「朔太」さんのページ

総レビュー数: 742レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

ステレオタイプのイタイ若者像をモチーフにしています。
決してトンでも君でもないんで、普通に生きる若者と
共通するところも見え隠れしていて、読み手の投影と
しても感じられる部分が多いんです。

したがって、一見コミカルで痛々しい田中や仲間の
行動・生活も決して腹を抱えて笑えないですね。
「働かない勇気。」なんてスローガンも一見
馬鹿々々しいのですが、それを望む読み手もその
願望があることに気づかされる、なんてのは一つの例です。

前半は本当にさすらい旅に出て、結局何も獲得する
ものもなく失意のうちに帰郷する田中です。
ここまでは本当に痛々しい。
後半でナナコと出会い、普通の家庭生活を拒否しつつ、
あくまでも稼ぐこと、働くことを拒否しつつ、
女性との生活との間で揺れます。
その一方で、精神的にはやはり落ち着いてきて
安心して読み進めることができるようになってきます。

ギャグマンガのはずが、読者に痛みを与え続ける不思議な作品です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-12-08 06:13:36] [修正:2020-12-08 06:13:36] [このレビューのURL]

7点 屍鬼

藤崎竜は好きな漫画家の一人です。
独特の描画表現を持っています。
人物は、主要人物には可愛く大きい目を与えて、
脇役には一般描写で書き分けて、一様に少年誌風の
イラスト風です。
しかし、背景に目を凝らすと、実はとてもリアルな
写実画を全部ではないのですが、配しています。
これは相当な労力をかけているだろうと思われ、
藤崎一人では無理そうです。
写実描写の得意な優秀なアシスタントさんと藤崎の
協同作業が成しえた独特の描写と推察しています。

さて、本題の内容ですが、藤崎は原作物を借りて
漫画を描く方針を徹底しているようですね。
最初の封神演義で成功したからか、本人の意向か、
編集者の判断でしょうか。
本作の他に、封神演義、銀河英雄伝説もそうです。
原作の手を借りない作品もありますが、
どれも短期連載で終了していますので、
的を得た作戦でした。

しかし、本作品は、ホラー作品ですので恐怖が
下敷きにならねばならないはずです。
藤崎の可愛い描写はミスマッチの印象です。
もっと相応しい作家さんがいたのではないでしょうか。
頑張ったのですが、企画上の限界を感じざるを得ません。

藤崎竜ならではの世界観でもっと良い作品が出せるはずですので、
一層期待したいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-11-02 17:48:21] [修正:2020-11-02 17:48:21] [このレビューのURL]

ぐいぐいと引き込まれていく魅力があります。
第一話から仲間や指導者が皆死んでいきます。
ヒーローである主人公を誕生させるための伏線と
後から気づきます。
最終的にはラスボスの皇帝に迫り、地底世界に
迫っていく展開と思われますが、
世界観や設定もセンスがあって、先々が楽しみです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-10-24 06:42:17] [修正:2020-10-24 06:42:17] [このレビューのURL]

幼子を抱えた高校教師と女子高校生のお互いの事情から、
料理ごっこの日々をテーマにしています。
しかし、料理漫画の側面もありますが、なんといっても
父子家庭の大変さの裏側にある父子愛が主題です。

つむぎが出来すぎの感がありますが、幼児の可愛さが
いかんなく表現できており、この作品の魅力の大半が
この少女によって生まれたような気がします。

高校教師と女子高生の恋の行方も気になりますが、
作者は女子高校生が卒業するまでは、絶対に恋愛
対象にしないと決めていたとのことで、
これは正解だと思いました。

ほのぼのとした家族愛を感じる作品でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-05-27 17:44:43] [修正:2020-05-27 17:44:43] [このレビューのURL]

ここでのレビューでは、相当な高得点なので、期待して
読みました。なるほどスケールの大きな展開と主人公
2人の男気が魅力たっぷりでした。
ラストもなかなかのまとめでした。

世界は表の政治と裏の暴力の2つの権力で構成されている、
という視点で見れば、それぞれの分野で権力闘争で
勝ち得て頂点を目指せば、世界を変えられる。
確かにそれはそうなんですが、世界帝国ができた後の
権力闘争がなくなれば、独裁世界です。
北朝鮮やキューバやロシアは理想世界なのか、
というところに行きつくはずなのですが、
そこまでの深堀はなかったです。
それを証明するには人生は短いということでしょうか。

池上遼一氏の作品はほとんど読んでいますが、
その中でも出色の作品ですね。
史村翔氏とのコンビで良い作品がたくさんありますが、どれも面白いです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-05-24 07:07:23] [修正:2020-05-24 07:07:23] [このレビューのURL]

