「朔太」さんのページ

総レビュー数: 818レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

四万十川には、ちょっとしたの思入れがあります。
小学生の頃、日本には清流が枯渇しているという学習をしますが、
唯一四万十川だけは住民の努力により、沈下橋などの古橋もそのまま
保存された稀有な地域という憧れが私の中に残りました。
つい2年前、その四万十川を訪れることができ、万感の思いで沈下橋を渡ってみました。
そのような清流の代表格である四万十川という表題に惹かれて読んでみました。

なるほど、アカメと越冬鮎に象徴される四万十川の自然に対する
人間の傍若無人ぶりの振舞いが理解できます。
青柳氏には一平のイメージが強いですが、こんなに優しい作品も描いておられるのですね。
啓蒙的な作品でした。

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[投稿:2024-09-11 08:32:55] [修正:2024-09-11 08:32:55] [このレビューのURL]

プロ野球の実在する賞の中でも、カムバック賞というものがあるくらい、
一度最前線から力を落とし、元の活躍をするのはとても大変です。
一度引退した選手がカムバックするのは、あり得ない現実です。
漫画ならではの絵空事ではありますが、なかなかに大人を堪能させる
リアリティがあり、一気に読ませてくれました。
柳沢きみお氏は多数の作品を世に出されていますが、本作品はその中で
ベスト1と私は思います。

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[投稿:2024-07-25 04:54:40] [修正:2024-07-25 04:54:40] [このレビューのURL]

原作は高校生の頃に読んでいて、夏休みの宿題であった読書感想文として
提出すると、なんと県大会応募されてしまったので驚いてしまいました。
しかし、実はその感想文は評論家の評論文を半分写し取った搾文だったので、
内心それがバレないか戦々恐々で、といって自白することもできず、
落選することを祈っていました。
これは、私の17歳の頃の小さな「人間失格」の始まりでした。

こんなことがあっても、自分の中の「人間失格」要素は懲りることもなく、
どんどん増幅していくのでした。
無自覚に存在する「人間失格」要素は、どこの誰にもあるのかないのか、
本人にしか判断できません。
無垢なる少女にすらそれは内面に蛇がとぐろを巻いて存在するのか、
確かめようもありません。
本当にそんな真実が明かされた時、それを知った時に、人は絶望して
死んでしまうのだろうか。
あるいは逆に人間失格と思った自分を許し、狂気の世間を渡っていく
覚悟ができていく瞬間なのかもしれません。

感受性豊かといえば美辞麗句過ぎて、虚弱で傷つきやすく自活力の
ない青年の自伝ではあるのですが、実は私の中の別人格の一つだったと
気づかされてしまいました。

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[投稿:2024-07-03 07:51:27] [修正:2024-07-03 07:51:27] [このレビューのURL]

最近、話題のまま最終話を迎えた作品です。
決して美男美女とは言えないカップルが主人公の漫画ですが、
意外と読めるので驚きました。
考えてみれば、世の中の大半のカップルは美男美女ではない訳で、
それでも恋は成立しているし、結婚生活にも入るわけです。
カップルがいれば、それぞれに異なる恋愛ストーリが存在することに
改めて気づかされます。

この作品をラブコメと言って良いのか、難しいところですが、
リアルさも同居しており決してギャグ漫画ではないと思います。
意表をついた良作だと思います。

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[投稿:2024-06-08 11:11:01] [修正:2024-06-08 11:11:01] [このレビューのURL]

土山しげる氏は、作家人生の前半をバイオレンス系極道漫画で名を馳せました。
しかし、2000年前後からはグルメ漫画に転身し、成功を収められています。
この「喧嘩ラーメン」は1995年に連載開始で、まさに極道ものと
グルメものが融合された作品になっております。
人生の転機になった作品と言えます。
逆に、グルメ漫画としてのデビュー作とも言えます。

ラーメンに焦点を絞って、しかもトンコツに絞って、道を究めるために
修行の旅に出かけるという展開になります。
今となっては、料理修行のために全国各地を旅する展開は珍しく
ありませんが、意外とページをめくる手が止まりません。
読み終えると、また別の作品に手が伸びる痛快さが、土山さんの作品にはありますね。

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[投稿:2024-06-01 09:02:08] [修正:2024-06-01 09:02:08] [このレビューのURL]

7点 鬼門街

第一巻の巻末に、本作の構想にイニシエーションに関する記述がある。
作者の幼馴染が、集団暴行事件によって、ある日突然亡くなる。
その理不尽さ、残酷さに対して、暴力事件への抑止力となる
漫画を描きたいと願ったそうである。
そういう意味では、この作品は空想、妄想とは呼べず、
ある意味においてリアルである。

