「朔太」さんのページ

総レビュー数: 821レビュー(全て表示) 最終投稿: 2010年01月09日

男子バレーボールをテーマにした漫画は意外と思い出
さないけれど、これは代表されるものになるかもです。

作者の古舘氏は高校時代にバレー経験があることが、
相当下地になっていて説得力があります。
少年誌にありがちな必殺技は、変人速攻くらいのもので、
あとは努力の積み重ねで得られる得意スキルとなっています。

何と言ってもキャラの立ち方が本作品の魅力です。
主人公の日向ですら、完全無欠には程遠い能力も
人格も未発達な脇役の一人に思えるほどです。
しかし、それぞれの脇役の特徴、得意スキルが読者に
しっかり伝わってきており、烏野高校バレー部の
一員のような感情移入ができます。
プレーそのものや勝ち負けへのこだわり以上に、
チームとしての絆や仲間を嬉しく思う部活の魅力が
上手く表現されています。

難点を言えば、最初から長期連載が保証されていたのか
(そんなことあるのか?)、展開の進め方が異常に遅い。
日常の練習風景や部員勧誘など少し興味を失いがちです。
その結果、ライバル高校ならびにそれに伴う登場人物が
多過ぎて、人物のキャラを理解する気がなくなります。
これは作品の強みを自ら消しています。
連載が長く感じる原因にもなりました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-23 20:00:14] [修正:2021-03-23 20:00:14] [このレビューのURL]

可愛い女子高生が45歳の特段魅力のない中年男性に
恋をするという設定に引き込まれてしまいます。

主人公の女子高生も普通の感覚ではありません。
基本、友人は少なく、無表情であることが多く、
人を寄せ付けません。
唯一、単距離走だけは懸命に打ち込めることだった
のに、故障で走れなくなります。
心の傷を持ちながら、中年男性にはまっていく
彼女が何となく理解できてしまう説得力があります。

無表情で愛想のない彼女がなんとも可愛くてよろしい。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-19 08:43:39] [修正:2021-03-19 08:43:39] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

従来になかったサッカー漫画です。
主人公を中心にしたチームが試合を重ねながら勝ち
上がり、成長していくパターンが王道スポーツ漫画でした。
ドカベンしかり、スラムダンクしかり、サッカー漫画
ではキャプテン翼もジャイアントキリングもそうですね。

この作品では、てっぺいがファンタジスタと呼ばれる
世界トップのプレーヤーとして成長していく
過程を追っていて、チームの成長ではないです。

日本代表候補合宿1週間が最も見ごたえがあるという
のも異色ですが、高校サッカー1年生の都予選で全国
大会出場を決めた時点で、チームを離脱しイタリアに
向かうという展開も驚かされます。

ファンタジスタという称号は、やはり世界レベルの
プレーヤーに与えられるものなのでしょう。
ただし、イタリアでのプリマヴェーラ(二軍)での
生活や試合、練習にさほど期待したほどの驚きはなく、
むしろ人間関係や意思疎通のない監督との確執などが
焦点になってしまって、陳腐な展開になったのは残念でした。

とはいえ、意志あるパス、スペースの作り方などの
個人技と絡めてはじめて、戦術が生まれるという
ことがよく理解できます。
草場氏のサッカーに対する知識の高さを伺うことが
できますね。
素人の私たちは、チームの戦術だとか戦略だとか
日本サッカーを批判しますが、個人プレーヤーの個性や
個人技の高さがあって、戦術が成立するのですね。

ファンタジスタが日本に早く現れることを期待した作品かもです。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-12 05:39:37] [修正:2021-03-12 05:39:37] [このレビューのURL]

[ネタバレあり]

プロ野球オタクならば常識的な範囲での裏事情を
ネタにしています。
しかし、これまでになかったタイプの野球漫画です。

プロ野球あるあるですが、表のヒーロー話ではなく、
球界を構成するために必要な裏方の事情、
すなわち2軍と行ったり来たりの1.5流選手、
スカウト、バッテッィング投手、ブルペン捕手、
監督、コーチ、解説者、記者、球団スタッフ、
代理人、高校野球関係者などなど、裏側の人々の
事情がひきこもごもあって興味が尽きません。

基本的には、球団経営というビジネスがプロ野球の
本質ですから、マネーで選手価値が語られるのですね。
この価値で全てを測ることに拘る主人公凡田ほかの
選手たちが作るお話です。

しかし、最後の3巻程度は、底辺の選手たちの
裏事情からメジャーリーグをまつわる裏事情に
一転して変化します。
志の低い主人公のキャラが変わってきた気が
したのは私だけでしょうか。

こんなプロ野球漫画を待っていましたので、
とても面白く読めました。
続編も絶対読みます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-07 16:30:22] [修正:2021-03-07 16:30:22] [このレビューのURL]

間抜けだが強くて弱きを助けるステレオタイプの
ヒーロー像を拒否し、むしろ間抜けで短期で
ダーティーな強さを誇示する孫六です。

とにかく、善悪を超えて常軌を逸した喧嘩っぷりや
行動が魅力です。
いわゆるハチャメチャです。
従来の主人公は、乱暴ものなりに正義のポリシーが
あるとか、友情を最上位において行動するとか、
共感を呼ぶのが普通です。

さだやす圭が描く主人公に共通しているのは、
善悪の判断や情にほだされる前に、優先するのは
自身の目の前の欲求に正直になることなんですね。
そのために長期的な展望が描きにくい話が多いです。

