「朔太」さんのページ
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- 病弱だった少年時代から、読みたくて読みたくて仕方のない漫画が周囲に沢山ありました。他にすることもない寝床で読む漫画は、1ページ1ページが宝物のようで、丹念に時間をかけて食べるように吸収されていきました。漫画のある国に生まれて良かった、と思えるくらいの喜びでした。以来、数十年、私の周りには多数の未読の漫画本が常備されています。漫画がサブカルチャーと位置付けられて久しいですが、今や映画もドラマも漫画が原作でないものが珍しくなってきました。文化としての名作漫画を探しつつ、私個人の探訪歴(読書歴)として、このサイトを利用させてもらっています。
壮大な歴史物語にゴーストを絡めた読み応えのある大作です。
クリミア戦争におけるナイチンゲールの活躍は
レジェンドになっています。
地上の天使の活躍を押し付けがましくなく、人間臭さを
出しながら、表現されています。
また、表題通りゴーストとレディの通い合う心の姿は、
舞台劇を見るように迫力があり、説得力のある美しい
物語に仕上がっています。
軍事・風俗に関する考証も十分に準備が行き届き、
大仕掛けの風格ある作品です。
藤田氏の作品の中でも、最上の出来栄えと思います。
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[投稿:2021-08-17 07:08:02] [修正:2021-08-17 07:08:02] [このレビューのURL]
7点 ソウルリヴァイヴァ―
いわゆる地獄を108階の階層を持つ死界とし、1回死ねば
階層を一つ降り、それを繰り返すことで最後には無に
帰する、という設定が、コアなアイデアです。
死界と現界を行き来できる能力者たちの戦争、バトルが
中心となるストーリーです。
なかなか面白い設定ですので、どんどん興味が深くなり、
読み進めることができます。
主人公たちのキャラやサブキャラも良く、敵味方、
双方のラスボスもなかなか迫力があります。
ただ、設定がすばらしいだけに、これを活かした
ドラマが生まれることを期待しましたが、
それほどの展開はなかったのが残念でした。
なぜ、死界に来たか、なぜ番人になったかといった
エピソードが随時挿入されるのですが、特段に
面白いものはなく、要らなかったかなと思います。
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[投稿:2021-08-11 09:07:53] [修正:2021-08-11 09:07:53] [このレビューのURL]
7点 MASTERキートン
考古学者としてのキートン以上に、保険調査員としての
キートンがドラマ性があります。さらに元SASの軍隊経験
があり、闘争スキルが抜群な三面性が、最大の魅力ですね。
一回一回のストーリーの品質は高く、名作と呼ばれても
不思議はありません。
しかし、西洋史、特に英国史のうんちくが心地良いと
感じるか、どうかで評価が分かれそうです。
確かに、相当専門的な知識に裏付けられている背景が、
事件に上手く絡んできます。
しかし、人によっては読み飛ばしている可能性もありそうです。
浦沢直樹氏の代表的傑作の一つですね。
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[投稿:2021-07-05 07:59:51] [修正:2021-07-05 07:59:51] [このレビューのURL]
7点 ストッパー毒島
プロ野球大好きの私にとって、全ての実在選手にあるあると
ハロルド作石氏の高いレベルのプロ野球への愛を感じます。
独特のユーモアセンスが私には心地よく、名作ゴリラーマン
に通じるエンターテイメントです。
ただし、12巻を通した苦言を呈しますと、高校生で実績の
なかった毒島がドラフト8位で入団以降のゆっくりとした
サクセスストーリーを期待しましたが、すぐにストッパーの
座を1年目で獲得したかと思うと、早過ぎる展開と思い
直したか、それ以降長く低迷してしまいます。
また、必殺の決め球を引っ提げて復活するも、いつのま
