「朔太」さんのページ

総レビュー数: 819レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

1球ごとに投手、捕手、打者の心理、思考を追いかける野球漫画です。
野球の奥深さを言葉にして追いかける内容に、とても新鮮に感じました。
特に、制球は抜群だが球威や球速は凡人の投手を最大限に
生かす捕手の手腕が興味深く感じられます。

1年生だけの新興チームが夏の大会から夏合宿、新人戦、秋大会
1回戦まで来るのに、23巻まできました。
1球ごとの解説、試合が始まれば練習試合でも全イニングを
進める展開では、はっきり言って遅すぎます。
ドカベンを見習ってもらいたい。
このままでは高校を卒業するまでに100巻かかりそう。

一方で、個別練習、合宿や他校との合同練習、甲子園大会への
経験旅行、文化祭への取り組みなど通常描かれない高校生の
普通の生活を細やかに描いており、独特の世界観を醸し出しています。

作者は女性ながら玄人はだしの野球に対する理解を示して
いるだけでなく、普通の高校生の野球生活を興味深く
描いており(ザワさんにも通じる面白さ)、新たな野球漫画の
境地を開拓したとも言えます。


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[投稿:2018-10-15 18:51:27] [修正:2018-10-15 18:51:27] [このレビューのURL]

響子さんが霊能者をかこつけて(本人は一言も霊能があるとは言っていない)、数々の困りごとを解決します。
強きをくじき弱きを助ける義侠心溢れる響子さんです。
何といってもその美貌と巨乳ぶりが作品の半分の価値ですね。
また、ライアゲームほどのトリックや心理戦の輝きは
なかったけれど、軽い数字のマジックやマジックネタくらいの
騙しの驚きは魅せてくれました。

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[投稿:2018-10-04 03:03:07] [修正:2018-10-04 03:03:07] [このレビューのURL]

2巻を2時間程度で読み下しますと、一編のホラー映画を
見させて頂いたという感じです。
子孫を根絶やしにするという怨念をもった彷徨える怨霊と
対峙する少女の美しさは、しっかりと映像化に値すると思います。
例えば、50年間霊を鎮めるために山寺で籠りをしてきた僧が、
「私は徳を積めたでしょうか?」と少女に問いかけるシーンでは、
少女は「モチロンです」と答えます。
その姿に僧は菩薩を見ます。このシーンは美しく、高橋ツトムの
渾身の描画だと思いました。映画なら一番の見せ場でしょうか。

ところで現世は修行であって、徳を積むために生まれ変わって
くるという輪廻の教えは、仏の立派な知恵ですね。


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[投稿:2018-09-03 19:39:57] [修正:2018-09-03 19:39:57] [このレビューのURL]

少年向けの幼稚さと大人向け高度なファンタジーが同居した
独特の世界感が特徴です。

幼稚さは、
1.SF的な要素に科学的根拠は全く考察されておらず、
宇宙は想像もできないことが起こるのだという説明で全てが
語られていること 
2.毎回のお話がほとんど同じ展開であり、登場人物と惑星だけが変化する
3.メーテルに代表される美人は、描き分けられることがない
ことに起因するものと思われます。

一方、既成概念の宇宙船は全く現れないし、人類の失敗を
比喩的に批判した主張があること、主人公鉄郎は相当の
ブ男にも関わらず、登場人物全員に支持されており、
むしろ英雄視されている、そのことで、全ての男性に
受け入れやすいファンタジー基盤が存在します。

松本零士氏は、著作権に相当拘る方だそうですが、
もともとは宮沢賢治とメーテルリンクの世界感を踏襲した
わけで、その主張もやや弱く感じるのは私だけでしょうか?
本当に鑑賞に堪える作品に仕上げた映画版やTV版の貢献も
大きいように思います。

少年キング誌が廃刊直前の5年間程度、最後のヒット作品として世に出ました。
結論として少年誌においては、独特の世界感を漫画で表現した
貢献は認めざるを得ません。

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[投稿:2018-07-24 02:26:00] [修正:2018-07-24 02:28:23] [このレビューのURL]

社会の歪、それも都会の底辺から見た視点、大衆の迎合的
醜悪さを表現するに、特筆すべき技量が見られる高橋ツトム。
2000年前後で活躍した作家の中では沙村広明とともに好きな作家さんです。

本作でもしっかりとした構想を持って連載をスタートしたと想像できます。
死後にすら現世に未練を持つ人生模様を描くのが主題と思われます。
続編もあるようなので、続けて読んでみたいと思います。

