「朔太」さんのページ

総レビュー数: 742レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

不細工上等。童貞OK。非モテ承知。
絶対そうは思っていないどころか、コンプレックス満載ながら、
空威張りで精一杯の虚勢を大声で張り続ける青年、田西君。
普通に自分の隣近所にいれば、ちょっと避けたいタイプでしょう。

考える思考も短絡的、直情的だし、結果を考えない支離滅裂な
行動は、相当周囲にとって迷惑な存在だから孤立してしまいます。
何ができるわけでもない負け組が協調性を無視して頑張るって、
何をどう頑張れば良いのでしょうか?
「非力な人間は負け続けなければならないのか?」と
シューマイ先輩はつぶやきます。
諦めちゃならないと田西は無茶をやり通します。

1巻から登場の植村ちはるは、最初非力なヒーローの救いと
なるヒロインかと期待しましたが、全く違っていましたね。
それどころか悪魔のような所業を本人は意図しないでしてしまうのです。
それも数年後に再び偶然出会っただけにも関わらず、善意の
人からその再会の瞬間から悪意が芽生えるのです。
その豹変ぶりに私は驚いたのですが、普通の女性から見て、
どこにでもいそうな普通の女性だそうです。

非力な人間が社会の底辺でしか生きられないとしたら、
ならばその底辺でどのように生きるべきなのでしょうか?
社会に唾して生きるより、弱者が弱者であることを
認めつつ、やはり走り続けること、
そこにしか解はないということでしょうか。

最終回、最終話には異論はあるでしょうが、
私にはベストな結末で終えてくれたと満足しました。
読み進めるうちに「宮本から君へ」との類似性を
感じましたが、同じ熱を持った主人公だからですね。
だからと言って二番煎じとは思いませんでしたよ。

久し振りに最終巻まで一気に読ませる迫力を持った作品に出会えました。
満足しました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-10-02 20:20:54] [修正:2017-10-02 20:23:50] [このレビューのURL]

W杯アジア最終予選において残り三試合だけで9巻にまとめられた作品です。

日本は4位であり、残りサウジアラビア、オーストラリア、
イラン戦を前に、外国人監督に全権を委任して交代する
ところから始まります。
問題は、得点力不足でFWの不在です。
これは2006年頃の本当に日本の悩みだったわけで、とても
リアルな背景になっています。

日本代表チームの和は、エゴイストである主人公FW戌井に
よって乱され、様々な不協和音を生みます。
一方、作者の考えが反映された外国人監督はFWをひたすら支持します。
これに反発しつつ、次第に理解し成長していくチームの過程が見どころですね。

実際のところ、こんなFWが日本に欲しいという熱烈な
サッカーファンである作者の願いが表現されている気がします。
チームプレーもいらない、パス回しも不要、仲良しチームである
必要もない、ただ得点をゲットする結果だけを求めるFWを
あるべき姿として描いています。

ある意味では、長編でありながらたった半年の過程であった
名作「スラムダンク」のサッカー版とも言え、9巻を一気に
読みたい作品です。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2017-02-28 02:32:26] [修正:2017-02-28 02:32:26] [このレビューのURL]

7点 BUTTER!!!

高校ダンス部での青春群像のお話です。
今風のセリフ回しが多いのも特徴です。

元気印の夏、ネクラで目標のない端場の男女二人を
中心に展開されるお話かと思いきや、周囲を固める
脇役に焦点が移っていき、むしろ味を出しているのは
たった4名のサブキャラ達でした。

コンプレックスで自縛状態の柘、他人とぶつかり合え
ない掛井がお気に入りです。
柘は単なる数合わせ的なメンバーと思っていたら、
突如前髪を上げたりしてサナギが蝶に変身してしまい
ました。それでも根本的なコンプレックスから抜け
きれておらす、むしろ愛おしくなるくらいの魅力ある
キャラになります。

創部者でありながら副部長と影の実力者を装う和美は、
熱情を隠しつつ笑顔を出しません。
部長の高岡は、そんな和美の孤独さに魅かれて
ダンス部を手伝います。

青春には淡い恋心がつきものですが、できるだけ
これを排除して、熱中したり打ち込めること、
楽しめる自分探し、仲間探し、といった女性作家
ならではの視点で物語を進めていきます。
これは男性作家では絶対描けない世界だなあと
思いつつ、一方で自分の青春と重ね合わせて
共感できました。

胸の奥のチリチリした青春への憧憬に火をつけて
くれる作品です。私は結構気に入りました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-30 09:05:45] [修正:2016-10-30 09:05:45] [このレビューのURL]

