「朔太」さんのページ

総レビュー数: 818レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

血のつながらない幼子を行きがかり上、引き取った時点で
ドラマが生まれるのは必須でしょう。
親子物語が延々続くことを想像しましたが、案外違っていました。
子どもを通したシングルマザーのつらい現実や子育てを
放棄する母親の問題など展開はバラエティーでしたね。

何といっても、8巻あたりからの最終話に至る二人の
関係性の変化には驚かされました。
主人公にはいつも心に刻まれた場面として、幼子が
思いのたけをぶつけて泣く姿を放っておけない
シーンが最初にある訳です。
その気持ちが全ての始まりだったわけですが、
読み終わった後もとても共感できます。
その時に生まれた主人公の覚悟が始まりであり、
全編を貫く人の優しさの原動力だったと気づきます。
良い作品だと思います。

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[投稿:2020-01-08 01:00:04] [修正:2020-01-08 01:00:04] [このレビューのURL]

TVアニメでその存在を知りました。
見ればみるほど、大人の感性に訴える内容ですので、
これを子供がどのようにとらえているのか、
不思議でした。
子どもを子ども扱いしない尼子さんのギャグセンスが
素晴らしいです。

あまりに長期連載だったので、その一部しか読めていない
のですが、多くの子供たちに支持されたように思います。

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[投稿:2019-12-04 18:16:29] [修正:2019-12-04 18:16:29] [このレビューのURL]

8点 DEATH NOTE

[ネタバレあり]

世界累計発行部数3000万部以上、1部当り200万部以上のメガヒット作品。
連載開始時から毎号の展開を追っていた記憶がある。
次号の展開は凡そ予測するものだが、
展開スピードが速く、1週分の情報が重い。
とても漫画の領域ではなかった。

しかし、エル無き展開に期待以上のものは得られず、
後半はやや失速気味か。
デスノートの設定なら、犯人と探偵の頭脳戦以外の
展開にも持ち込めただろうから、
「もう一つのデスノート」も在り得るのではないか?

<追記修正>
改めて12巻全巻を再読しました。
初めて読んだ時の感動は蘇らなかったのは意外でした。
むしろ論理のアラが目立ち、夜神月がそれほど緻密な
論理性を駆使しているように見えませんでした。
展開の結論に影響を受けた訳ではありません。

世界のどこにいるのかわからない、かつ絶対的な超能力と
力の根源も明らかでない絶対的存在のキラが、
数限りない失策とボケをかまして追い込まれていく訳です。
その過程で、最大の違和感は、TV放映に出た最初のLの
偽物をその場で感情的に殺してしまうことです。
このことで一気に、キラは日本の関東地方に住んでいる
ことが分かり、70億人の内1千万人に絞られてしまい、
FBI捜査官にちょっかいを出すことで、数十人に絞られます。
馬鹿としか言えません。普通、放置するでしょう。

容疑者がライトになって以降では、理屈臭くて次第に
感動は薄くなっていきます。
具体的には、絵で見せる漫画ではなく、文章で説明する
漫画になってしまったことが、質を落としてきた原因でしょう。
良い素材と設定なのだから、アナザストーリー2,3があり得ると考えます。


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[投稿:2011-09-25 16:04:47] [修正:2019-11-17 16:24:24] [このレビューのURL]

秋本治のアシスタントを長く務めた人らしく武器の
メカニックに見るべきものがありますが、
ストーリー展開にはほとんど関連しません。
むしろ、砂防コートやヘルメットはシンプルで
かわいい絵柄を醸し出しています。
格闘シーンも力技ではなく、ワイヤーウィンチを
利用した空中戦が戦闘の悲惨さを軽くしています。

背丈も小さく、ちょこまかした機動力で戦う姿は、
むしろ可愛く、ヘルメットに描かれた無表情な案山子の
ような味わいを生んでいます。
特に私は小砂がとてもお気に入りでした。

