「朔太」さんのページ

総レビュー数: 819レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

7点 浮浪雲

長期連載を誇るレジェンド。
したがって、当然名を遺す名作と言いたいところですが、
ほとんどの話は消化不足の感があります。
人生には大小さまざまな人間関係の問題や息苦しさがあります。
どうにもならない貧しさや障害、すれ違いなど。
どうにもならないなら受け流していこう、肩ひじ張らない自然体で。
というのが全編を通した主人公の姿勢だけが主題です。
解決策はほとんど示されません。

これが人生の教訓になるかどうか、個人の感じ方次第です。
残念ですが、自然体で生きていけるほど世間の風は冷たく
甘くないと考えてしまう自分がいて、
私は羨ましくは思いましたが共感できないタイプの人間でした。

多くの読者に長く支持されたのでしょうが、私のような
消極的賛同者が多かったような気がします。


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[投稿:2018-02-24 15:33:11] [修正:2018-02-24 15:33:11] [このレビューのURL]

7点 鉄風

異端の女子高校生が主人公である点で、既に作品の骨格が
決まっている。
第一話からぐいぐい引き込んでいく。
スポーツはなんでもできて、努力する凡人達に対して、
退屈ささえ感じてしまう天才型主人公である。
性格は圧倒的にワルだが、高校生らしい可愛らしさも兼ね備える。

これまでこんなお話はなかったなあ、と意外性を重ねつつ、読ませた。
が、突然の連載中止で、まさに風のように消えていった。

記憶に残る作品になるかもしれない。

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[投稿:2018-02-17 08:39:52] [修正:2018-02-17 08:39:52] [このレビューのURL]

長編連載で全編麻雀対決の独特な味わいがします。
しかし、必ずしも典型的な麻雀漫画とも言えない部分があります。
登場人物は、いずれも天才型麻雀の打ち手であり、
定石でない待ちに突然決断しますが、
天才は直観だけでなくいくつかの根拠を持っている
はずというパターンが多いです。
その根拠には触れずですが。

典型的な麻雀漫画には、根拠のすごさで読者を驚かせる
ことが多いのですが、本作品は登場人物たちの圧倒される
ような迫力、いわばキャラの立ち方で魅せつけるのです。

波城組編では、10億円と銀座の利権を賭けて、
日本のやくざと中国マフィアの対決を描くのですが、
これが延々5巻以上を費やしたでしょうか。
その決着(61巻)が圧巻でしたので、お勧めの名場面でしょう。

長編ですが、順々に読み進めるべきとも思えません。
どこをどう切り取っても、同じテイストですので、
抜き取って読み進めるのも許されると思います。


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[投稿:2018-01-11 16:52:30] [修正:2018-01-11 16:52:30] [このレビューのURL]

何というストリーでもなく、盛り上がりも意外性もないの
だけれど、何か気持ちよくなる子持ちの女子プロレスラー物語です。

破天荒で無責任で出鱈目な男のお話は世の中に数あれど、
これの女版というのは意外でした。
男に走って試合を放り出して、5年後に悪びれず
戻ってくる女子って、いそうだけれど好きにはなれないですよね。
ここに出てくる藤はそんな嫌みがない。
絶対にまた裏切られるのだけれど、わかっちゃいるけど
見捨てられない、そんな魅力を上手に描けていました。
こんな母親には、定番のシッカリ娘が育つところが、また見どころです。

作品としての魅力は少ないのですが、全体の雰囲気がとてもヨロシイ。


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[投稿:2018-01-07 12:52:22] [修正:2018-01-07 12:52:22] [このレビューのURL]

宇宙ロケット内という設定ですから、SFと思いきや、
いわば雪山に閉ざされた密室なんですね。
だから、結局典型的な雪山型密室殺人を描いた
推理小説風ストーリーです。

42年前の作品ですから、今思えばステレオ型の作品
ですので、とても斬新とはお世辞にも言えません。
しかし、人気作家萩尾望都の作品らしく、
ワクワク期待をさせる魅力はあります。

今や古典となってしまった感がありますが、記憶に残る作品です。


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[投稿:2017-12-05 00:58:15] [修正:2017-12-05 00:58:15] [このレビューのURL]

古代の三つ目族が超能力を持った一族だったはずという設定は、
13年後の高田裕三氏の3x3アイ”に引き継がれました。
それほどインパクトのある設定であり、飛鳥時代の遺構などに
さえ宇宙人あるいは古代人の謎が隠されていることを信じさせてくれます。

当初はその謎の提示がとても神秘的で、その先を読ませる強い動機付けになりました。
残念ながら、その先には深みはなく、ロマンだけに終わった感じはします。
これをしっかり引き継いだ感があるのは高田裕三氏の功績でしょうか。

主人公の写楽くんの二重人格ぶりにも引き込まれます。
保護者役の和登さんは単なる同級生としては考えにくい程の面倒の
良さがあって、現代のドライな人間関係ではとても違和感がありますが、
手塚氏の希望に満ちた少年たちへのメッセージかもしれません。

