「朔太」さんのページ

総レビュー数: 742レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

少年誌向けとしての王道中の王道漫画でしょう。
高校1年生のたった5人の仲間が柔道部を設立するところから始まり、強くなりたい、勝ちたい一心で精進に励み、やがて友情に支えられる仲間とともに成長し、勝利を勝ち取っていきます。

あの名作「スラムダンク」とはバスケットと柔道の違いはあっても同じ経過をたどりながら、やはり長編作品となる類似性があります。
前者との決定的な違いは、前者がバスケットをしていなければ道を踏み外しそうな不良系の主人公であるのに対して、帯ギュはあくまでも仲間を大切に楽しみながら強くなりたいという軟派系主人公です。
その一例として、最初から最終話までキチンとしたマネジャーの彼女がいます。スポーツ漫画では珍しいことです。

この辺りは、タッチなどに代表される軟派らしい少年サンデーの伝統的な持ち味を醸し出しています。
一方で、こんな背景でどんどん強くなり、たった2年でたった7人の部員で日本一になれるものか?との違和感も生まれがちですが。

また、仲間やライバルたちが個性豊かな配役が散りばめられています。
こんな仲間が誰もが欲しいと思うようなナイスガイと女子たちです。
一部のお気に入りを以下に羅列します。

海老名桜子・・・可愛さ満載ながら、お笑い担当です。最初はマネジャーでしたが2年生になって選手になります。読者人気投票では2回連続で1位だったはず。最後までナイトは現れませんでしたが、秘かに思いを寄せる男子がいたことが最終話辺りで明かされます。彼女の存在が本作品の面白さを倍増させているでしょう。

粉川巧・・・主人公。体力的には一般人の雰囲気だが、勝負処の戦いには滅法強く、日本一の柔道家へ。強さに対する納得感はちょっと不足します。やや凡庸な主人公で、面白みも少ないですが、少年の正しい目指すべき姿勢でしょうか。

斉藤浩司・・・仲間の中で最も柔道センスに恵まれつつも、いばらの道を志向する。仲間とカラオケ中に「こんなに楽しんでよいのか?ライバルたちはもっと厳しい時間を送っている。」と帰ってしまうエピソードも。兄弟が多く家庭環境はやや不遇な感じながら、最も努力する男。別所愛子と相思相愛に至る過程は微笑ましい。個人的に好きなキャラでした。

杉清修・・・5人の中で一番弱く、主将と気づかれていないが実は主将。髪がないのが特徴で、楽しく柔道をしたかったはずだが、皆に引っ張られて最後まで来た感じです。高校柔道を卒業した時点で、東大を目指した。斉藤の次に好きです。

来留間麻理・・・部員が1名の女子柔道部なのに、日本一、国際強化選手にまで男子よりいち早く上り詰める。天才ぶりが上手く描けており、納得感はある。

他に、宮崎茂、三溝幸宏、龍子先生などもヨロシイ。

少年たちの正しい青春のおくり方を示す教本かもしれませんね。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-09-03 21:09:02] [修正:2017-09-03 21:09:02] [このレビューのURL]

第一話は“農大物語”というタイトルで始まった。
が、3話くらいから、”もやしもんへ。

テーマとする、菌が見える主人公沢木と仲間が農大で
織りなすばかばかしい日々、がとても良い。
知性の府でもあるが、祭りなどに代表される一体感など、
とても健全な若者の成長機会として農大が描かれ、
部活でもない研究生活でもないノンポリでもない
こんな大学生活が、羨ましく思える読者に支持された
のではないか。
しかし、本作品にステレオタイプの娯楽性を期待するといけない。
淡々と日々が過ぎていく。

一方で、一般学生では考えられない冒険やトラブル、
イベントも織り込んであって、渡仏編、渡米偏、ミス農大
降ろし編、高校生西尾編などは一気に読みたくなる
荒々しさもある。

