「朔太」さんのページ

総レビュー数: 820レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

命が尽きた時、人は動物はどうなるのだろう。
絶対に答えがないために、人は死後を恐れ理想郷である
天国や極限の恐怖である地獄を妄想している。
日本人の根底には、実は強い天国と地獄絵図がイメージ
されており、日ごろの勧善懲悪の思想や行動の原理に繋がっている。
言葉にはしないが、日本人には共通の死生感が存在するのである。
スカイハイは、共通の死生感を巧みに利用し、上手い
設定を生み出した。

「怨みの門」は天国と地獄の分岐点にある。
自殺や殺人を犯した人間は、文句なく地獄。
殺されたり不慮の事故で亡くなった人間だけがここに来る。
したがって、基本形は「怨み」を持つ魂の浄化のための門。

あとがきで高橋ツトム自身が記しているが、
世の中のあまりにも浮かばれない被害者の怨みに
焦点を当てた展開を構想したらしい。
しかし、案外怨みを超えた救いのお話が多くなっている。

やっぱり日本人の死生感にマッチするのは、怨みを浄化
してこの世からあの世は気持ち良く旅立ちたい。
つまり救われたい。
シリーズ3回目の本編では、それがテーマになってきた印象である。

相変わらず絵は上手い。
特にやくざや怨み顔を描かせれば、この作者の右に
出る者はいない感じだ。

ナイスレビュー: 2

[投稿:2018-12-18 17:28:20] [修正:2018-12-18 17:28:20] [このレビューのURL]

各世代でお世話になった超長期連載漫画です。

安定したテイストながら、10代青少年のための
入門編教科書というか、知識偏重の匂いがします。
長い連載を振り返ると、無知な男女の出会いから
成長する夫婦物語と言えば言えるのですが、
いつまでたっても初心な感じです。
シニカルに言えば、一定の役割を果たしていると
思われる教育的漫画でしょうか。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-12-15 06:36:05] [修正:2018-12-15 06:36:05] [このレビューのURL]

あだち漫画と同じく、お約束の匂いがすっかりしていた
時代の星里さんの作品です。
美人4姉妹と同じ屋根の下で同居ですから、事件が
起きないはずがありません。
毎日、家に帰ってくるのが楽しみですよね。
良き時代のハートフルコメディ、って感じです。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-12-12 18:01:35] [修正:2018-12-12 18:01:35] [このレビューのURL]

テーマをSMだけに絞って、雰囲気のある長期連載シリーズ
によく仕上がっています。
これだけ長く続くとは思わなかったので、感心しています。
読者もエロに対して成長を促す作品かと思います。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-12-08 06:35:17] [修正:2018-12-08 06:35:17] [このレビューのURL]

原作が昭和12年の本にもかかわらず、発売半年で200万部
突破のベストセラーとなったそうです。
ジャーナリストの池上彰、コピーライターの糸井重里も
絶賛、ジブリの宮崎駿は映画化するといいます。
明治生まれの児童文学者が、子ども向けに書いた原作が
平成最後の時代に大ヒットする現象が、さらに話題を
呼んで関心が拡がっているように思います。

基本は問題提議の書です。
小学生のコペル君の体験は我々にも普遍的な体験です。
世の中には、悪が対岸にあって突然に正義を貫く
苦しみが天から降ってきます。
自身は絶対に悪には手を貸さないと固く誓っていてもです。
それは仕方ないことと棚上げしながら、多くの人は
大人になり、力を得ることが先決と言って死んでいく
ことを繰り返しています。
そんな人生の末路を多くの人が、何か違うと感じているのですね。
これは人間の悩みの一つの例示なのでしょうが、
案外普遍的な気もします。

考えても考えても答えはありません。
自分を人間分子として小さな存在と位置付けた上で、
生産関係である世界、宇宙の中で、それでも自分で
自分を決定するしかない。
そんな風に結論づけています。

明治から大正、昭和、平成と世は変わっても、
人はあまり変わり映えしないということでしょうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-12-04 23:17:32] [修正:2018-12-04 23:27:24] [このレビューのURL]