手塚治虫氏の代表作品の一つといっても良いでしょう。


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[投稿:2017-11-26 07:03:01] [修正:2017-11-26 07:03:01] [このレビューのURL]

ドラッカーの啓蒙図書として考えるならば、最高の効果だと思います。
普通ならドラッカーに関心を示すのは、何とか黒字にしたい
儲けたい商売人だけでしょう。
漫画にされると、主人公が自分たちより絶対にマネージメントに
無縁な女子高校生なんだから、読んでみようかなあと
手に取りたくなるはずです。

この本は当時、それなりに話題になり、相当売れたと記憶しています。
ただし、内容的には結論めいたものはあまりなく、話題先行の先細りでしたね。


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[投稿:2017-11-19 10:33:31] [修正:2017-11-19 10:33:31] [このレビューのURL]

探偵が活躍する推理ものかと思いきや、半分コメディ、
半分料理・食べ物のウンチク、雑学知識漫画でした。

連載当初は、立派に殺人事件も起こっていたのですが、
いつのまにやら些細な小事件のお話に変わってきました。
「ミスター味っ子」「将太の寿司」の作者ですから、
元来料理・食べ物に深い知識があるためでしょうか、
面白いトリビアが事件の真相になっていることが多いです。

作家が本業の主人公高野聖也が毎回全開させる食欲は、
まさにマンガレベルで半端ありません。
回を追うごとに極端になり、14巻では漁船で
水揚げする魚を食い尽くす勢いでしたから、有り得ません。
主人公がボケなら、可愛い秘書出水京子はツッコミ役でした。

従来になかったテイストの探偵ものの面白さでした。

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[投稿:2017-11-17 07:30:02] [修正:2017-11-17 07:30:02] [このレビューのURL]

溶接施工を生業にした鉄工所の日々をマニアックにテーマにした漫画です。

溶接は過酷な作業環境と忍耐力が必要です。
主人公の北さんは、溶接の奥深さを誇りをもって道を求める毎日です。
テーマは明確ですが、鉄工所で起こるほのぼのとした毎日が
何とも言えない味を出します。

話は変わりますが、こんなに鉄工所では、真面目に品質と効率を追求して、
夜中まで汗と痛みに耐えて働いているのに、生活は楽にならず
経営的に厳しい所が多いのが現状です。

その原因の一つに、社団法人溶接協会が実施する溶接施工資格試験があります。資格に3年前後の有効期限があるのです。
しかも、溶接法の種類、溶接材料の種類、姿勢(下向き、上向き、立向き・・)等
無数に条件が細分化されており、それぞれ数万円の受験料が必要ですし、
資格維持のための練習コストはバカになりません。
例えば、お医者さんの医師国家資格は一生に一度合格すれば生涯資格は
有効ですし、眼科の専門家は循環器はさっぱり知らなくても医師として
開業だってできます。
この両者の違いは何でしょうか?
溶接協会は既得権を持って、この制度の簡略化は何十年も絶対に進めません。
この結果、日本国民はあらゆる鉄構構造物は欧米の同種のものの
コストの倍を支払うことになっています。
その高コスト体質は政府は知っていて、海外の企業の参入障壁を
高くして公共事業は発注できないようにしています。
全ては、溶接協会が元凶になっていることを知っているのか知らずか?

同様に検査業界にも非破壊検査協会というのがあって、ここは溶接以上に
悪者の巣窟になっていて、資格試験が自分たちの力の源泉であることを
公言して憚りません。

この作品では、その辺りの日本の鉄工業界の腐った構造には触れて
いませんが、一工員さんの立場では3Kでこんなに働いても儲からない
カラクリには考えは及ばないのでしょう。
何とも悲しいです。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2017-10-17 19:52:02] [修正:2017-10-17 19:52:02] [このレビューのURL]

中国の豪族劉家に仕える料理人、李三は、どうやら買われてきたらしい。
料理人といえども相当身分は低そう。
劉家、それも厨房・食堂と奥様の部屋以外の場面はほとんど出てこないけれども、時代考証や文化はしっかり検証されています。
文化庁の何とか賞にも受賞候補にもなったようで、さもありなんと納得いたします。

しかし、基本となるシナリオは、毎回同じ。
基本はドSの沈夫人が無理難題でドMの李三を苦しめ、一層美味しい料理を作らせてしまう。
このプロセスが1話完結の荒唐無稽なコメディになるというお話です。
当初は設定の面白さ、沈婦人の美しさと李三の料理の素晴らしさが対比されて、従来にない手法の漫画作品として楽しめましたが、4巻までがやはり限界でしたね。

ちなみに、毎回レシピと料理法が説明されており、立派なグルメ作品の一面も持ち合わせております。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2017-09-01 03:30:30] [修正:2017-09-01 03:30:30] [このレビューのURL]

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