「朔太」さんのページ

総レビュー数: 820レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

シュールというかフェチというか、絶対に人によって
好みが分かれる。
安田弘之氏の他の作品でも所々に遭った独特のギャグの
エッセンスが凝縮している。
女子高生というより、女性全体の素をよく観察している。
いや、そんなはずはない。
この作品に出てくる生態を他人に暴露する女性はいないからな。
でも、いわゆるあるある事典的な生態を笑うのではなく、
愛してやまない人なんだな。

3巻全部を一挙に1時間かけないで読んでしまった。
スルスルと読めるのもありがたいけど、描いた方の苦労は
大変だったろうに。
漫画らしい漫画というか、これは漫画以外の手段では
この世界の面白さ、人間賛美は表現できない。
その点で、とても記憶に残る作品だ。

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[投稿:2022-06-30 07:00:11] [修正:2022-06-30 07:00:11] [このレビューのURL]

作風が森薫さんと比較されがちです。
1世紀くらい前の時代に郷愁を感じますね。
1巻辺りは、13歳のお嬢様の冒険が何かを予感させる展開です。
しかし、巻が進むにつれて展開はさほど盛り上がらず、淡々としたものです。
奥行きは小さく、主人公ジゼルの子供っぽさにも成長が感じられません。
5巻を買って読みましたが、やや期待外れな感じが否めませんでした。

そんな中、第27話「鶯 鳴かせたこともある?」は、秀作でした。
大人の薫りが強くでた作品だと思いました。
体調不良で休載中とのことですが、ご回復を祈ります。
次の作品に期待したいと思います。

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[投稿:2022-06-27 08:00:02] [修正:2022-06-27 08:00:02] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

動物と人間の融合バトルもの。
巷には、この種の作品が氾濫しているらしいが、
私にとっては新鮮だった。
しかし、その私ですら繰り返される本能的戦闘シーンには、
意味がほとんど感じられず、腹一杯になってくる。

アリクイと熊とラーテル(初めて知った動物だが、この
作品では最強の主人公)が戦って、どいつが強いなんてのは、
コジツケだろう。
ストーリー全体に大きなうねりはなく、ひたすらランダムに
戦闘シーンが始まるのだ。
人によってはシンプルで良いかもしれないが、私は
それほど単純ではなかったようだ。
月刊ヒーローズという雑誌は知らないが、少年誌だろうから許容範囲かな。
絵も上手いし。
残念ながら、私は11巻で限界に到達したので、撤退だ。

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[投稿:2022-06-25 11:46:52] [修正:2022-06-25 11:46:52] [このレビューのURL]

7点 POP LIFE

猫の看取りの回、それから未来永劫続くかのような
同居生活が突然解消されて、ドイツに単身移住する
最終回など、とても印象的でした。
南Q太さんのプロフィールを知ると、作品中のできごとが
自身の生活と重ねてあることが分かります。
人生にいろいろあっても、前向きに過ごされている
感じが伝わってきます。
女性ながら男前な生き方だな、と気に入っています。

また、心のつかみ方が柔らかく温かいしっかりした
感じが好きです。
小さな失望や失敗や挫折の積み重ねで人間関係に
疲れてても、読めばきっと元気になれること、請け合いです。

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[投稿:2022-06-18 09:26:08] [修正:2022-06-18 09:26:08] [このレビューのURL]

9点 MAJOR

[ネタバレあり]

少年誌連載の高校野球漫画といえば、ドカベンやキャプテン、名門第三野球部、4P田中君などです。いずれも高校野球大会を予選から順番に強敵、ライバルたちと凌ぎを削って、何とか勝ち上がっていきます。
さらには、その先にさらなる強敵が待っていて、これを順番に倒しては、これを繰り返していくパターンが定着していました。そういう意味では、本作品は少しはずしつつも、王道路線を守っているような二面性をもっていますね。

MAJORというタイトルから想像してしまうのは、最終的にはメジャーリーグを目指すんだろうと思ってしまうのですが、幼少期、リトルリーグから始まって、とにかく長い歩みです。
中学に上がる頃にはすでに、肩を壊していますから、これからどっちを向いて展開するのだろうかと心配になるほどです。
中学では軟球野球はやらないと言いつつ、結局どっぷり時間を費やし、高校進学にあたっても名門海堂高校を巡って二転三転で、とんでもない長期化の原因になります。
ただし、首尾一貫して、主人公茂野吾郎のスタンスが変わらず、一球入魂というか、自身の選手生命を顧みず、常にその時の目の前の敵と全力で戦うことを優先しています。
最初から、プロ野球もMAJORも、ありきではないのですね。
他のライバルたちは、ほぼ全員がプロ野球選手になることを視野に入れて、現在の野球に取り組んでいました。
その差が、吾郎の魅力となっています。