13巻まで読みましたが、12巻までの展開と
今後は変質していくようですね。
少なくとも13巻は小砂編が始まりました。

うすね氏も大病による2度の休載を経てるようで、
元の味わいを失わないよう頑張ってもらいたいと思います。
なにぶん20年越の良作です。


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[投稿:2019-07-31 03:26:32] [修正:2019-07-31 03:26:32] [このレビューのURL]

今更ながらドラゴンボールを論評することに、
気恥ずかしさがある。
それほどに歴史に残るお化けヒット漫画でありアニメである。
ドラえもんとともに日本人のみならず、世界中に配信された。

少年期は西遊記や南総里見八犬伝のオマージュであることは
作者もさすがに認めるだろうが、鳥山氏の本来の持ち味で
ある子供ギャグ(うんちとかおっぱいとか連発する)が
中心でアラレちゃんの延長線上だった。

しかし、世界征服者や地球侵略者が現れるや突然バトル編へ
突入する。
これは少年ジャンプの伝統的な編集方針であり、圧倒的な
絶望をより強い克己心でもって、これを克服し敵を倒す。
当初は正義が大義にあったが、次第に戦闘狂になって
くるあたりは、時代が許容しだしたせいだと思う。

いずれにしても、少年はいつの時代にも、どの国に
生まれても、絶対に興奮し自分の身に置き換えてしまう
世界と設定と戦闘を完璧な形で世に提供した功績は大である。

こんな漫画は二度と現れる気がしない。

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[投稿:2019-07-26 05:34:37] [修正:2019-07-26 05:34:37] [このレビューのURL]

最愛の人を失うこと。
若い頃なら、親。親になれば、子。壮年期には、伴侶。
想像するだけで、人生の意味を失うことでしょう。

こんな経験は、それほど多くの人がするわけではないけれど、
生きていく中で、仕方なく受け止めるしかないことでしょう。

慟哭。
これを作品にしようという気持ちは、プロだからなのでしょうか?
そうではなく、その傷が癒えて、
振り返る自分は別の人生が歩めているから、と信じたいです。

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[投稿:2019-05-17 01:30:46] [修正:2019-05-17 01:30:46] [このレビューのURL]

春日部咲が好きだ。一般人の視点でオタの世界にいる恋人高坂を許容する。
斑目が好きだ。オタ固有の弱さを自覚しながら自分の生き方はこれしかないと俯瞰する。
大野が好きだ。理解と協調の世界で皆が幸せであればと願う。
笹原が好きだ。強い意志はなくも寛大さ包容力は抜群。
荻上が好きだ。深く傷ついた過去がトラウマになって攻撃性を鎧にする彼女の可愛さ。

オタ、非オタに関係なく、皆優しい視点を持った関係性。何か漠然とした将来への不安を
抱えながらも、「こんな自分だもの」と焦らない。

愛すべきキャラ達の青春群像を漫画でこんなに上手く表現できるとは思わなかった
点で、自分にとって衝撃の作品でした。


<2代目から追記>
班目君がどんどんまともな人間に成長していく様は嬉しい。
14巻で咲との二人だけの交流は、完成形の班目君である。
あまりに嬉しかったので、思わず追記と相成りました。

14巻から最終巻まで、モテキの班目君を中心にハーレム
メンバーの騒動というまさかの展開でした。
皆が元来オタなので、どんな組み合わせでも一定の理解を
示すのですね。
米国人アン、コミ障のスー、女装癖波戸、キャバクラ女王の
笹妹のハーレムメンバーの揃え方は絶妙でした。
またまた、波戸の男性の部分にほのかに恋する矢島など、
本当に人間って不思議な動物だなあと思います。
でも、有り得るなあとも思います。
一方で、こんな不思議集団でも、朽木先輩のキモさ、
KYさにだけは共通して皆が拒否しているのは納得でした。


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[投稿:2013-01-03 17:48:42] [修正:2019-04-21 06:09:24] [このレビューのURL]