あだち充さんの描く高校生を中心とした青春物語は、
多くの人に支持されており、私も好きです。

ここでは、それ以外にも子供や大人の柔らかい胸の
痛みを物語にしています。
例えば、幼なじみにはいつまでも自慢の友でいたい
男の悲劇(天使のハンマー)。
女として見られたい女の子の機微(チェンジ)などがお勧めです。

長編のあだち充も結構ですが、短編も持ち味があってよろしいです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-05-10 12:59:02] [修正:2020-05-10 12:59:02] [このレビューのURL]

警察組織の公安に対しては、活動が非公開なので漫画ネタ、
ドラマ・映画ネタになった作品は、過去に多数ありました。
本作品もその路線を踏襲しています。
こうなると本当の権力がどこにあるのか、誰が裏権力者な
のか、裏組織の謎が面白みが大半になりますので、
複雑な権力構造と登場人物が複層化してしまい、
長々と続くと読み続けるのが辛くなってきます。

この作品がそれでも何とか支持できるのは、絵が可愛く、
黒刑事である主人公も脂ぎった顔形なはずですが
魅力的に見えます。
これは画力の高さだと思います。

「桜、三億円」編がひと段落した7巻まで読んだところで、
一旦止めようと思います。 


ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-04-16 18:06:17] [修正:2020-04-16 18:06:17] [このレビューのURL]

水島先生初期の頃の最初のヒット作品です。
水島作品は徹底して野球だけをテーマにされていますが、
たぶんこの作品以前は、いろいろ描かれておられた
はずですので、この作品の成功が契機になって、ドカベン、
あぶさんにつながっていったのだと想像しています。

藤村甲子園、豆タンなど、主人公、脇役の原型もここにあります。
しかし、よく見ると原作者は別におられたのですね。
意外でした。
以降の水島作品には、当たり外れが結構あったり、
やや歪んだシナリオ展開があったりしますが、
この作品はキチンとしていたように思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-03-23 20:08:21] [修正:2020-03-23 20:08:21] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

全8巻+番外編が破綻なく計画通りストーリーが
展開されたように思えるほどしっかりとした
サスペンスドラマ仕立ての作品でした。
後から思えば、2部構成であり、当初は連続殺人事件
だとも気づかないうちに先行的に主人公の特殊
能力の説明に時間が費やされます。
いつの間にか母親殺しの犯人として逮捕されると
いう衝撃的な1巻の結末から始まります。

しかし、時間遡行と本人の努力により何度も
その現実は塗り替えられるというドラマですね。
全く影すら見せない真犯人とその意図を図りかねる
うちに物語は進展するのですが、残念ながら早い
段階で真犯人は推測できてしまいます。
というのも、子供は多くとも大人の登場人物が
少なすぎますから、簡単に目星がつきます。
大半の興味がここで失われてしまう無念さがありました。
それも6巻で真犯人が暴露されましたが。

ここからが第二部ですね。
第一部に比べると、回想シーンが多くて心理描写の
絵が多く、少し冗長でしたね。
ページをめくるスピードも速くなり、アッと言う
間の最終巻でした。
ここはもっと詰めれたかもです。

ということで、最初の設定や伏線の面白さにどんどん
引き込まれましたので、とても面白く感じましたが、
いわゆる尻すぼみの無念さも残りました。
もうひとひねりできたかもしれません。

あと少しの工夫さえあれば名作になり得た感があります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2020-02-18 18:55:21] [修正:2020-02-18 18:55:21] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

競馬に関心のない私も、競馬世界に興味をしっかり
そそられてしまいました。
何といっても、主人公上条圭が様々なレースを通じて、
日本ダービーを目指すその成長していく過程で、
強いライバル達の騎手との駆け引きと技術を駆使する
レースそのもののワクワク感が魅力です。

一方、一色登希彦氏の漫画は、やたらとセリフが多いことと、
独特の描画で劇画的であることが特徴です。
したがって、各巻で「プロ騎手とは?」「勝つとは?」
なんて哲学的な問答が多くなります。
人によっては、うざく感じることもあるでしょうが、
概ね自然な流れで語られています。

中でも、20巻では「チャンと生きるって何ですか?」
という上条の問いかけに、ベテラン脇役の財津が
「誰かを笑顔にできるということだな。」とサラッと答えます。
それに続く説明もあるのですが、これが長いこと。
でも、それなりに説得力があります。一色氏の独壇場でしょうか。

シッカリとした構成と展開で、面白く読めました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2019-11-18 23:47:03] [修正:2019-11-18 23:47:03] [このレビューのURL]

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