「朔太」さんのページ

毎号ひとつのテーマを捉えて、シニカルに世相なり人の
至らなさを笑い飛ばす久米田康治流のスタイルが、
後続の「さよなら絶望先生」と合わせて確立されました。
ギャグマンガとは言い難いほど、世の中を斜めから
眺める姿勢は、久米田以前にもあったように思いますが、
毎号徹底したパターン化は初めてではないでしょうか。
大いなるマンネリズムが、長期連載の中で、多くの
読者に支持されてきたことは立派でした。
レビューの中に「毎号しっかりとネタを作って
練りこんでくることに感心する。」と多くの声が
ありますが、本当にそう思います。

画が可愛いので、残虐性や偏屈さも薄められて許容される
有利さがあります。表紙絵は次第に簡素化されてきまし
たが、力作も多くファンも多いでしょう。

一方、26巻まで読み進めた私ですが、最後の最終話では
相当がっかりしました。ネタバレになるので詳細は控え
ますが、改蔵の大胆な行動力、発想、羽美の残虐性、
破壊癖(極端に孤独を嫌う割に協調の方法が分からない
癖のせいなのだが。可愛いから読者には悉く許容されて
きたはずだった・・)、地丹の卑屈な人間性、性癖は、
全て一つの個性として解釈し、全ての言動や行動は
読者に笑い飛ばされ許されてきたのに・・・。
あの最終話は、そんな改蔵、羽美、地丹を最後の最後で
否定してしまったように感じたのは私だけでしょうか?

まともだと思っている世の中も、ひょっとして狂気と
裏返しであったり、紙一重というギャグなのかもしれ
ませんが、笑えませんでした。
文字通り、画竜点睛を欠く、でしたね。

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[投稿:2016-09-01 19:02:17] [修正:2016-09-01 19:02:17]

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