長期連載でしんどいかと言えば、これがそうでもなく、一話を読めば、必ず続きを読みたくなるような仕掛けがしてあります。
この辺りは、極めて巧妙であり、連載漫画としては最高の出来ではないでしょうか。
私は、聖秀高校編を終え、マイナーリーグ編の途中まで読みましたが、50巻近くを息つく暇もなく、一気読みさせられてしまいました。
面白い作品だと思います。

<追記>
なんとか78巻最終話まで読み切りました。超長編ですが、他の長編漫画よりは最後に至る展開がチャンと思い出せます。要するに、高校は高校でプロはプロでキチンと区切った展開があるんですね。
W杯でのライバル出現によりMAJORでの戦いが鮮明になってきます。最後のワールドシリーズでの展開も最高の盛り上がりでした。最終話へのまとめ方も腹に落ちるものでした。吾郎の性格、姿勢、考え方は連載開始から終始一貫しており、ブレがありませんでしたね。最終話でも強くそれを感じました。少し粗忽な吾郎ですが、美しさを感じさせました。長編ものの終わり方としては最高点をつけられると思います。ということで、1点加点致します。


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[投稿:2021-08-28 08:12:06] [修正:2022-06-15 10:31:10] [このレビューのURL]

ほのぼの系の癒し漫画です。
「流れ板竜二」、「板前鬼政」、「花板虹子」と同じ
作者とは思えないほどです。
私は囲碁はルールを知っている程度の素人ですが、
碁のことは何も知らなくても、全く関係なく楽しめます。
笠太郎さんはご自身も相当の碁の腕前だそうですが、
碁というものがこれほど人の心に働きかける力を持っているのか、
と碁を習ってみたいかもという気持ちも湧いてくる作品です。
落語の世界のような味わいもあります。

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[投稿:2022-06-11 09:29:36] [修正:2022-06-11 09:29:36] [このレビューのURL]

怪談やホラーで名をはせた上野すばるさんのステップアップ作品です。
ベースにはちょっと不思議な超能力があるのですが、
怪奇ものではありません。
どこかでよく似た怪奇ドラマがあったような気もしますが、
一定の品質が感じられます。

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[投稿:2022-06-04 08:49:50] [修正:2022-06-04 08:49:50] [このレビューのURL]

前作は8巻で突然休載されてしまいましたが、とても
満足度の高い作品でした。
最近、続編が本作品の形で出ていることを知り、探して読みました。

1巻辺りは、全作品の焼き直しのような形で、誰のための
繰り返しかと残念に思いましたが、中盤から中学生になり、
将棋への熱意と勝てないプレッシャとの板挟みになる
展開が待っています。
しかし、決してグッドエンドでなくとも、何か爽やかさが残る
雰囲気を醸し出す良さがあります。
前作休載の理由についても、あとがきに掲載されており、
良い作品だったけれど、隠された苦労があったことを知りました。
また、チャンと続編としての結末を描いて下さったことに感謝します。

南Q太さんの作風は好みです。
他の作品も読んでみたいと思います。

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[投稿:2022-05-30 09:08:55] [修正:2022-05-30 09:08:55] [このレビューのURL]

10点 キーチ!!

新井英樹氏の作品には、ただならぬ熱を感じる。
ページをめくる度に、発散する熱気を顔に浴びる感じである。
その熱気が無駄に暑苦しく、不愉快に感じることもあるが。

社会の中で生きていくための鎧をまとうことを生まれつき拒否する異端児キーチを当初は本能的に毛嫌いしていた。
反社会的で、周囲の人間に迷惑をかけ続ける人間性に嫌悪を感じるからだろう。
一方で、こんな生き方に憧れを持ちながら。
後に、幼少期の子供はこれでいいかもと思えるようになるが。

前半4巻までは、人間キーチの原型ができるまでを長々と説明している体だが、ここが大切なパートである。
「パパがいてママがいて、キーチがいる。・・」のフレーズは、最終回まで持ち越された。
本能のまま生きる幼児期は、ノーの意思表示は暴力しかない。
少年期になれば、「俺に近づくな」と警告できる知恵がつく。
しかし、人間の原型のまま、社会で他人と上手くやって、すり合わせながら生きることを拒否するキーチ。
ひとりで生きることを宣言して、それを貫くために暴力を選ぶしかないキーチ。
私たちに、一人で生きることの覚悟を突きつけるキーチ。
多くの人は、安全に守られる社会に生きる代償として、搾取や権威に従うストレスを我慢する。
これを選ぶ以上、我慢する。
一方で、文句を言うなら一人で生きる覚悟が必要だ。
キーチが我々に問うているのは、この覚悟があるかどうかだ。

