「朔太」さんのページ

6点 銀魂

作品の魅力を一言で言えば、高等な漫才的な会話とアクションの応酬。
ボケた行動に対して、高度な突っ込みが返される。
単発で終わらず、サーブ、リターン、リターン、スマッシュ。
決定的なのは、サプライズを伴った突っ込みに特徴がある。
笑いのツボを心得ている。
売れない芸人は、この本で笑いを研究すべきである。
まさに、お笑い芸人のバイブル、教科書になり得る。

しかし、私の評価は低い。
上記の笑いは、何でもない日常の日々で生かされるのであって、
バトルの日々や戦いの中では笑えない。
真剣なバトルとお笑いは、共存できない。
多くのファンが10巻を越えた辺りで、つまらない作品と見切りをつけていく。
編集者も気付いているのに、無駄に77巻続けさせたのは、読者に対する
誠意ある姿勢と思えない。
これは、ジャンプ誌の他の作品でも指摘されることであるので、編集部は
とっくに気づいているはずだが、完結させない理由は他にあるのだろう。
読者カードの支持率が全てと信じられているが、実は別のしがらみ、
判断が介入しているのは明らかだ。

かくして、第二の手塚治虫、石ノ森章太郎や赤塚不二夫の誕生を阻害し、
人生でヒット作品がただの一作で終わり、一生その印税で暮らすことを
許容してしまう漫画家が生まれる。
才能が30代までに枯渇してしまう前に、適度な休憩を与えながら
中長期な視点で育成しようという出版社が皆無なのは、実に残念である。

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[投稿:2024-03-02 10:33:40] [修正:2024-03-02 10:33:40]

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