕事と同じという言い方は同業者にも失礼な卑下ではないのか。むしろ違いを認め尊重されなければならない。個人的にこういう所にこそ国が優先的に補助するべきで「細部をみれば十分進んでる。放っておいてくれ」ではなく、作業員や帰還待機者への更なる除染のためにも言われなきゃいけないかと。上記のような過酷な環境にあることは間違いなく、漫画には描いてないがさらに上限を来年から緊急時という留保を付けつつ、累計250ミリシーベルと大幅に引き上げられ、上記状況で誘導的にそうなってしまう。作者はそれでも国が言うからには大丈夫、労働者はもっと働ける(現状圧倒的多数が実際もっと働かないといけない収入状況)と安易に肯定するのでしょうか。労働災害に関しても、因果関係の証明はかなり緩くして、たった年5ミリシーベルトで労働者救済として認定されているほど、国ですら暗示的に危険性を認めているような仕事です。

時事的かつとても興味では覗けないテーマを描いたものとして意義がある漫画ですが、作者の主張をあくまで「現在の生活に余裕があり、健康にも問題がない人間(こう書くと嫌味になるが作中作者の溢れるバイタリティ、やはり現地に行って誰かがしなければならない職に従事していること、読んでて感動すら覚えたボランティアに通うなどの人間性には敬意を感じる)」の一意見として捉えながら注意して読むことが大切になると思います。

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[投稿:2015-11-16 19:44:30] [修正:2015-11-29 02:32:58] [このレビューのURL]

高校なんでも事件解決部漫画。こんな設定はよくある中で本作は現実的なラインを意識しています。かといってそれじゃ漫画として面白みがないので、変わり者な特技あるキャラ達が出てくるのですが、それも非現実感を出しすぎないギリギリの塩梅が逆に独特。基本1話完結でちょっとした事件を解決して行く運びです(作者がトイレのお供にと言っているような軽く読める作品)。派手さはないのですが、ときにセンスを見せる青春回顧的な空気感が上手かったです。

なによりキャラの魅力があるので楽しく読めました。この部活楽しそうだなと思いましたし。絵も最初は等身バランス、顔の輪郭など粗かったですが、次第に向上して可愛げがある良い意味でアフターヌーン的な作品になったかと。軽い作品の欠点故に(欲言えばもう少し事件が捻れれば良かった)4巻で打ち切りだと思いますが、「振らなきゃ当たらない。まず振っていけ」的なテーマを語り切った作品だと思います。ただいきなり10年後くらいに飛んでラストの各キャラエピローグが唐突に見えたのは残念でした。学年あがるくらいで区切って良かったのではないか(最終巻表紙の感じ)と思います。作者が初連載だったようなので次回作があれば期待したいです。

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[投稿:2015-10-16 22:00:41] [修正:2015-10-16 22:00:41] [このレビューのURL]

水木絵に酷似した絵柄で有名文学作品を10ページ前後で扱う作品。コンセプトが面白くそれを及第点で実現出来ていると思います。中には無理がある作品もありますが、要約も全体的に上手くまとめていますし(未読の人がしったかぶれる程度)、作品末での作者の横顔的な似顔絵と解説も勉強になりました。本作を読んだ後で作品の論評や詳しい概要をネットで調べて、その作品の凄さや深みを知ることも多く、そういう契機(動機)になるだけのクオリティがあったかなと。まだまだ有名文学はあるので続編に期待します。

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[投稿:2015-10-04 07:04:38] [修正:2015-10-04 07:04:38] [このレビューのURL]

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