「朔太」さんのページ

総レビュー数: 820レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

7点 JUDGE

[ネタバレあり]

映画「Cube」に似せた設定で、拉致された9名の中で10時間ごとに1名ずつ死ぬべき人物を
互いの多数決で決めなければならないという極限状況から始まります。
逃げ場がない、全員が揃っていること、多数決であることで、疑心暗鬼の状態が作られます。
過酷な選択を迫られ続ける中、生き残り4名を目指すメンバーですが、このゲームは
一体だれのためのものでしょうか?

最終巻では全容が破綻なく説明されることになって、数時間一挙読みの私は一応の
満足を致しました。映画化もされたようですが、とんでもなく非現実的でもない
設定ですので、あなたの身にも起こるかもしれない恐怖は残ります。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-11-01 17:34:23] [修正:2015-11-01 17:34:23] [このレビューのURL]

毒素に汚染された魚介類を摂取することで発生する食中毒が、シガテラの意味だそうな。
連載当初から、青春時代を食中毒状態に例えた日常と非日常を描こうとしていたんだと
読後に気づかされた。
その毒の部分が不快極まりなく(谷脇のパシリが永遠に続くような絶望)、1巻読後に
放り投げてしまいたくなったけれども、2巻以降の南雲さんとの出会いで救われた。
「この幸せは平和の下に成り立っているんだな。確かに選挙に行かなくっちゃ。
頼むよ、この国のエライ人たち。もっともっと平和な国にしてください。」と
無表情で幸せの絶頂ぶりを語らしせしめる。

その上で来ました伝説の最終回。
青春ってそうだような、大人になる階段を上がるってそうだよな、と自分に重ね合わせた
日本人は何万人といるんじゃないか?

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-10-11 14:10:21] [修正:2015-10-11 14:12:25] [このレビューのURL]

ローマ時代の風呂文化に関するウンチクがベース。
実際、作品には解説文章が2-4ページが付きます。
当時、新聞書評でも取り上げられるほど話題になり、映画化もされました。
古代人が現代日本の風呂文化に触れると、こんな驚きになるということがギャグになっているわけですが、そんなに面白いですかー?
途中4巻で頓挫しました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-10-08 00:59:44] [修正:2015-10-08 00:59:44] [このレビューのURL]

一言で言えば、ビジュアル化された純文学。太宰治に通じる系譜を感じる。

小野寺雄一も含めたプン山一族は全員、自殺願望を抱きながら一縷の希望を人生に
託している。閉塞感と将来への未期待で全編が覆われていて、人生の重い課題を問う。

一方で、優れた画力が有りながら、思い切った主役一族の簡素化表現で奇抜さを装う。
その点で、芸術性は十分であり、インテリ読者だけを囲い込む。

こんな手法があったのかと驚いている内に、プンプンの人生に読者も関わりを持たされた
感じがする。読後感は良くないが、南場サチの菩薩に通じる母性で救われる。
シナリオの上手さで読まされる。一読をお勧めする。
13巻読破。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-07-03 00:26:26] [修正:2015-10-04 18:01:12] [このレビューのURL]

屈折した青春恋愛群像。そんなに難しく考えなくてもヨロシイのでは?が素直な感想です。ハイ。

作者があとがきで「全体は構想していたが、前半を端折って後半だけを描くと、
編集担当から前半を描くよう指示された。端折ったことがばれていた。」とあるように前後半で、前提とする感情の背景の違いを感じる。
ヒロインに振り回される前半の主人公がクールに振る舞えるのに、後半では妙に
傷つきやすくなっている。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-23 15:02:04] [修正:2015-09-23 15:02:04] [このレビューのURL]

4コマギャグ漫画の形式をとりつつも、実は良き日本女子高校生の日常を気持ち良く表現した
シナリオ漫画とお見受けした。実際、1年生ではキャラの紹介レベルのエピソード集だが、
全体を通すと恒例のように夏休みには別荘合宿に出かけているし、文化祭も毎年
喫茶店で、運動会ネタも変化はなく、進学校らしき背景にブレがない。
女子高生に有りがちな恋愛談義は一切なく、教師も基本女性でキャラが立つ。