にかヘタレてました。
このようにメインシナリオが迷走しているのが、
長期連載できなかった主因と考えています。
終盤には、ミラクルアスレチックスのチームとしての
活躍を主軸に一気に物語が盛り上がってゴールという
展開に異論はありませんが、ちょっとプロ野球を舞台に
した話として違和感を感じます。
毒島はもちろん、本上も清水も佐世保も加瀬も、必死
過ぎるのですね。
高校野球なら理解できるのですが、選手寿命を終える
リスクを賭けてプレーするスタイルは、プロとは言えず
設定場面が違っています。
ハロルド作石氏の作品は、これ以降ややシリアス路線に
踏み出していますが、残念ながら本作とゴリラーマンの
独特の味わいが継続されず、失敗している感があります。
再度、元のセンスを復活してもらって、
楽しませてもらいたいものです。
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[投稿:2021-06-26 09:07:38] [修正:2021-06-26 09:13:13] [このレビューのURL]
7点 鋼の錬金術師
主人公たちが過去に禁忌を犯し、体を失うという
トラウマを初回から見せておいて、元の体に戻す旅、
という設定が素晴らしい。
目的が不明の敵が複層して登場してくるので、
謎が展開を引っ張ります。
描画も少年漫画としては上級です。
戦闘シーンも上手く、女性作家特有の短所も見当たりません。
一時、ブームを呼んだのも頷けます。
ただし、10巻辺りでは、謎の引っ張り方が長く、
登場人物も増え過ぎて、話が複雑になってしまった感が
あります。
伏線の回収がやや雑になってきて、飽きが出てきました。
私だけかもしれませんが、最後まで読む気力が失せてしまいました。
最初の5,6巻までは9点。その後マイナス3点という印象です。
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[投稿:2021-06-20 09:04:30] [修正:2021-06-20 09:04:30] [このレビューのURL]
女性の可愛らしさをこんな形で表現するとは、
想像できませんでした。
しかも、その世界がとても温かいぬくもりを
感じるのですから、とても意外でした。
なかなかの面白さです。
ちょっと気がかりなのは、古見さんが美少女という
前提だから成り立つ世界であり、美が少ない女子
だったら、全然異なる展開になるわけですね。
ちょっと残酷な現実を、裏側に感じてしまいます。
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[投稿:2021-06-06 08:35:54] [修正:2021-06-06 08:35:54] [このレビューのURL]
ゴルフというスポーツは、技量は同じでも戦略性の
違いでスコアは倍半分に変わってくるものです。
副題の通り、草太のスタンスが漫画の主題です。
徹底して強気一辺倒で、全ホールをバーディを狙うと
いうスタンスです。
窮地に陥れば陥るほど、さらにリスクを負っても
起死回生のプレーを狙いますから、常に予選落ちの
憂き目に遭います。
なるほど、清々しいほどの一本気でパワープレイを
押し通すスタンスは、共感するところもありますが、
知能は小学校5年生並と揶揄される草太のスタンスを
なかなか支持できるものではありません。
ということで、爽快さを狙ったはずの豪気なスタンス
も、周囲の仲間だけでなく読者にもストレスを与える
結果になっているようで、あまりスポーツ漫画として
楽しめませんでしたね。
一方で、なかいま氏の独特のギャグというか笑いの
センスは相変わらず健在で愉快です。
せこい不正も必ず入れてきます。
さらに、欠点だらけの人間が集まっても結束すれば
力を発揮するなど痛快な面白さが持ち味です。
12年もの連載を継続できた理由でしょう。
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[投稿:2021-04-01 08:49:38] [修正:2021-04-01 08:49:38] [このレビューのURL]
7点 ハイキュー!!