後半5巻から、怒りの矛先が目の前の醜いものに向けられる。
この世で醜いものが見えることに我慢がならないと言う。
権力に真正面から刃向かう少年たち(キーチ&甲斐)の姿は、やや荒唐無稽な気もするが、少年だからこそ可能な純粋なレジスタンスは、本当にあっても良いと思った。
才ある少年は、凡庸な大人には二度と追いつけない選民なのだから。
個人的には第61話が心に沁みた。
親は自身を乗り越えていく子供に捨てられることを喜ぶべきか。

読み終えたところで、考えよう。
社会悪と戦うカリスマヒーローを描いた作品?
いや違うだろう。
奇跡を起こしてしまうから、思い違う読者もいるだろうが、それは漫画としての演出だ。
最終87話でちゃんと甲斐が言っている。
損得勘定で多数派が涼しげにしたり顔で作る嘘くさい民主主義社会の限界に、皆気づいているのに、抵抗するすべもなく受け入れる醜悪さ。
それどころか、体制側に法の範囲で迎合する者こそ、勝者と言わんばかりの小狡い小市民が支持するから、一層、偽の民主主義社会が悪循環でどんどん腐っていく。
そんな社会への反撃、革命への飢餓感を表現している。

分かりやすく言おう。
クラスや職場にいじめがあったとして、あなたは「そんなくだらないことは止めろ」と被害者のために声を上げることをする?
半分以上は見て見ぬふり、酷いのは加害者に間接的に加担する奴まで現れる。
あなたもその一人だろう?
なんで、そんなことになるの?
見て見ぬふりは違法行為じゃないから?
いじめもいじめへの加担も、証拠がなければ違法じゃないから?
たとえ被害者に一生消えない心の傷を与えたとしてもね。
誰も問題の解決策を持っていない。
これが多数派の作ったニセの民主主義社会なんだ。
その時に感じるのは、無力感だったり、閉塞感だったり、人によってはこれが大人の社会だ、なんてね。
あるいは、それならそれで学歴なんかの力をつけて、逆に利用してやってやれ、って開き直る。
いや、正しいのは、そこで「いじめなんか止めろ」って声をあげるという、簡単なことなんだけどねえ。
キーチの行動は、教師を含めたクラス全員を殴ることだった。
「ここのところを、ちゃんと理解してるか?みんなで迎合して醜い社会の一員になるくらいなら、ひとりで生きろ」とキーチは本能的に主張している。

極めて根源的な問題を通して、文学的、哲学的に気づきを与えてくれる作品として、大きな感銘を得た作品。
新井英樹の問いかけに、君はどう応えるか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2022-03-05 10:07:16] [修正:2022-05-21 08:53:22] [このレビューのURL]

8点 死役所

設定の面白さが群を抜いています。
人が死んだ経緯をネタに、ほとんど無限に人生ドラマ
が描けそうです。

死後から振り返った人生の振り返りをするパターンが
多くて、上手く生きたいのに上手くいかない不運な
人生や自分勝手で思い上がりの強い人生や様々な
人生模様の多様さに気づきます。
良く生きるより善く生きることが大切だということが
死後の世界から見えるんですね。
48条しるし、が特に心に響きました。
死後の世界が本当にこんな風だったら、もっと気楽に
生きていけそうだなと考えたのは私だけでしょうか?
「87条お先に」では感じ入ります。
死んで生きたことを思い出すことがあれば良いのですが・・。

作者のきしさんは、大変な苦労人で40作品ほどの投稿を
した上で、本作品で初めての連載を獲得されています。
絵は、細線だけを使ったモノトーン風で、個性的です。
一作一作が丁寧に練り込んでいる印象があって、好感が持てます。
善悪の判断は読者に投げていますが、様々な人生ドラマの
面白さを提供してくれました。

私的には、巻末にある業務報告書と題されたエッセイ漫画が、
気に入っています。
さくらももこさんに通じるユーモアセンスと洒脱さがとてもよろしいです。
現在19巻まで出ていますが、長く連載が続けばと思っています。
18巻まで読みました。

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[投稿:2021-09-09 07:35:06] [修正:2022-05-21 08:46:08] [このレビューのURL]

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