「朔太」さんのページ

総レビュー数: 742レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

7点 Odds

ロードレーサーの主人公が生活苦解消のために、競輪に転向する。
多くのライバル達と巡り会い、競輪の頂点を目指す。
ですが、本編では競輪学校卒業までのお話で終結しました。

魅力は、競輪レースの駆け引きや戦略が他のスポーツにない
くらい巧みで、基礎的な脚力だけでは勝負に勝てない世界
であることがよく理解できます。
それは、先行者を風よけにすると圧倒的にエネルギーを
温存できること、周回のために内回りと外回りで距離が
異なること、と言って内回りでは前と横につけられると
抜け出せないために自ら勝機を作れないことなど、
主にレース参加者の位置取りで平等な競争には
ならないことが、競輪独特の複雑さを生み出しています。
その解説がキチンとされているので、競輪の面白さが
よく伝わってきます。
作者は相当、自転車が好きでロードも競輪も深い知識を持っていそうです。

また、師匠につく必要がある競輪の世界で、死神秋谷師匠との
出会いと交流は主人公の心の支えになっており、爽快でした。
一方で、主人公のキャラは、定番の猪突猛進型の直情単純
そのもので、少年誌で見飽きた感のある人物像です。
これを青年誌に持ってくるには、ひとひねりが欲しい
ところではあります。
登場人物も極めて多く、総勢主だったところで
30名以上はいそうで、誰が誰だが判別できません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-23 18:32:46] [修正:2017-07-23 18:38:01] [このレビューのURL]

7点 SOIL

カネコアツシという漫画家を本作で初めて知りました。
筆ペンで描く世界感が極めて秀逸です。

おどろおどろしい背景はそのまま狂気に直結して
しまいそうな雰囲気を常に醸し出していて、
それでいて正気の論理は一つ残っているので、
単なるホラーでもないことに安心できます。
例えば、鈴白一家失踪の謎が10巻辺りでキチンと
説明されていたのは、21世紀少年とは異なり
フラストレーションを解消してくれています。

読み始め当初は、本作は非科学的現象を積み重ねる
SFあるいは人や集団心理の狂気を扱うホラーなのか、
あるいは伏線はりまくりの駄作なのか、
判断しかねるところがありましたが、
最終的には満足させてもらえました。
とはいえ、エピソードや枝葉の話も多く、雰囲気
つくりや謎かけ場面が多いので、結果的には無駄に
長話になったようにも見えます。

私は単行本で一気に読んだので苦にはなりませんでしたが、
連載中の読者なら多分途中から興味を失っていくだろうと
予想されます。

ドラマでいえばツインピークスのような名作の匂いを
漂わせつつ、根気よくついてくる読者を選ぶ作品という印象です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-07-21 19:53:41] [修正:2017-07-21 19:53:41] [このレビューのURL]

7点 今日子

普通の女性がある日の出来事をきっかけに、激動の
人生を歩み出します。
一人の女性がどんどん精神的にもたくましく、
危険を顧みなくなるのは、やはり男性を愛した記憶と
いうことのようです。
愛を知った女性は、一人でも戦う勇気が持てるほどに
強くなっていくということがモチーフのようです。

展開が進むにつれて主人公の飛躍ぶりに驚く面も
ありますが、荒唐無稽な感じはなく、
しっかりとした原作のお蔭だと思います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-06-05 01:58:35] [修正:2017-06-05 01:58:35] [このレビューのURL]

1巻から文字通り怒涛の展開が始まり、どんどん先が
読みたくなる迫力があります。
確かに3巻あたりでやや中だるみ、神さまの正体に
言及し始めると、そんな論理的な説明は必要がない
というか、説明を期待する読者に対して一体どんな
落としどころを用意するのだろうか、
それは無理でしょう、と限界を感じだしました。

その辺りだけがマイナス点ですが、全体には進撃の
巨人と並ぶ引き込まれ方をしました。

続編の弐は、評判が良くないようですが、続いて
読んでみたくなります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-05-29 19:44:37] [修正:2017-05-29 19:44:37] [このレビューのURL]

居場所を見失った中学生は高校生になった頃には、
相当偏屈か孤独になっているだろう。
そんな似た者同士の3人の男子高校生がフラメンコの
世界に自分の居場所を発見するお話です。

少し強引な展開とは思いますが、居場所が見つからない
高校生の苦悩はどこの誰にでも有りがちですから、
とても共感しますね。
大学受験やスポーツという王道で打ち込める当たり
前の青春は、それだけで十分に幸せなのかもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-04-28 04:02:04] [修正:2017-04-28 04:02:04] [このレビューのURL]

言わずと知れた鳥山明の第一代表作です。
描画が美しく、ディズニーのように一筆で可愛いキャラクターを
描き分ける高度な技術力に裏付けされた作画力でした。
背景などがシンプルでいずれも無邪気な登場人物なので、
のどかなペンギン村のドタバタ劇も幸福感で一杯になります。

たった4年間の連載だったようですが、その後のTV放映などで
超人気アニメとして一世を風靡した作品ですから、アラレちゃんの
名前と風貌を知らない当時の日本人は皆無だったような気がします。

健全な日本文化の育成に一役買ったと言っては、言い過ぎでしょうか?
ただし、ギャグそのものは子供っぽく、私にはあまり大笑いできる
ところはありません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-04-24 19:54:27] [修正:2017-04-24 19:54:27] [このレビューのURL]

7点 A-BOUT!