男子バレーボールをテーマにした漫画は意外と思い出
さないけれど、これは代表されるものになるかもです。
作者の古舘氏は高校時代にバレー経験があることが、
相当下地になっていて説得力があります。
少年誌にありがちな必殺技は、変人速攻くらいのもので、
あとは努力の積み重ねで得られる得意スキルとなっています。
何と言ってもキャラの立ち方が本作品の魅力です。
主人公の日向ですら、完全無欠には程遠い能力も
人格も未発達な脇役の一人に思えるほどです。
しかし、それぞれの脇役の特徴、得意スキルが読者に
しっかり伝わってきており、烏野高校バレー部の
一員のような感情移入ができます。
プレーそのものや勝ち負けへのこだわり以上に、
チームとしての絆や仲間を嬉しく思う部活の魅力が
上手く表現されています。
難点を言えば、最初から長期連載が保証されていたのか
(そんなことあるのか?)、展開の進め方が異常に遅い。
日常の練習風景や部員勧誘など少し興味を失いがちです。
その結果、ライバル高校ならびにそれに伴う登場人物が
多過ぎて、人物のキャラを理解する気がなくなります。
これは作品の強みを自ら消しています。
連載が長く感じる原因にもなりました。
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[投稿:2021-03-23 20:00:14] [修正:2021-03-23 20:00:14] [このレビューのURL]
7点 ファンタジスタ
従来になかったサッカー漫画です。
主人公を中心にしたチームが試合を重ねながら勝ち
上がり、成長していくパターンが王道スポーツ漫画でした。
ドカベンしかり、スラムダンクしかり、サッカー漫画
ではキャプテン翼もジャイアントキリングもそうですね。
この作品では、てっぺいがファンタジスタと呼ばれる
世界トップのプレーヤーとして成長していく
過程を追っていて、チームの成長ではないです。
日本代表候補合宿1週間が最も見ごたえがあるという
のも異色ですが、高校サッカー1年生の都予選で全国
大会出場を決めた時点で、チームを離脱しイタリアに
向かうという展開も驚かされます。
ファンタジスタという称号は、やはり世界レベルの
プレーヤーに与えられるものなのでしょう。
ただし、イタリアでのプリマヴェーラ(二軍)での
生活や試合、練習にさほど期待したほどの驚きはなく、
むしろ人間関係や意思疎通のない監督との確執などが
焦点になってしまって、陳腐な展開になったのは残念でした。
とはいえ、意志あるパス、スペースの作り方などの
個人技と絡めてはじめて、戦術が生まれるという
ことがよく理解できます。
草場氏のサッカーに対する知識の高さを伺うことが
できますね。
素人の私たちは、チームの戦術だとか戦略だとか
日本サッカーを批判しますが、個人プレーヤーの個性や
個人技の高さがあって、戦術が成立するのですね。
ファンタジスタが日本に早く現れることを期待した作品かもです。
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[投稿:2021-03-12 05:39:37] [修正:2021-03-12 05:39:37] [このレビューのURL]
7点 舞妓さんちのまかないさん
いや、驚きました。
少年誌で舞妓さん芸妓さんお茶屋さんの世界をテーマにするとは。
これは最初の回から、青年誌で扱う内容ではないかと感じました。
舞妓さんの世界は、一般的には大人のしかも
エグゼクティブな最上層の人たちの世界ですよね。
これは、大人といえどもほとんどの人たちは
一生縁のない世界ですよ。
その世界を少年誌で扱うことに躊躇はなかったのでしょうか?
しかし、私はこの大胆な試みは、成功したと思います。
田舎者の少女が舞妓修行に挫折しながら、
本人は適正のなさを自覚した上で、舞妓さんたちの
サポートに回ります。
同郷の幼馴染は、順調に成功しており、妬みを覚えても
不思議ではないのに、むしろしっかり応援します。
その彼女の前向きな姿が、この作品の主題ですね。
上品でほのぼのとした彼女の性格がとても可愛らしく素晴らしい。
少年たちにも、その魅力はしっかり伝わっていると思います。
可愛らしい描画ともマッチしています。
繰り返しますが、少年誌にはありえない背景を
テーマにしたチャレンジは成功しており、
また一つ新しい境地の漫画が世に出たという点で感銘を受けました。
ナイスレビュー: 0 票
[投稿:2021-02-06 06:56:01] [修正:2021-02-06 06:56:01] [このレビューのURL]
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