6点 女帝

男に裏切られた悔しさを糧に成り上がる。
女の意地、虚勢が常に根底にあります。
水商売の原点とした昭和のステレオタイプです。

今でしたら手っ取り早くキャバクラでトップスターになるでしょうね。
スキルは必要ないし、女の戦いも競争もない。
平和な時代になったものです。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-11-13 18:12:35] [修正:2018-11-13 18:12:35] [このレビューのURL]

書道漫画という売りがアピールされていますが、
地味な高校生の文科系部活動をテーマにする難しさを
上手く消化しています。

主人公のキャラ立ちも恋愛模様も競技的な対決、勝負の
行方も、それぞれ中途半端な地味さなので、本来なら
1,2巻で途中打ち切りが妥当なテーマ選定でしょう。
しかしながら、どんどん先を読みたくなる魅力は、ごく
普通の高校生の日常会話、生活がハッピーにみえることですね。
特段のできごとが起こらない何げない高校生活は、
読者の共通体験かもしれません。

欠かせないのは、脇役の部員たちですが、特に3年生先輩女子でした。
ヒールのような一面も見せますが、嫌いになれませんでした。

書道に対する知識、薀蓄は事前調査、取材が半端なく
充実していますので、それなりに楽しめました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-10-29 18:35:26] [修正:2018-10-29 18:35:26] [このレビューのURL]

1球ごとに投手、捕手、打者の心理、思考を追いかける野球漫画です。
野球の奥深さを言葉にして追いかける内容に、とても新鮮に感じました。
特に、制球は抜群だが球威や球速は凡人の投手を最大限に
生かす捕手の手腕が興味深く感じられます。

1年生だけの新興チームが夏の大会から夏合宿、新人戦、秋大会
1回戦まで来るのに、23巻まできました。
1球ごとの解説、試合が始まれば練習試合でも全イニングを
進める展開では、はっきり言って遅すぎます。
ドカベンを見習ってもらいたい。
このままでは高校を卒業するまでに100巻かかりそう。

一方で、個別練習、合宿や他校との合同練習、甲子園大会への
経験旅行、文化祭への取り組みなど通常描かれない高校生の
普通の生活を細やかに描いており、独特の世界観を醸し出しています。

作者は女性ながら玄人はだしの野球に対する理解を示して
いるだけでなく、普通の高校生の野球生活を興味深く
描いており(ザワさんにも通じる面白さ)、新たな野球漫画の
境地を開拓したとも言えます。


ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-10-15 18:51:27] [修正:2018-10-15 18:51:27] [このレビューのURL]

響子さんが霊能者をかこつけて(本人は一言も霊能があるとは言っていない)、数々の困りごとを解決します。
強きをくじき弱きを助ける義侠心溢れる響子さんです。
何といってもその美貌と巨乳ぶりが作品の半分の価値ですね。
また、ライアゲームほどのトリックや心理戦の輝きは
なかったけれど、軽い数字のマジックやマジックネタくらいの
騙しの驚きは魅せてくれました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-10-04 03:03:07] [修正:2018-10-04 03:03:07] [このレビューのURL]

一度でも負ければ即引退、の宣言から始まる極限状態での格闘技型相撲漫画です。

播磨灘の奔放なワンマンぶりは、回を増すごとに拡大し、オーラを感じるくらいです。
セリフもその内なくなってしまうのは、喋らない王者の方がすごみがあるのですね。

一戦ごとに敵役の覚悟や本気ぶりの背景をキチンと示して戦いを盛り上げた後に
決戦となりますので、何といっても取り組みが楽しみになるわけです。
もちろん負けたら終わりなので、播磨灘が負けるわけがないのですが、
それでもワクワクドキドキの格闘技の真髄が味わえました。

相撲協会を否定する一力士の反乱としても、今では荒唐無稽ではない話ですし、
相撲自体も有り得ない勝負ではない現実味のある範囲で、これだけ楽しませてもらえました。
一生記憶に残る漫画でした。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2018-10-01 20:13:20] [修正:2018-10-01 20:13:57] [このレビューのURL]

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