憧れの先輩とピアノ協奏曲を大きな舞台でいつか協演したい、
それさえできれば幼児たちと毎日楽しくピアノで楽しみたい
だけと考える天才ピアニストの無邪気な成長物語が一つの基軸です。
もう一つの基軸は、常に散りばめられているギャグの連発ですね。
当初の5巻までは、後者のギャグの面白さで引き込まれました。
天才指揮者の女狂いの一面だとか、「ぎゃぼ」という決め
ゼリフなどは秀逸でした。

以降は、フランスに留学して、じれったいくらいなかなか
成長を見せません。
音楽の魅力を中心に、苦悩する音楽苦学生に焦点を合わせた
真面目な展開でしたが、しかしこれはこれで楽しめます。

最近、読んだ2017年直木賞を受賞した恩田陸さんの
「蜜蜂と遠雷」を彷彿とさせる同じテイストの面白さを感じました。
本作品の方が崎に世に出ていますから、まさかのまさかですが、
本作品に恩田陸さんがインスピレーションを得たということも
あるのでしょうか?
直木賞と同じ感動を与える作品と言えます。


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[投稿:2019-03-15 20:33:17] [修正:2019-03-15 20:33:17] [このレビューのURL]

8点 海猿

映画化された「海猿」との比較で言えば、全然別物でした。
映画の方は、海難事故の怖さ、絶対絶命の状況からの
生還だけがクローズアップされていましたが、
漫画原作の方はやたらと仲間、先輩が死んでしまいますし、
婚約者がいる恋人を寝取ってしまう結末なので、相当複雑ですね。

単純な海難事故だけではなく、銃や武器を持った海賊と対峙
しながらそれでも攻撃は無論不可能だし、救難すること
しかできないとか、国籍不明の不審船への政治的対応の
限界など、海上保安庁の現実の悩みが良く理解できる構成でした。

「め組の大吾」を連想する方も多いようです。
大吾の病的なレスキュー魂とはちょっと違う使命感に
突き動かされる大輔の方が、同じく超人的ではありますが人間味がありました。
主人公の人間性で言えば、「ブラックジャックによろしく」
とは共通するものがあります。
佐藤秀峰氏の価値観が反映されているのでしょうか。

本作品の価値を決定づけているのは、最後の航空機事故編ですね。
御巣鷹山に激突墜落した全日空機事故に着想を得ている
ことは誰の目にも明らかです。
生き残った機長の生きざまに焦点を合わせたドラマ性は
圧倒的な迫力で迫ってきました。
大団円という言葉がしっくりくるぐらい、ここの出来が
大変すばらしいと思います。


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[投稿:2019-02-13 00:36:59] [修正:2019-02-13 00:36:59] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

「わにとかげぎす」とは、深海に生息する
「ワニトカゲギス目ワニトカゲギス属」という魚類のこと。
寝てばかりの人生を送ってきた、友人も恋人もいない
ままに38歳になってしまった男を深海魚に例えたということのようです。

レジェンド稲中卓球部から一転、僕といっしょをはさんで、
グリーンヒル以降社会的無力者を一貫して主人公にして描いてきました。
本作でもシガテラと構図は一緒です。
しかし、当初から羽田さんの存在があることで、
極限の絶望には至ることがない点で比較的楽に読むことができました。
お約束の展開ではありますが、単なる変人、偏執狂、オタク
だけではなく、狂気をはらんだヤクザや殺人狂まで
登場しますので、サスペンスまがいのあれこれにも遭遇します。

それでも深海に沈む深海魚である主人公を救いだしたい
羽田さんは天使のようです。
ちょっと非現実的な気もしますが、羽田さん自身も
やや病んだ面をコンプレックスに感じているようなので、
それもありかなと理解しました。

古谷氏の一連の作品は、一見して社会的に価値のなさそうな
主人公を立てて、「孤独、無力、弱者の絶望」をテーマに
しつつ連載が始まりますが、最終話を読み終えると、
こんな自分でも生きてて良いのだと思わせてくれる不思議さ、
未来への希望を感じさせてくれます。

好きな漫画家さんの一人です。

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[投稿:2018-12-27 23:06:36] [修正:2018-12-27 23:06:36] [このレビューのURL]

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