6巻は特に良かった。結婚を隠してフランスに渡る長谷川遥を
追って、でこぼこ3人組のフランスワイン畑での奮闘ぶりと
ワイン畑を守るフランス農家の魂、美里と遥の逃避行は楽しめた。

“発酵”や“農業”、“地ビール”、“日本酒”、“添加物”、
“食料自給率”などへの薀蓄(うんちく)や見識については、
半端ない専門的知識と解釈を提示してくれる小気味よさがある。

さらには、ここが一番の魅力だが、登場する女性が皆可愛く、
格好良く、知性満載だ。
周囲を彩る師匠(教授)や小汚い貧乏学生などのサブキャラも
際立っている。

漫画の新しい可能性を開拓してくれた貢献についても評価したい。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-03-14 19:44:27] [修正:2017-03-14 19:44:27] [このレビューのURL]

平凡な登場人物が醸し出す平凡な日常に、非凡な非現実を
突き付けて、世界はどのように変化し、自分はどのように
変わるのだろう。
ヒーローになりたくてもなれるわけがない平凡な日常で、
アイアムアヒーローとつぶやいてみても、ヒーローには
なれない自分を再確認するだけ・・。

さあ、壮大な実験の始まり。
非現実的な日常を駆け抜けることで、ヒーローになろう。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-01-18 18:18:30] [修正:2017-01-18 18:18:30] [このレビューのURL]

6点 嘘喰い

表題からライアーゲームやカイジの亜流かと想像しましたが、バイオレンスが相当の
比重を占めており、やや異なる作風となっています。

世の中のギャンブルは、運を天に任せて確率通りに配当を受ける、運が良ければ当たり
運が悪けば外れる、そんな公明正大なものは本当は存在しないことを改めて再認識させられますね。
ギャンブルはそんな世界だと知った上で、ルールの範囲内で知力と仕掛けを競うのがギャンブル。
イカサマもネタバレしない内は仕掛けの一つなのです。世の中、単純な運だけではのし上げれない
ようになっていることを教えてくれる教育的指導漫画です。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2015-01-04 18:43:33] [修正:2015-01-04 18:43:33] [このレビューのURL]

カイジの活躍や賭博勝負の在り様も良いけど、何より

賭博を通して社会の構図や人間を俯瞰している点ですごい。

悪党側の会長や利根川は極端な描写ではあるが、社会権力者の代弁であり

資本主義社会の正義を語らせている。

<感銘した台詞>

1.高層綱渡り:死を現実のものと受け止めて命乞いを始める者へ利根川が、

「どんな事態になってもとことん真剣になれない病。いつだって許されると

思っている。借金を踏み倒そうと極論、人を殺したとしても、自分は悪くない

自分は許される、なぜなら今起こったこの事態はあくまでも仮で、本当の自分は

あずかり知らぬこと、そう考えるからだ。・・・ゆえに奴らは30になろうと

40になろうと、自分の人生の本番はまだ先で、本当の俺を使っていないから

今はこの程度なのだといい続け、結局老い死ぬ時に丸ごと本物だったと気づく」

2.カイジの名台詞:「勝たなきゃ、誰かの養分」

3.綱渡りの最中、カイジが、「希望は、・・夢は・・・人間とは別の何か

他のところにあるような気がしていたけどそうじゃない!人間そのものが希望だったんだ」

4.会長が「貧乏人は王にならんと金を求め、逆に現在いる王の存在をより磐石に

する。そういう不毛なパラドックスから出られない。金を欲している以上、

王は倒せぬ。」

並みの社会学者や哲学者、共産主義者では想定できない極限状態だから、

説得力がある。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-10-22 18:50:38] [修正:2011-10-26 01:51:56] [このレビューのURL]

7点 YAWARA!

