「朔太」さんのページ

総レビュー数: 742レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

原作者安部譲二氏の昭和30年代回顧録といった感じです。
負けて終わった戦争の傷跡が残り、人々は貧しく社会は
混とんとしていました。
生き残った者たちは、ただその日その日を送っていくだけで、
辛く厳しい時代ということです。
一面で暴力か才覚でサバイバルに勝ち残り財をなし、
のし上った人物伝も聞く話ですが、一面で厳しく淘汰
された時代なのでしょう。

その多くの後者たちの中でも、絆とか友情とか仲間で生きる
希望を求める時代だったようにも思います。
原作者は、その時代の方が幸せなんじゃないか、と
問いかけているようにも思えます。

2003年から8年の連載で、全22巻の長編ではありましたが、
思いのほか単調な展開でした。
大人買いで全巻を読破しましたが、全編、同じトーンで
終始しましたので、最初の数巻でも良かったかと思います。


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[投稿:2018-01-27 06:25:18] [修正:2018-01-27 06:25:18] [このレビューのURL]

6点 not simple

最初からよく考えられた構成で、破たんがなく展開が
進行していきます。
しかし、思春期の熱にあてられたかのような登場人物の
羅列が気になります。
主役は生まれつき複雑な事情を抱えているのだから
仕方ないのですが、周りの脇役も含めて全員が鬱のような
精神状態なので、あまり共感はできませんでした。

一編の短編テレビドラマのような風味を長編ではなく、
1巻で味わえた点は評価できます。
また、絵が独特のタッチで好き嫌いはあるかと思いますが、
私は嫌いではありませんでした。

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[投稿:2018-01-10 19:07:15] [修正:2018-01-10 19:07:15] [このレビューのURL]

序盤と終盤にドラマとしてみるべきものを感じました。
中盤の話の引っ張り方がやや中だるみを生んだのは残念でした。

イチの過去の三つの顔にまつわるトラウマ、それは家族への
執着と絶望ですね。
これを五葉の他のメンバーは距離を保ちながら理解をしよう
と努めている。
これが仲間の優しさですね。

特に、政は田舎での嫡男としての義務を果たせず、家を捨て
ざるを得ないコンプレックスの塊のような男だけれど、
イチと知り合ってからは新しい世界の住人になりました。

最終巻は八木や政の振る舞いが美しく、素晴らしい決着と思います。


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[投稿:2017-12-25 17:47:09] [修正:2017-12-25 17:47:09] [このレビューのURL]

バックに軽快なBGMがあるような感じがするストーリーの
数々が展開される短編集です。
その典型が走る姿です。膝上まで足を上げる疾走シーンが
印象的で、軽快さを象徴しますね。

デビューから5年が経過したあとの作品集ですので、
油の乗り切る前のマグマの溜まる感じが良いですね。

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[投稿:2017-12-23 14:54:55] [修正:2017-12-23 14:54:55] [このレビューのURL]

バンビーノ続編です。
先の作品をそのまま継承して、熱烈猪突猛進型主人公の
イタリア料理漫画です。
画に動きがあるので、話の展開にスピード感を感じるのですが、
実はそれほど大きな変化はないのです。
イタリア料理店「レガーレ」の小さな世界で起こる事件で
しかなく、当事者にとって大事件でも、結局読者から
見て井戸の中の小事件なんですね。

特に、当初から土屋と言う店員がトラブルメーカで、
確かに後に異常なくらいの確執に発展するのですが、
冷静に考えて見れば、主人公にとって部下であり
店の誰もが敵になっており、孤立無援の可哀そうな
小物の敵なんです。
気に入らなければ解雇にだってできるのに、
料理勝負!ってなんだっていうのでしょうか。

後半の乗っ取り資本家に対してもそうです。
店の買収に大掛かりな仕掛けをしてくる敵では
ありますが、不法行為でもなく正々堂々と
料理勝負が行われます。
最後は軟禁なんかの犯罪行為もありますが。

全巻を読んだ上での総括です。
先の作品と合わせて8年の連載になり、
せきや氏にとって代表作になったようですが、
画が上手いだけにシナリオ展開で工夫が欲しいところでした。
当人は大事でも他人にはどうでもよい大騒ぎ物語です。

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[投稿:2017-12-13 18:01:30] [修正:2017-12-13 18:04:28] [このレビューのURL]

他人と喜びを共有できない孤独の人って、世の中にいますよね。
そんな人間がハイテンションになれるクライミングを見つけて、
オンナよりも金よりも魅力ある世界にのめり込んでいく主人公です。

恩人や数少ない友人とも離別があり、トップクライマーを目指す
チームメンバーとの交流に目覚める話かと読み進めますが、
全くその逆でした。
クライマーは名声や金から背を向ける人種かと思いきや、
俗世にまみれた欲物や我欲の世界だったという展開で
サプライズがありました。
命を懸けて挑戦するクライムの世界は、本当にそんなもの
なのか疑問もありますが、人間同士が関わりあう以上、
その世界はやはり俗世と変わらないのかも知れません。

そんな意味では、孤高の人という表題には、とても違和感が
ありました。孤独の人の間違いではないかと。


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[投稿:2017-11-22 18:00:33] [修正:2017-11-22 18:01:15] [このレビューのURL]

ストーリーも何もないのですが、何とも雰囲気があって
純文学に近いテイストを持った作品でした。
和服を着こなすヒロインなので、独特の色っぽさが生まれます。

漫画が文学に近づこうと頑張って試行したという感じでしょうか。


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[投稿:2017-10-22 12:21:29] [修正:2017-10-22 12:21:29] [このレビューのURL]

作者の説明によると、TIME KILLERとは「暇つぶし」
「娯楽」の意味だそうです。
何かの制約なしに自分の書きたいものを描き続けて、
その蓄積を短編集として世に表したという感じです。
それが暇つぶし程度になればという意思表示でしょうか。

ところどころに目を引く作品があって、気分転換の一冊と言えます。
中でも「主と某」「乙女の祈り」「深山鶯邸事件」は良かったです。


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[投稿:2017-10-19 18:37:02] [修正:2017-10-19 18:37:02] [このレビューのURL]

霊能力を持っていることで人の背景や裏事情に通じてしまう。
そのことが結構悲しく辛いことを知ってしまったり、
引くに引けない諸般の世事を引き受けることになって
しまう人々のお話です。

ホラーっぽくならず、雰囲気を醸し出すことに成功していると思います。

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[投稿:2017-10-05 02:53:05] [修正:2017-10-05 02:53:05] [このレビューのURL]

競争馬の馬主、生産者、調教者、騎手、記者のそれぞれが
馬を愛し、育み、世に出し、競馬の歴史を紡いでいく
様子が理解できます。
淡々としたシナリオ展開です。

ティオなんか7冠馬を目指します。
ハイ、勝ちました、なんて調子なので、盛り立て場を
見落としがちです。
中でもスーパーキングオーが菊花賞を制した場面が
見どころでしたが、その後は低調。
リアルといえばリアルですが、漫画としての見どころは失速しました。

良くも悪くも大人向け競馬漫画というところでしょうか。

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[投稿:2017-08-30 00:42:55] [修正:2017-08-30 00:42:55] [このレビューのURL]

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