安部元首相襲撃事件は悲惨であった。
加害者に対して「民主主義への挑戦で、この暴力には屈しない。」とか
口走る政治家のなんと想像力のないことか。
安部氏の政治信条には関係ないと報道されているにも関わらず、
コメントを求められたメディア関係者は一様に同じセリフを
口にするにつけ、こいつらは被害者である安部氏に何の同情も
していないことが分かった。
ましてや、加害者の背景に思いを馳せる人間は皆無であった。
事件の背景が明らかになるにつれて、加害者と加害者の母、兄妹に
対する世間、社会、特に旧統一教会の鬼のごとく仕打ちが
明らかになってきた。
この世に鬼がいる、というのは本当である。
餓鬼もいる。そんじょそこらに、うようよといる。

この作品に描写された世界は、まさにリアルな現実社会である。
先の安部氏襲撃事件の加害者にも、その鬼の存在が他の誰よりも見えていたのかもしれない。

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[投稿:2024-05-11 09:04:07] [修正:2024-05-11 09:04:07] [このレビューのURL]

学なく、力なく、才なく何ができる訳でもない一介の小さな青年が、
唯一探求心をもって旅をする。
いずれ仙人になることを望み、その道を突き詰める過程で、鬼女たちを娶る。

ファンタジーの要素を取り込みながら、青年向けのエロチックな
シーンをふんだんに盛り込んで、関心を繋いでいく。
小池・平野両氏の挑戦的で意欲的な作品と言える。

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[投稿:2024-04-27 08:53:56] [修正:2024-04-27 08:53:56] [このレビューのURL]

二つの家庭が同居して、ゲイでもない二人の男性が、協力、奮闘する展開です。
シングルファーザーの幼児育児は、「うさぎドロップ」他ありがちな設定です。
なぜ、2つの家庭が同居しているのかについての説明はなく、唐突に
物語が始まります。
余計な事情説明は省かれ、父親の作る料理に毎回焦点が合わされており、
潔さを感じます。
二人の父親は、まるでタイプの異なる男性ですが、互いを尊敬している
ので感じが良い付き合いができています。
男は、尊敬できる相手とだけ、良い関係が築ける生き物ですからね。

個人的には、運動会編が気に入っています。
子供にとって運動会は一生のトラウマになるか、安心して生きていける
糧になるかの分かれ目ですから。
総じて子育ての難しさ、親子の機微なんてものがリアルに表現できていて、
好感の持てる作品です。

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[投稿:2024-04-03 09:11:00] [修正:2024-04-03 09:11:00] [このレビューのURL]

小島剛夕氏の初期の作品を読んでみたくて、探し出して読んでみました。
初期と言っても40歳の作品です。
後年の作品に比べて、まだ絵が稚拙で女性美もなんだか荒いです。
とても白土三平氏の絵に似ており、忍者が主人公の作風もそっくり
なので、白土氏との関係を調べてみました。

小島氏が1928年生まれ、白土氏が1932年生まれで年上なのですが、
共に紙芝居作家から出発し、白土氏が漫画家デビューを先に果たして、
なんとそのアシスタントを担当されていたのです。
そのせいか下積みを長くした上で、39歳から商業誌での活躍となったようです。
その5年後に不出世の作品「子連れ狼」で第一線の作家となられたようです。
この時、既に44歳ですから、現代ではありえないくらい相当な遅咲きです。
生年月日が同じ手塚治虫氏とは対極的ですね。
2000年に71歳で亡くなりました。
また、2021年89歳まで生きた白土氏とも対極的でした。
小池一夫氏との出会いが小島氏の僥倖でした。
とはいえ、活躍時期は20数年と意外と短かったようです。
白土氏にそっくりなこの作品で、小島氏の隠された経歴が知ることができて良かったです。
(多分、ここまで関心を持って調査したのは、私だけでしょう)

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[投稿:2024-02-23 17:54:29] [修正:2024-02-23 17:54:29] [このレビューのURL]

出産に関して男はほとんど無頓着で、無神経です。
命がけで産むお母さんは立派です。
ですが、中絶で亡くなる新生児候補者たちは、
がんで亡くなる人よりも多いそうです。
男も女もHする前に、よく考えて欲しいなあ。

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[投稿:2023-12-23 11:43:17] [修正:2023-12-23 11:43:17] [このレビューのURL]

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