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8点 マタギ

矢口高雄氏の代表作に「釣りキチ三平」があるが、主人公たちが釣りをして
いるにも関わらず、川の岩場で飛んだり跳ねたりする絵柄が不自然で好きになれなかった。
今となっては、それは少年向け作品だったから、喜怒哀楽の激しい少年を
描くための演出だったのかと思う。

今作品は、完全に大人を意識した作品である。
矢口氏の底辺にあるのは、自然に対する畏敬の念と人間との共存である。
その哲学には50年以上経っても共感を呼ぶ新鮮さがある。
また、重厚な東北のマタギ文化に対する造詣をベースに、技能伝承や文化に
根ざしたマタギの生態を描写している。
そんな文化財の記録漫画と思っていると、さらに自然界への人間の関わり方
への問題提議へと展開は進んでいく。

階層的な物語の構造において、作者の計算が感じられ、好印象だ。
名作と呼ぶにふさわしい。

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[投稿:2025-09-06 06:18:25] [修正:2025-09-06 06:18:25]

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