3年生時点では感情移入が完了していて、最終段近くには全員の大学合格を祈らずには
いられなかったし、13歳の天才少女の首席卒業を全員が拍手で祝福するシーンや
猫好き少女と西表ヤマネコの出会いと再会には感動する。

愛すべき少女たちの原型は、きっとあなたの身近にも潜在的にいたはずで、ここを
上手く描いてくれた男性作家のあずま氏には感服した。一押しです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-09-06 18:14:26] [修正:2015-09-06 18:15:12] [このレビューのURL]

小島剛夕は手塚治虫と同じ日に生まれているのはあまり知られていない。
全く異なる劇画の世界での手塚とは異なる意味での先駆者だった。
小池一夫との共作で、多くの名作を世に出したが、本作品はその代表作と言える。

徳川家康を支えた伊賀一の忍者服部半蔵の物語だが、他の忍者ものの代表作品
(白土三平「サスケ」「カムイ」、横山光輝「伊賀の影丸」「飛騨忍者赤影」、
小山ゆう「あずみ」他)とは一線を画する大人のテイストである。
忍者・武将の戦いをベースに、主従の美しさ、男女間の間合いの美しさ、戦国武将の知略
など見どころ満載である。
漫画読者ではなく「週刊現代」という土俵で(一般的に漫画を読まない)サラリーマンを
対象とした読み物を意識したのではないか。
後世に残したい名作の一つである。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-27 05:20:22] [修正:2015-08-27 05:21:03] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

ゴルフを人生になぞらえた格言は数多く残されていますが、織部金次郎は17年の下積みでも
一向に目が出ません。17年間を支えた妻子もついに離れていきます。
主な原因は、オリキンの人の好さ。メンタル重視のスポーツで、自分のことより周囲を
優先して思いやる性格はプロには向いていません。
しかし、それでもオリキンの周りには、彼のひた向きさ、誠実さに心動かされ、
心底応援したくなる人たちが集まってきます。読者もいつの間にか、こんな優しく善良な
人間が不幸でいるのは見ていられなくなり、頑張れがんばれと応援します。

最終巻では努力が報われるエンディングで、予定調和と言えばそれまでですが、
とても爽快な気持ちにさせられます。
人生はこうでなくては、と納得して読了しました。

ぜひ読んで下さい。名作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-22 16:04:06] [修正:2015-08-22 16:04:06] [このレビューのURL]

妖怪を題材にした漫画は、水木しげる御大の大ヒット作品をはじめ、数多くあれど
人間と対決したり退治したりと、敵対関係にあるのが一般的でした。

見えること、憑きやすい体質で悩み苦しむ(都会の親と一緒に住めない、行動範囲が
限られるなど)姉妹ですが、病気のような感覚で運命と受け流しています。
母親にすら理解されない、親戚には狂人扱いを受ける不遇にも腐らず、運命を享受し
制約の中で懸命に生きようとする姉妹の姿勢が爽やかなのです。

気持ちの良い姉妹の毎日が主題であって、妖怪や霊が主題ではないので要注意です。
今が不幸せと感じている人へのヒントになっているかも。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-15 11:30:56] [修正:2015-08-15 11:32:14] [このレビューのURL]

一言でいうと、「心地良い日記風ラブコメ仕立てのホームドラマ」かなあ。
探偵っていっても、ほとんど仕事がなく、バイト三昧ですからね。
ハラハラドキドキの場面は、探偵物語なのにほとんど出てきません。

心地良さの理由は、シャーロキアン(ホームズオタク)で変人で極貧だけど男前の探偵の
魅力と、涼子さん、大家さん、イワオなどの脇役キャラの醸し出す雰囲気ですね。

全巻読破。シナリオで読ますというより、キャラで読ます作品でした。
極貧でも、面白可笑しく生きてさえいれば、人生は捨てたものじゃない、って感じが
好感度を上げている気がします。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2015-08-09 08:55:20] [修正:2015-08-09 08:55:20] [このレビューのURL]

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