「朔太」さんのページ

高い評価の作品でしたので、いつか読みたいと思っていましたが、
ようやくその機会を得ました。
今や、藤田和日郎氏の本作品は、レジェンドとなったような気がします。
ここでのレビューも高い評価を得ています。

壮大なスケールの妖合戦や時間の往来で、四次元の深みを出しています。
ベースになっているのは、主人公うしおの絶対的な人間愛で、
軸がぶれません。
愚直で真っすぐな思いと行動で、あらゆる人間、妖までも、心が
溶かされてしまいます。
とらは、対極にあって、悪行の権化ではありましたが、
うしおとの出会いにより、やはり心が溶かされていきます。
そのプロセスが好評を博したのでしょう。

特に、最終巻近くになりますと、白面の者というラスボス、
最強の敵との決戦への期待が膨らんできます。
秒読みが始まりますが、最後はまだまだやって来てほしくないと
いう気にすらなります。大作にふさわしい大団円でした。

しかし、私は個人的にはちょっと合わない点を感じましたので、
マイナス4点をつけています。
一つは、うしおの真っすぐな愚直さは、説得力に欠けることですね。
大局感に立つと、目の前の小さな犠牲はやむなしとなるのですが、
そこは選択できないうしおに、ちょっとイラついてしまいます。
ヒーローの正義というのは、そういうものなんでしょうが、
調子良く事態が好転するのは納得できません。

もう一つは、普段は絵の下手な作品もたいてい受け入れる私ですが、
藤田氏の絵はところどころで、理解不能になるので、好きになれません。
また、女性の書き分けができておらず、ザンバラ髪の女性が多いので、
ヒロイン達をちっとも美しく感じないのです。
私だけでしょうか?
この辺りは、個人的好みかもしれませんが。
全巻読破しました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-06-27 07:05:29] [修正:2021-06-27 07:05:29]

月別のレビュー表示