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[投稿:2018-07-12 03:22:13] [修正:2018-07-12 03:22:13] [このレビューのURL]

カクテルや酒の薀蓄が際立っているので、そちらに目が
奪われますが、本質的にはヒューマンドラマなんですね。
訳アリ、人生に疲れたお客が来るバーで、細やかな
観察眼で癒しの空間を提供するのがバーテンダー。
佐々倉溜が作る神のグラスは、いわば病んだお客さんへの
薬剤レシピなんです。
みんな傷を癒して帰っていく。

プロのバーテンダーは確かにパーフェクトな匂いが恰好良いですよね。
読後は毎号、酒を飲みたくなりますね。
めったに行かないバーにも行きたくなります。

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[投稿:2018-06-26 19:47:34] [修正:2018-06-26 19:47:34] [このレビューのURL]

中々の力作ぞろいの短編集。
背景も登場人物も毎回全替えして、あらたな短編を
揃えている力量は立派なものです。
何といっても女性の魅力を表現できる力が特筆ものですね。
「もやしもん」の面白さの原点が、ここにあるという感じです。


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[投稿:2018-06-12 19:13:58] [修正:2018-06-12 19:13:58] [このレビューのURL]

終盤の怒涛の展開で、人生賛歌という結末で救われます。
「幸や不幸はもういい。どちらにも等しく価値がある。
人生には明らかに意味がある。」
けだし名言です。

・・・しかし、私は残念ながら、終盤に至るまでの
ほぼ全編での森田幸江の悲惨な人生を全く笑えないし、
彼女にまとわりつくダニのような男たちイサオや父親に
寛容には全くなれません。
したがって、ギャグマンガとしてほとんど読むに堪えない気持ちでした。
途中で放り出したくなるような気持ちですが、
泣ける漫画というコピーだけを信じて最後まで読み通しただけです。

それでも、それでも、人生には意味があると、業田良家は言うのです。
本当にそうでしょうか?
自分の子供や妻にさえ不幸を呼び込む男、女。
そんな人間とも呼べない生物たちに囲まれて生きる
人生って意味があるのでしょうか。
そんな風に自問自答しながら何十年と生きた挙句に、
熊本さんとの再会があって、その瞬間だけ「生きてて良かった」と
思う幸江の物語でした。

熊本さんは、さらに磨きをかけた孤高の人でした。
人生いろいろ、男も女もいろいろ、という言葉を思い浮かばせる作品でした。


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[投稿:2018-05-28 20:12:50] [修正:2018-05-28 20:12:50] [このレビューのURL]

人により大きく評価の分かれる作品ですね。
剣心の“贖罪の日々”の現在と“人斬り抜刀斎”の過去との対比、
周りを固める脇役の個性に惹きつけられるものがあります。
よってキャラの魅力に重きを置く人には、評価が高くなります。

新選組を中心とした幕末の志士と対立軸、明治維新の光と影、
混乱期と揺籃期など明治時代の歴史的背景を面白いと感じた
少年たちは、きっとその後歴史小説を読み漁るに違いありません。
そんな少年少女には教育的効果は抜群だったと言えます。

分かり合えない剣士たちの最後の決着方法は、剣技による
バトルだけです。
その単純さは少年誌ならではです。
そこに「殺さず」や「悪・即・斬」などのポリシーを持ち込み、
牙突などの剣技で上手く脚色したバトルを見せます。

ドラマとして見れば、主人公剣心の幼児性的性格に
小さな破たんが見られ、大人には鑑賞に堪えません。

というように、人によって何を重視するか、何が面白いか、
足りないと思うかによって評価が変わりそうです。

私は、それぞれの良いところ足りないところを平均した評価となりました。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2018-05-07 18:15:38] [修正:2018-05-07 18:15:38] [このレビューのURL]

少年期にお好み焼き屋に行けば、これを読みつつ食べる豚玉が
最高に美味しくなりました。

グルメ漫画の第一人者、料理漫画のさきがけとレジェンド視される
ビッグ錠先生ですが、既に相当アバンギャルドな創作料理や
有り得ない料理人が続々登場しています。

約45年前ながら、戦う料理漫画としてあまり劣化していない
すごい作品だと思います。


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[投稿:2018-03-03 15:06:09] [修正:2018-03-03 15:06:09] [このレビューのURL]

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