道でガンたれれば、喧嘩が始まるような典型的なヤンキー
漫画といえばそれまでですが、青年誌でも堪えるような
テイストがあって、この分野では出色かもしれません。

以下にお気に入りの点を列挙しましょう。
・主人公の朝桐は、全くのバカ。
 計算、打算が全くできない点、動物的なその場限りの
 感情で行動する馬鹿ですが、案外人間味を感じます。
・ヒリヒリする展開が連続する中で、ギャグが適度に
 混ざっており、程良い加減です。
・普通、ヒロインが登場するものですが、全くの女っ気なし。
 この点は異色ですね。全編にわたって女性は登場して
 ない気がします。
 あの名作「男組」ですらヒロインはいましたからね。
 著者は女性を描くのが苦手なのかと勘ぐってしまう
 ぐらい徹底しているのが、かえって硬派ぽくって
 宜しいかと。
・一方で、暴力の連続なのに、人間離れした体力、根性、
 生命力が際限なく継続します。
 こんな人間おらんでしょう、というレベルの化け物が
 どんどん登場しますので、この辺りはどこかで既に
 読まされてきたパターンですね。
 また、ヤンキー漫画では宿命ともいえるのですが、
 どんどん強いキャラが登場させないと話が持たず、
 展開が進むと誰が誰だが分からなくなります。

総じてどの展開も気持ち良く終結していて、面白く読めました。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-04-10 20:05:25] [修正:2017-04-10 20:05:25] [このレビューのURL]

ヘタレとヤンキー娘の普通考えにくい組合せの同棲話。
ヘタレのサトシには、ついつい顔を覆いたくなるようなエピソードが満載です。
わが身に置き換えると赤面してしまいます。
一方、チーコは典型的なヤンキー娘でして、女子の特有の可愛さではないんですね。
この可愛さを表現できる作者の腕前は大したものと感心します。
結婚したいサトシと結婚を恐れと考えるチーコの葛藤は、最終的に
見せ場になりますが、大きな展開はないお話でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-03-25 07:00:10] [修正:2017-03-25 07:00:10] [このレビューのURL]

W杯アジア最終予選において残り三試合だけで9巻にまとめられた作品です。

日本は4位であり、残りサウジアラビア、オーストラリア、
イラン戦を前に、外国人監督に全権を委任して交代する
ところから始まります。
問題は、得点力不足でFWの不在です。
これは2006年頃の本当に日本の悩みだったわけで、とても
リアルな背景になっています。

日本代表チームの和は、エゴイストである主人公FW戌井に
よって乱され、様々な不協和音を生みます。
一方、作者の考えが反映された外国人監督はFWをひたすら支持します。
これに反発しつつ、次第に理解し成長していくチームの過程が見どころですね。

実際のところ、こんなFWが日本に欲しいという熱烈な
サッカーファンである作者の願いが表現されている気がします。
チームプレーもいらない、パス回しも不要、仲良しチームである
必要もない、ただ得点をゲットする結果だけを求めるFWを
あるべき姿として描いています。

ある意味では、長編でありながらたった半年の過程であった
名作「スラムダンク」のサッカー版とも言え、9巻を一気に
読みたい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-28 02:32:26] [修正:2017-02-28 02:32:26] [このレビューのURL]

相当フェティッシュな要素が組み込まれたラブコメです。

それでも10年近い連載ですが、相当の支持があったのは意外です。
というのも、ヒロインの卜部さんが従来のラブコメの主人公
とは相当違ったタイプなんですね。
思春期に出会う男女が互いにミステリアスな存在である
ことは分かるのですが、思春期で感じる可愛らしさは、
むしろ友人の丘や諏訪野にたっぷりとあるのです。
こちらに焦点を合わせた可愛らしさ、恋愛の危うさを時折、
挟んでくれるあたりはノーマルな恋愛を踏まえており、
安心させてくれています。

私にとって終始一貫して、この漫画が特別なのは、
卜部さんが飾らない、背伸びをしない、格好をつけない、
見栄を張らない性格の女の子であり、とても従来のヒロイン
像とはかけ離れていますね。
前髪で顔全体が見えないヒロインって、それもラブコメの
主人公って、それでも可愛らしさが表現できるなんて、
すごくないですか?

肝心の椿と卜部に戻すと、彼らは世にいう思春期の
プラトニックな恋愛中の普通のカップルですが、
ちょっとアブノーマルな独自の特別な絆で、存在を
確かめあっています。
キスもしない二人にとって極端な絆ですが、その延長
線上に大人につながるエロを感じさせます。
そのような意味では、普通の恋愛模様かもしれません。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-02-12 17:46:38] [修正:2017-02-12 17:46:38] [このレビューのURL]

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