「朔太」さんのページ

手塚と同世代だが、6歳年下でわずかに遅れてデビュー。
世に横山光輝の名を覚えせしめたのは、いわずとしれた
鉄人28号だが、残念ながらそれを目にしたのは漫画では
なく、TVアニメだったというのが多くの子供だったはず
である。「敵に渡すな、大事なリモコン。」という
フレーズは、浦沢直樹の名作「20世紀少年」にも引用され、
大きな影響を与えている。

伊賀の影丸は、その5年後、少年サンデーの看板タイトル
として連載されるやいなや、新時代のマンガとして世に
受け入れられる。それ以前は、手塚や藤子、石森らの
漫画創生期からの脱皮の時代であった。

そこに登場した横山光輝は、絵は上手いし、登場人物に
エッジは効いているし、忍者といういわば超能力者の
走りである役者を揃えて、完全なストーリを携えてきた。

今でこそバトル形式の勝ち上がり戦を描く漫画などは、
掃いて捨てるほどあるし、何かのパクリと言われる始末
だが、伊賀の影丸では、例えば伊賀忍群vs甲賀七人衆
といった形式で、複数対複数の争いだが、個々の戦い
ごとに駒取りを仕掛けていく対決方法を設定した。
これは伊賀の影丸以前には前例がない。
(鉄腕アトムにも一部同じ仕掛けがあるが、わずかに
後ではないか)

忍術合戦は、いつの時代も子供をわくわくさせ、鍛錬
さえ怠らなければ、いつか自分にも可能性があるのでは
ないかと夢を見させる。その系譜はNARUTOにも引き継が
れており、現代のメガヒットに繋がったと解釈できる。

伊賀の影丸は、20世紀少年の記憶にいつまでも残り
続ける遺産の一つである。

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[投稿:2016-08-18 09:59:04] [修正:2016-08-18 09:59:04]

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