主人公 柔が本当にキュートなので、どんどん応援したくなる。

16歳から23歳までの公式戦で実は、不戦敗1回以外に負けていないけれど、

常に好敵手との戦いが待っていて、ハラハラドキドキです。

スポーツものとしての戦い場面も魅力ながら、柔道よりも普通の女の子になりたい

思いが行きつ戻りつして、ラブコメの要素もたっぷりです。

試合以外での名場面ベスト3です。

1位 渡米が決まった松田耕作との別れ 最終話 /
   バルセロナオリンピック準決勝前
   ・・・ 当初風祭に憧れつつ、しつこい取材記者でしかなかった松田の存在感
   に気づくのがラスト1年前です。オリンピック準決勝前に会えてその
   気持ちに気づいた時、さらに渡米する松田へその気持ちが伝えられない
   柔の表情、心の表現が見事でした。

2位 花園の男泣き
   ・・・不甲斐ない自分を鍛えに鍛えて、それでもなお届かない優勝
   に男泣き。しかし、富士子はそんな花園に「あなたは私にとって
   世界一のチャンピョンよ」と背中を抱きしめる。

3位 父 虎滋郎 との再会
   ・・・少し身勝手な父だが、柔の会いたい思いを切なく表現する。
 
       
 

ナイスレビュー: 2

[投稿:2011-08-18 14:43:54] [修正:2011-08-18 14:45:25] [このレビューのURL]

青春時代の一冊。主人公五代の管理人響子さんに対する恋心に感情移入してしまっていた頃を思い出す。現実の恋人にまで管理人さんを投影してしまっていたのではと感じる位、共鳴した。
”青春、恋心”をこれだけ爽やかに表現した作品、同時にギャク化できた作品はなかった。天才高橋留美子のなせる業だろう。
間違いなく私の人生に影響を与えた作品だ。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2010-01-16 16:47:57] [修正:2010-01-16 16:56:11] [このレビューのURL]

葬儀になると、見送られる方の背景が表に現れてきます。
単に弔問客が多くて社交的だっただとか、親戚付き合いが中心だったとか、
そんな表層的なことではなく、人生の歩みが見えてきます。
それを上手くドラマ仕立てした作品です。
毎回、ちょっとした人間模様があって、表題のような人情物語が展開されています。
意外と隠れた名作かもしれません。
女性誌にひっそりと連載されているのがもったいない感じがしました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2023-12-17 15:48:07] [修正:2023-12-17 15:48:07] [このレビューのURL]

アクションシーンが基本的に売りです。
しかし、ストーリー自体は、極めて退屈です。
台詞回しの気が利いている一面はありますが、多過ぎて頭に入りません。
人を選ぶ漫画でした。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-10-02 03:28:13] [修正:2021-10-02 03:28:13] [このレビューのURL]

なかなかの傑作です。
特有の世界観がまず目を見張ります。

人界と異界が交わる街という設定は、私にとってとても新鮮です。
異界と言い切らないで人類との接点を摩訶不思議に描く。
超能力でも吸血鬼でもなんでもありの世界です。
異常世界中で、超絶な戦闘能力を有する秘密結社ライブラの
メンバー達の個性が光ります。
その中にあって、普通の青年レオナルドの普通の感情、
普通の苦しみが異常世界にあって対比関係にあり、
とてもヒューマンな役割を果たしています。

それぞれのストーリーは、良く練られたシナリオの下に、
登場人物のそれぞれの事情を絡めたドラマ仕立てになっており、
一個の映画や小説にも匹敵する内容の濃いものです。
あまりにも伏線が見事なので、1回読んだだけでは、
最初のエピソードの意味が理解できなかったりもします。
しかし、読み返してみると最初からキチンと仕組まれた
ドラマであることがやっと理解できるほど、
巧妙な構成になっていることが多いです。
内藤さんはきっとシナリオライターとしても成功を収めた
才能を持っておられます。

新しいタイプのSF&ヒューマンドラマを体験できました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2021-07-19 06:13:07] [修正:2021-07-19 06:13:07] [このレビューのURL]

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