昭和を投影した原風景が背景にある漫画。
誰しも小学生の頃を思い出して、何とバカバカしい毎日
だったとか、なんであんなつまらないことにクラス中が
熱中していたのかとか、玉ねぎ頭のようなクラスメートが
いたりとか、ありますようね。
そんな想い出帳から沢山の友人と家族を引っ張り出して
きては、エピソード話を紡いでくれたちびまる子ちゃん。

爺さんも婆さんもいる実は三世代家族のちびまる子は、
決して孤独ではないのです。といって、自立心がない
訳ではなく、むしろ独特の感性で自分だけの生活を
楽しんでいます。

三世代家族は昭和の時代には典型的家族かと言えば、
そうではなかったと思いますが、むしろ団地族や核家族に
対して憧憬や懐かしさを与えていたのかもしれません。

さらには、作者の独特のクスぐりネタは、共感を呼ぶ
健全な小市民感覚のギャグだからこそ、長く支持されて
きたのでしょう。

アニメを通じて、サザエさんに肩を並べるくらいの
国民的お茶の間漫画の地位を勝ち得たと言えます。
いわば、名作です。
しかし、原点は原作初期にある小さな想い出話に
過ぎなかったことは、驚くべきことだと思います。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-23 22:43:01] [修正:2016-10-23 22:43:01] [このレビューのURL]

麻雀漫画と分類されているようですが、麻雀の手役の進め方を
説明した場面は一度もありません。麻雀に名を借りた賭博
漫画というか、イカサマ手口で勝負する玄人(バイニン)
商売の世界を紹介しているにすぎません。

戦後の混乱期を背景に、喰うか喰われるか、生き延びるか
落ちるか、の命の賭け方も本人次第であって、誰にとっても
賭博人生だったようです。
様々なイカサマ手口を編み出した玄人が、哲也の前に次々に
現れては敗れていきます。その異様さや特異さは少年誌には
相性が良く、長期連載になった理由の一つでしょう。

警察にとって治外法権である寺の中で、絶対負けない秘策を
持つ僧侶、警察権力を背景に負けを強要する刑事、牌に
気付かない目印を付ける玄人、美人玄人等、個性的な好敵手が
次々に現れて、バトルが繰り返されていくわけです。

青年誌のような大人の臭いをちょっと嗅がせて、
少年誌では見せにくい世界を、程良い異様さで別世界の
ような演出させていることで成功しています。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-10-05 05:18:21] [修正:2016-10-05 05:18:21] [このレビューのURL]

行き当たりばったりの展開としか思えない漫画でした。
女子なので出場できないオリンピックですが、
男子として偽って金メダルを目指すジャンパーという
設定以外に見るべき要素はありません。

スポーツバトルと思いきや、それはそれとして人間関係に
話が落ちてきたリと迷走します。悪逆非道の先輩を突然
良い人に変えてみたり、ライバルに突然恋心を抱かせたり、
敵役コーチをとんでもない悪役に仕立てたり、エロ教師を
登場させたりで、後は惰性で思いつくまま流れるままで、
オリンピックはどこに行った?

まあ背骨のない筋の通らない漫画の典型パターンですね。
文字通り、面白くもなくつまらなくもない漫画と思いました。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-09-25 18:39:58] [修正:2016-09-25 18:39:58] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

登場人物は、空気が読めない、事情が察せない人間達と人間事情に介入するのが
大好きな人間達の二つの類型化で構成されています。
前者の代表選手は、健一父さんであり、実在モデルが実父ということなので
驚愕致します。
中年世代だからという理由では説明できないほど自己中心の思考で、思い通り
にならないとブチ切れますので家族は振り回されぱなっしです。
これが漫画ネタの中心というわけですが、私には寛容さが不足していますので、
この種の人間が周りに実在すれば恐らく憎悪の対象でしょうね。

ネタバレになりますが、
・節分豆まきには、小銭を巻いてくれたと誤解して子供が喜ぶだろうと、
 鬼の父が豆に碁石を混ぜて子供にぶつけます。
 ぶつけられた子供は大人になっても、覚えています。
・中学生の長男が丹精込めて工作したものを、作品が不出来だという理由で
 たき火にくべてしまいます。
 いよいよ仕上げだと勇んで帰宅する子供の目の前で、鼻歌を歌う父親。
・家族の事情を踏まえず、勝手に沖縄支店転勤を希望してしまう。
 その他、話は聞かない、誤解を一人勝手にしてしまう等、
 いそうでいない傍若無人ぶりです。

しかし、その他にもトンチンカンなキャラ、独走気味のキャラなど多彩な登場
人物が多く、健一以外は許容範囲内のお笑いで済ませられます。いわばバランス
はとれている感じ。

以上は4巻までの寸評でしたが、5巻から11巻まで読み進めたコメントを
以下に致します。
前半ではストレスのたまる展開が多かったので評価は低かったのですが、
5巻あたりからはしっかりとした人間模様もからんで一気読みができました。