それでも長期連載でなんと81巻完結だそうです。
連載開始時には、学園内の権力闘争から地域
、全国の覇権争いに発展した本宮ひろ志のような
“男一匹ガキ大将”か、あるいは投球をさせれば
超一流の甲子園を目指す高校野球ものなのか、
どちらへも可能性があったはずです。

最後まで読むに至りませんので不明ですが、
おそらくその都度の展開が安定しないものとなり、
第三の道が示されるのではないでしょうか。
他のさだやす圭さんの作品が皆そうであったように。
時間をかけて読んでみましょうか。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-03-01 17:05:47] [修正:2021-03-01 17:05:47] [このレビューのURL]

素晴らしい!
長期連載ではありますが、30巻で密度濃く時代劇・
活劇を堪能できました。

不死人という設定もさることながら、敵味方の単純
構造ではない設定がよろしい。
逸刀流は当初単純な憎むべき仇役ですが、背景には
共感したくなるポリシーがあって、吐率いる無蓋流と
公儀から追われる弱者にもなってしまいます。
そんな事情に関係なく、双方の対立軸と絡み合う
主人公万次と凛。

登場人物が多いのも特徴です。
15巻で紹介されていましたが、その時点で100人
以上ですから30巻では一体何人出てきたのでしょうか。
しかし、魅力ある剣士や攻撃力がその都度、
ワクワク感を増幅しますね。

天津影久、吐鉤群、六鬼団、偽一らの凄みはそれぞれ
強い個性を持っていますが、なんと言っても乙橘槇絵です。
彼女は生きる希望はすでに捨て去っているという設定
ですが、その表情が設定通りに表現できていることが
素晴らしい。
彼女の顔だけでも描画力10点を差し上げたい。
その雰囲気のまま実力十分で悲劇の剣士が似合います。

最終巻まで魅せてくれます。
最高の舞台で最高の演者たちが最高のドラマを
演じたという感覚でした。

名作です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-02-12 06:22:04] [修正:2021-02-12 06:22:04] [このレビューのURL]

テーマが多数散らばらせており、興味を引かされて
いく導入部です。
虐待、子育て放棄から始まり、多重人格、天才子役
といったところが、キーワードになります。
何かが起こる予感がありますが、台詞が多用されて
おり、大した事件も起こりもせず、
次第に興味が薄くなってきました。
子役同士のバトルが中心になると思いきや、
全体に不気味な雰囲気だけが、続きます。

名脚本家である野島伸司を原作に迎えて、
期待の作品だったのでしょうが、
漫画としては未消化に終わるという印象です。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-02-11 16:09:50] [修正:2021-02-11 16:09:50] [このレビューのURL]

いや、驚きました。
少年誌で舞妓さん芸妓さんお茶屋さんの世界をテーマにするとは。
これは最初の回から、青年誌で扱う内容ではないかと感じました。

舞妓さんの世界は、一般的には大人のしかも
エグゼクティブな最上層の人たちの世界ですよね。
これは、大人といえどもほとんどの人たちは
一生縁のない世界ですよ。
その世界を少年誌で扱うことに躊躇はなかったのでしょうか?

しかし、私はこの大胆な試みは、成功したと思います。
田舎者の少女が舞妓修行に挫折しながら、
本人は適正のなさを自覚した上で、舞妓さんたちの
サポートに回ります。
同郷の幼馴染は、順調に成功しており、妬みを覚えても
不思議ではないのに、むしろしっかり応援します。
その彼女の前向きな姿が、この作品の主題ですね。

上品でほのぼのとした彼女の性格がとても可愛らしく素晴らしい。
少年たちにも、その魅力はしっかり伝わっていると思います。
可愛らしい描画ともマッチしています。

繰り返しますが、少年誌にはありえない背景を
テーマにしたチャレンジは成功しており、
また一つ新しい境地の漫画が世に出たという点で感銘を受けました。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-02-06 06:56:01] [修正:2021-02-06 06:56:01] [このレビューのURL]

1巻あたりまでの印象と全巻読んだ後の印象が大きく
変わっていきます。
というのも、最初のうらたろうは不老不死で
「死の到来」を望んでいる、いわば不死身の主人公です
から、絶対のパワーがあったうえでの旅を始めるわけです。
その旅での騒動を中心に物語が展開されると思いきや、
所々で話の展開がくるくると回転し始めます。
あげくには、5巻では第二幕に突入という予想外の展開に入ります。

話の展開は期待以上に変化があって、面白さはあった
と評価いたします。
しかし、キャラの立て方や描画の質などトータルで
青年誌掲載のレベルにはなく、大人の鑑賞に堪えない作品でした。
少年誌での掲載を選択しなかった編集部の責任は
残ったのではないかと思われます。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-01-28 08:08:10] [修正:2021-01-28 08:08:10] [このレビューのURL]

前作3篇とは様相が違ったテイストです。
おどろおどろしさは、相対的に減ってはいますが、
未来の予言が最大の謎として、提示されます。
7年後、さらには、将来まで最後には展開されており、
いよいよ佳境に入った感じが強くなりますが、
果たしてどうでしょうか?

解決編までたどり着きたい思いと、
もう腹いっぱいの感じと、せめぎ合います。

ナイスレビュー: 0

[投稿:2021-01-22 05:59:37] [修正:2021-01-22 05:59:37] [このレビューのURL]

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