特に恋愛の駆け引き、手練手管は、女性漫画家ならではの裏技を披露されて
おり、興味深い面もあります。
漫画家を目指して上京を果たし、漫画家の卵たちの新たな登場とますます混線
する健一2号との恋愛模様が、前半とは明らかに違った漫画テイストを醸します。

私は5巻以降で健一父さんが登場しなくなったことで読書ストレスが消えました。
これは好みの問題でしょうが、猿渡女史や歯ブラシ近藤くらいのヤンチャぶり、
オタクぶりは可愛く思えるから不思議です。
節子や健一2号には我慢できない人もいるのではないでしょうか。

そういう意味では、自分がどのタイプの人間とは徹底して相性が合わない
なんて、リトマス試験紙のごとく使い方ができる漫画とも言えます。
一度お試しあれ。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-09-21 22:41:41] [修正:2016-09-21 22:51:52] [このレビューのURL]

上質の典型的少年誌王道漫画と言えます。
相撲がしたい五所瓦の周りに、決してエリートとは
呼べない仲間たちが集まって、非力ながらも知力や努力、
呼び込む運で、大会を勝ち上がっていきます。

言葉は少ないけれど、不足を自身の努力だけで補っていく
五所瓦の姿勢は、男として、やはり美しいの一言です。
仲間も彼の誠実さ、ひた向きさに共感して協力している
ことがよく伝わってきます。

一方で、タイトルは「泣くな、五所瓦」としたいくらい、
無償の友情に涙する主人公の印象が強いです。
さらには、真面目堅物の主人公に対して、上手く笑いを
とる脇役も配して、程良いバランスが感じられます。

時代的には、本作品以前のちばてつや作品「おれは鉄平」
や水島慎二「ドカベン」の影響が感じられますが、多くの
人が安心して共感できる王道漫画は、誰でもよいですから
引き継いでいってほしいですね。


ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-09-13 05:18:03] [修正:2016-09-13 05:18:03] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

熱を持った主人公の行動や言動は嫌いではないので、
面白く読ませてもらいました。
高校時代のいじめで受けた屈辱が、28歳コンビニ店長の
宇治田(主人公)の心奥底に、このままでは終われないと、
一言で言うと恋人も仕事も捨てて復讐に燃えるわけです。
このように書くとただの偏執狂なんですが、何の力もなく
夢も持てない、未来に展望がない人間、特に20代後半
から40代の男の焦りや失望ってのが土台にあって、
よく心情は分かります。
その共感があって初めて、一連のバカっぷりが理解
できるのだと思います。

宇治田が敵役に訴える言葉に「将来の夢や未来の目標
なんて純粋に描けたら苦労しない。(無力無能な自分に)
そんなもの簡単に見つからない。それでも自分が
おかしいと思うこと不公平と思うことにだけは、
立ち向かっていける。それならできる。」
があります。
多くの若者がたどり着く最後の境地なんでしょうね。
一握りの勝ち組を除いて。
ということで、無茶苦茶な行動には違和感もありますが、
突き動かされる熱情には結構共感することができました。

蛇足ですが、敵役の南をどう感じたかは、個人差が
あるようですね。嫌いと思う人も多いようですし、
人格破綻者と切り捨てる人も。
私は、世界ランカーのボクサーになっても、宇治田を
友人と呼び、彼なりの配慮をところどころで見せる南は、
意外にも嫌いにはなれませんでした。
4巻で終結させるには、惜しい佳作というところです。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-08-28 16:32:41] [修正:2016-08-28 16:32:41] [このレビューのURL]

カズフサの部屋の押し入れに、チンマリ納まるラブやんは、
カズフサのような人種にとっては、文字通り天使のような
存在ですよね。肝心のカズフサはロリのため、触手が
伸びないことが原因で、幸か不幸か二人の友情を
育むことになるわけですが。

ロリ・オタ・プーの3拍子揃ったカズフサ登場で、
すっかり嫌悪感から始まった連載ですが、主な舞台が
ほとんどカズフサの部屋で終始しながらも、結局15年の
長期連載になった珍しいギャグマンガです。

下劣な人種のオンパレードではありますが、一定の距離を
おきつつ理解と同調の日々で同居生活を送るラブやん。
長期連載の間に、次第に関係性が熟年夫婦のように
明らかに変化していく様がかえって安心させてくれました。
カズフサも途中からはいつの間にか、フサやんと
呼ばれていることに気付きましたか?

下ネタというより、童貞ネタ満載ではありますが、
さらりと受け流すどころか、その上に盛ってくる
普通の女の子の対応が魅力に思えます。
嫌いじゃないっす。

ナイスレビュー: 1

[投稿:2016-08-06 15:55:53] [修正:2016-08-06 15:55:53] [このレビューのURL]

月別のレビュー表示